“学びのチャンスを逃さない”親の関わり方とは? アドバイスよりも子供に大切なこと[後編]

“学びのチャンスを逃さない”親の関わり方とは? アドバイスよりも子供に大切なこと[後編]
子供が何かに夢中になっている時、親は口出しせずにやらせておけばいいと話すのは、「にほんごであそぼ」のアートディレクターを務める佐藤卓さん。子供が思う存分没頭したその先に訪れる、大事な「あ」の瞬間とは?[後編]

>>前編はコチラ

親は口出しせず、
好きなだけやらせる経験が重要

装飾に夢中になったことで、逆にシンプルな物の美しさを知れた経験(※前編より)を通じて、何より良かったことは、「付けまくった」ということです。これ以上はもう付けられない、という極限まで突き詰めてやりまくったこと。できる限り徹底的に行き着くところまで行ったから、その先に思いがけない「あ」という結果が待っていたのです。

親もああだこうだと一切言わず、やりたいだけ、付けたいだけ付けさせてくれて、好きなようにさせてくれました。

父親はデザイナーでしたから、おそらく思うところはあったでしょう。「そんなものベタベタつけて」と。でも、何も言わずにやらせてくれたから、自分で気がつけた。もしも「そんなもの付けない方が綺麗だよ」と親に言われて外していたら、このような感動は絶対に得られなかったでしょう。好きなように、夢中にやらせてくれたことに感謝しています。

子供が何かに没頭していたり夢中になっていたりするのであれば、好きなように思い切りやらせればいいと思います。もちろん人に迷惑をかけたり危険なことなどはフォローしなければいけませんが、そうじゃなければやりたいだけやらせてあげる。すると自分でいろいろな「あ」に気がつくはずです。

私は親に創作的な遊びをしなさいなんて言われたことは一度もなく、むしろ忙しかったこともあり、ほったらかし状態でした。結果としていろんな遊びを考えることに繋がったし、身のまわりにあった仕事道具で勝手に遊んで、ホンモノを知ることもできました。それが実は何よりもの教育の場でした。

大事なものを子供にいじられるのはヒヤヒヤすると思いますが(笑)。さりげなく応援してあげるといいでしょうね。「それに興味があるなら、これ知ってるか?」といった感じで。そうすると、ホンモノがわかる。

例えば、すごくいいギター1本を「触っちゃダメ」と言うのではなく、多少傷がつこうが触らせてあげて、大きな器で見守ってあげる、など。親が没頭しながら使っているものに子供も触れられる、口出しせずに好きにやらせてあげる。そういう親子の関わり方ができたら、子供はさまざまな感動や経験を積み重ねて学んでいけるはずです。

PROFILE

佐藤卓(さとう・たく)

グラフィックデザイナー。1955年東京生まれ。1981年東京藝術大学大学院修了後、株式会社電通を経て、1984年佐藤卓デザイン事務所(現:株式会社TSDO)設立。東京ミッドタウン内「21_21 DESIGN SIGHT」館長兼ディレクター。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」のアートディレクター、「デザインあ」総合指導を担当。「ロッテ キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」のパッケージデザイン、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のグラフィックデザイン、「金沢21世紀美術館」「国立科学博物館」のシンボルマークを手掛けるなど幅広く活動。

» 佐藤卓さんのコラム一覧はこちら!


文:脇谷美佳子

連載記事 連載記事

〈連載〉新井美里の「“個才”を発見して伸ばす方法」
〈特集〉世界に急拡大中! “英語×非認知能力”を伸ばす最新スクールとは?
〈連載〉寺島知春さんの「非認知能力を育てる絵本」
〈特集〉自己肯定感を高める おうち性教育
〈特集〉「おうちで・楽しく・短時間で」実践に使える英語力をみにつける
〈連載〉てぃ先生の子育てお悩み相談室
〈連載〉小島慶子さんが語る「子育て 世育て 親育て」
〈連載〉平田オリザ “わからない”を超えるチカラ -演劇×コミュニケーション能力-
〈連載〉鶴岡そらやす先生の「ごきげんおやこの視点づくり」
〈連載〉アフロ先生・阪田隼也さんの「大人と子供が響き合って、育ち合う」
〈連載〉佐藤卓/親子の「デザイン的思考」入門
〈連載〉和田明日香さんの「むずかしくない食育」
〈連載〉照英さんの「子育て・夫婦のお悩み」一緒に考えます!
〈連載〉谷崎テトラの「未来の地球人育て」
メニューフォームを閉じる

FQ Kids | 親子のウェルビーイング教育メディア

メニューフォームを閉じる