2020.08.31
2020.09.03
2020.04.15
子供を授かった瞬間、嬉しさのあまりカメラマンになって写真を撮りまくるパパは多い。お腹が大きくなっていくママの写真に始まり、出産、妻がママになった瞬間、我が子の初ハイハイなどなど、写真でずっと残したい輝かしい瞬間のオンパレードだからだ。
写真は“いま”を色褪せない瞬間として永遠に残せる魔法のアイテム。撮った写真をプリントして飾れば、“あの時あの瞬間”に感じた喜び・感動・達成感を家族はいつでも共有でき、眺めるだけでみんなハッピーな気持ちになれる。
さらに写真を飾ることには、すごい効用があると教育評論家の親野先生は言う。
親野先生:仲睦まじい家族写真を見ながら育った子供は、『私は家族に大切にされている、愛されている』という気持ちを抱きます。そういう子供は、ちょっとの失敗や困難、挫折に負けないレジリエンスがあるんです。
教師生活23年間を通じて親野先生は強く感じたという。
そこで写真が持つ自己肯定力を実証すべく、「ほめ写」プロジェクトを2019年に始動した。そのすごい効果を紹介しよう。
親野先生:ほめることは良いことだとはわかっていも、実際に子育ての中でほめるのはすごく難しいものです。親は子供のできないところに目がいきがちだからです。
親にほめられながら写真を繰り返し見て過ごすことで、子供の中で肯定的な感情が反芻され、ほめられている時以外でも、写真を見ると「自分は親に愛されている」「自分には存在価値がある」と感じます。その感情こそが自己肯定感です。
「自分自身に満足している?」という質問に対して、ほめ写体験前は65%だった子が体験後は90%へ自己肯定感スコアがアップしました。
自己肯定感が高い子の特徴は次の通りです。
●他人を尊重し、コミュニケーション能力が高い。
●自分の感情や衝動をコントロールできる。
●ポジティブでプラス思考。失敗を恐れずチャレンジ精神がある。
●人と自分を比較することが少なく幸福度が高い。
子供が楽しそうにしている時や頑張っている時の写真を部屋に飾り、それを見ながらほめる子育て習慣を始めた親は、どんなシチュエーションでどんなふうにほめているのだろうか。
●自我が芽生えた2歳のイヤイヤ期「自分でできたね!」という言葉がすごく有効だった。
●いつも明るい笑顔でそばにいてくれる息子に毎晩寝る時「いつもそばにいてくれて、ありがとう」と伝えている。
●生まれた時の写真を見ながら「○○くんが生まれてきた時、パパはホント嬉しかったよ!」。
●7歳の娘に「ありがとう、パパもママも助かる!」と存在そのものをほめるようにぎゅっと抱きしめながら伝えると大喜び。
●写真を一緒に見ながら「あの時こんなことしてたよ」と思い出話をすると、9歳の娘がワクワクしながら耳を傾けてくれる。
●家族でほめ合う関係になり、育児がすごく楽しくなった。
●どうやってほめていいのかわからなかったが、写真が目に前にあるとワンクッションになり、自然にほめられるようになった。
●子供を叱る回数が激減。親の愛がちゃんと伝わるようになった。
●子供をほめることで、自分の育児は間違っていなかった、と自分自身の自己肯定感までアップ。
以上のように、子供のみならず親の自己肯定感も上がったという体験談は枚挙にいとまがない。
STEP1 写真を撮る
↓
STEP2 飾る
↓
STEP3 ほめる
「ほめ写」のプロジェクトメンバーは、親野先生と脳科学研究の篠原菊紀教授、そして臨床発達心理学の岩立京子教授の3人だが、ほめる時の写真は2種類に分類できるという。
親野先生:1つは、頑張っている・熱中している写真。これは努力や達成をほめる“条件付きのほめ”です。もう1つが家族の愛情が感じられる写真で、子供の存在そのものを肯定する“無条件ほめ”。
生まれた時のことは本人の記憶になくても、両親や祖父母が喜んでいる様子を見て、愛されている実感を覚え、自信につながります。
2種類の写真を意識して飾ってほめることで、何事も対しても「私ならできる、頑張れる」と思えるようになり、自分が受容されている体験を重ねて、他人を思いやる気持ちも育まれる。
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