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2022.03.21
赤ちゃんから幼児期のような、まだ本当に小さい頃の子供って、何も知らないからこそ好奇心が旺盛ですよね。一日中「あ」という気づきの連続。でもまだこの時点では、本人に「あ」という言葉も意識もありません。だから「何これ、何これ」と触ってみたり、口に入れてみたり。
そうしてだんだんと成長していきながら色んな物事を覚えていくんですよね。「リンゴは赤くて丸いもの」とか。すると、リンゴとはそういうものだと概念化し、記憶していく。
自我が芽生え始めると、そんな「わかった」や「知っている」がどんどん始まり、社会性を身につけていきます。「世の中とはこういうものだ」と知り、「あ」の瞬間が意識化されます。この「あ」と意識化された瞬間が何より重要です。気づきだったり、わからないものに出会った瞬間です。
その瞬間を受け流さないで、大切にする習慣をつける。何か思いついた「あ」だったとしたら、絵に書いてみたり手を動かしてみたり。知らないことに出会った瞬間だったとしたら、もっと知りたいという気持ちを受け流さずに、もっと観察してみたり調べてみたり。必ず何か実行に移せる場や時間を、周りの大人が大切にしてあげる必要があります。さらに疑問を投げかけてあげたりしてもいいでしょうね。
「あ」と思ったら、なぜそう思ったのかを明らかにしていく習慣をつけると、子供は自分で思考を深めることができるようになっていくと思います。気づきや疑問を明らかにしていくためには、その物や事の中にもっと入っていく必要がありますから。
そうして思考を進めた先で「ああなるほど! これがこうだったからこうだったんだ!」と本当の「わかった」にたどり着く。好奇心を持っていない人なんて誰もいないのに、もし「あ」の瞬間を受け流してしまえば、持っているはずの好奇心にフタをしてしまいます。
思考の原動力となる好奇心のフタは、常に開いていた方がいい。これは本人だけじゃなく、周りにいる大人にも言えることですね。子供の時のように好奇心で没頭できることは、仕事をする上でもとても大切な力だと思います。細かくて難しい制作にも夢中で取り組む優秀なデザイナーたちには、まるで“スキルを備えた子供”のような人が多いです。
子供はどこに興味を持つかわかりませんが、その瞬間を見逃さず、大切にすることで、デザイン的思考を育んでいってあげてほしいです。
佐藤卓(さとう・たく)
グラフィックデザイナー。1955年東京生まれ。1981年東京藝術大学大学院修了後、株式会社電通を経て、1984年佐藤卓デザイン事務所(現:株式会社TSDO)設立。東京ミッドタウン内「21_21 DESIGN SIGHT」館長兼ディレクター。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」のアートディレクター、「デザインあ」総合指導を担当。「ロッテ キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」のパッケージデザイン、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のグラフィックデザイン、「金沢21世紀美術館」「国立科学博物館」のシンボルマークを手掛けるなど幅広く活動。
文:脇谷美佳子