2023.02.25
2023.12.25
2021.09.20
スポーツを通じた非認知教育には、何より、夢中になれる環境作りが大切だという。
「好きなことを夢中で続ければ、子供は勝手に成長して能力を身に着けていくものです。PDCAサイクル、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)が自然に回るんですね。幼児でも、好きなゲームなら勝ちたいとルールを理解します。小3ながら小6を抜きたいと、ドリブルを研究する子もいます」と畠山さん。
だから、理由のない努力や嫌がることは基本させずに、声がけもポジティブに。顔にボールが当たっても「大丈夫?」ではなく「ナイスプレイ!」と褒める。
シュートを打つ機会を逃した子供には、「なぜ打たなかった」ではなく、「なぜ打たない選択肢を選んだの?」というオープンクエスチョンで考えさせる。この習慣付けで、想ったことを言葉にする力と、自分で考える習慣が身に付く。どちらも、ビジネスの場でも必要不可欠な能力だ。
「練習メニューを自分で考えるのもおすすめです。課題と向き合い、それを乗り越える練習を考え、実行後に練習試合をすれば、どこまで克服できてどこができていないかを把握できます。
指導者はあくまで、そのためのサポートをする立場。日本ではまだ『全員100本走れ』といった指導がありますが、それでは非認知能力はもちろん、上達にもつながりにくいと思います」
個を伸ばす指導も重要だ。日本は幼児教育の場でも、「みんなでお絵かき」など、全員で同じことをする機会が多い。だが畠山さんが教育先進国ドイツで見たのは、個々がやりたい遊びを、やりたい放題に楽しむ子供たちの姿だった。
「たくさんの選択肢から自分の好き、得意をみつけて個性を育てるのがドイツの教育なら、日本はスタンダードを育てる教育です。でも、世界でプロとして戦って痛感したのは、みんなうまい中でどうやって勝ち残るかということ。際立った個性を出さないと、試合にも出られません。だから得意なことに特化して、個を伸ばす練習も絶対に必要です」
選択肢を用意することは、スポーツに限った話ではない。特に、脳をはじめ神経回路の発達が急ピッチで進み、運動能力の基礎も育まれる5~8歳、いわゆる「プレ・ゴールデンエイジ」には、様々な体験をさせてほしいと畠山さん。
「この時期に1つに決めずに、サッカーでもそろばんでも、いろんな経験をすることは、人格や身体育成、視野を広げるためにも重要です。多方向から物事を見れれば、スポーツにも必ず役立ちます。自分に沢山の選択肢、可能性があることを知っていれば、将来プロ選手になって、引退した後にも役に立つんです」
子供たちが夢中で続けられる何か。まずはそれがなになのか、一緒に探すところから始めてみてはいかがだろうか。
スポーツで身につく
非認知能力
スポーツ技術を上達させ、勝利するために、課題を知りそれを克服する力と、自分の得意や個性をみつけ、それを伸ばす力が養われる。また、自分がそのスポーツの世界で“今どのレベルか”を客観的に把握し、目標を定め、そこに向けて取り組む力も身に付ける必要がある。
子供たちが自発的に失敗を恐れずにチャレンジできるクラブ。身体の成長に合わせたクラス分けを採用し、「いま」だけに目を向けるのではなく、選手が将来を見据えて成長できる環境が整っている。
畠山 祐輔(はたけやま・ゆうすけ)さん
U16~U21の日本代表に選出され、早稲田大学卒業後、ドイツなど4ヵ国でプロサッカー選手として活躍。引退後は㈱リクルートで営業として働きつつ、ボランティアでサッカー指導を開始。2021年、サッカーと英語を通じて世界で戦える人材の育成を図る「グローバルスポーツアカデミー」を設立。
文:笹間聖子
FQ Kids VOL.06(2021年春号)より転載
編集部のオススメ記事
連載記事
#今話題のタグ