2024.05.29
2021.08.30
2024.10.09
私が年間750クラスを担当している「こどもリベラルアーツクラス」では、子どもの「遊びたい本能」を満たすために、思う存分身体と頭を使いながら遊び抜くプログラムを実施しています。
多くの子どもたちは好奇心を出発点として、自分なりの創意工夫を繰り返しながら、遊びに集中しています。そんな時の子どもたちは、「いいこと思いついちゃったー!」「こんなことしたらどうだろう」と自分のアイデアが楽しくてニヤニヤしたり、時にはよだれをたらしてしまうほど考えて遊び込んでいます。
集中している時の子どもは、大人から教わることや、評価されることを求めていません。前回の「遊びの起承転結」でもお伝えしましたが、集中している時は声をかけず、そっと見守ってあげましょう。
一方で、クラスの中には友だちの邪魔ばかりしたり、教材を投げ続けていたり、どうも集中できる状態ではない子もいます。
子どもが集中できない理由は、大きく分けて2つあると感じています。1つは、ズバリ「睡眠不足」。大人でも寝不足が続くと、集中して何かに取り組むことが難しいものです。
米国睡眠医学会は、3~5歳児は10〜13時間、小学生は9~12時間の睡眠時間を推奨しています。子どもの脳を集中しやすい状態にするには、まず睡眠時間を見直しましょう。
そしてもう1つの理由は「フラストレーションの発散不足」。フラストレーションとは、欲求が何らかの要因によって阻害されて不満を感じている状態のことです。
これを発散させるには、単に身体を動かせばよいわけではありません。「ルールのない自発的な楽しい遊びで、思う存分身体を使う・動かす」ことが大切です。
私のクラスに参加したばかりで発散が足りていない子は、家でやったら怒られてしまうような遊びに誘ってみます。
例えば、壁に色水をぶちまけたり、ティッシュ1箱分を全部出してその中に潜ってみたり。「イタズラ」のような遊びを思う存分自由にやらせると、フラストレーションが発散され、自分で考えた遊びに集中できるようになります。
現代は、野原で友だちと鬼ごっこしたり、落ち葉をワッサワッサばらまいたりといった、子どもたちが思いっきり身体を使いながら遊べる環境が減っています。
勉強、スマホ、ゲームなど、「頭」を使う時間が多すぎて発散的な遊びが足りていないと、子どもはフラストレーションがたまり、集中力が持続できなくなります。
発散ができている子は、何事にも意欲的に取り組み、探究心・発想力も高まって、集中力が持続します。子どもが問題行動を起こしたり、やる気が出なかったりする場合は、「発散が足りているのか」を意識してみてください。
「発散はさせたいけど、毎回公園に連れていくのは大変」。そんなときにおすすめの、家で簡単にできる発散遊び「紙コップシャワー」をご紹介します。
<用意するもの>
紙コップ200個
(100均やネットで買うと500〜1,000円くらい)
こどもリベラルアーツクラスには2,000個の紙コップを常設していて、「今日は子どもたちが集中できる状態ではないな」と思ったら紙コップを投入! 思う存分発散をしてからプログラムに取り組むと、グーンと集中モードに入ることができます。
ただの紙コップが、200個あると楽しい発散おもちゃに! 紙コップを1メートルほど積み重ねてからブンブン揺らすと、バラバラとシャワーのように紙コップが落ちてきます。子どもも大人も大興奮のスッキリ体験です。意外と丈夫なので、何度も使えますよ。
新井美里
mamagaku(ママガク)学長/一般社団法人子育てデザイン総合研究所理事。自身の子育て経験をきっかけに、2013年、新しい子育て支援の場として「ママガク」を設立。これまで延べ4万組以上の親子に子育て講座を提供。また2018年からは、おうちではできない本気の遊びを通じて非認知能力を伸ばす「こどもリベラルアーツけんきゅうじょ」も開講。0歳から小学生対象に年間累計750回のクラスを担当している。他、講演会を多数実施。現在、夫と20歳、17歳、12歳の3人の子どもと埼玉県で暮らす。
FQ Kids VOL.19(2024年夏号)より転載
Sponsored by 一般社団法人 子育てデザイン総合研究所
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