2024.02.29
2022.05.26
2024.03.04
菅澤京子さん
認定心理士。コミュニティFM局でパーソナリティとして番組を持っていた経験を持つ。2011年よりことばキャンプ教室を始め、300人以上の子どもたちの言語化能力を育てている。
A
□ 「おはよう」など挨拶の声が小さい
□ お友達に「入れて」と言いにくい
□ 嫌なことをされたときに「やめて」と言いにくい
□ 先生に自分からサポートを求められないことがある
□ みんなの前で意見を言うのは恥ずかしい
B
□ 自分の気持ちや考えを言うのが苦手
□ あったことを自分から説明しない
□ 「どうして?」と理由を聞かない
□ 「どうしてかというと」というような理由を言わない
□ 「どっちでもいい」と自分の意思で選択しない
C
□ 集中して話を聞くことが苦手
□ 聞いたことを覚えて伝えることが難しい
□ 最後まで聞かずに口を挟むことがある
□ わからないところがわからない
□ 話のポイントを要約できない
D
□ 挨拶されたときに応答できない
□ 話がキャッチボールにならない
□ 話しかけられた時に無言になる
□ 相づちを打ちながら話を聞けない
□ 相手の話に対してかみ合った質問ができない
E
□ しりとりなど言葉遊びを楽しめない
□ 絵本(本)にあまり興味がない
□ 「例えば〜」という表現をしない
□ 言葉の言い間違いが多い
□ 言葉をあまり知らない
F
□ 順を追って説明することが苦手
□ 言い負かされることが多い
□ 相手の気持ちになって考えることは難しい
□ 話しながら話していることが変わる
□ 「あったこと」と「思ったこと」を分けて話さない
G
□ 目を見て話をしない
□ 表情の変化が乏しい
□ 抑揚をつけて話さない
□ 姿勢が悪いことが多い
□ 人の言い方を真似ることがあまりない
度胸力とは、恐れずに言いたいことが言える力だ。日本では「シャイは性格だから仕方ない」とそのままにしがちだが、練習すれば、確実に変化が現れる。
おうちワーク❶
目が合ったら褒める
度胸力が低い子どもは、初対面の相手が苦手なもの。そんな時に、「ほら挨拶しなさい」と強めにプッシュしていないだろうか。それでは逆効果! 余計に初対面の怖さを植え付けてしまう。まずは、子どもがその人を見たら「お目々が挨拶できていたね」と褒めるなど、スモールステップで成功体験を積み上げていこう。
おうちワーク❷
レストランの注文をしてみる
飲食店で子どもに注文させてみよう。難しければ、「メニューを指さしてごらん」など、言葉を使わない形からでもOK!
論理力とは、考える力。そしてその考えを、型通りの言葉ではなく「自分の言葉」を使って発信できる力だ。
おうちワーク❶
選択肢で質問をする
「カレーが好き? それともシチューが好き?」など、2つ3つ選択肢を与えて、選んでもらう形で質問をしてみよう。その上で、選んだ理由を必ず聞く。「おいしいから」などシンプルな答えであれば、さらに、「どんなところがおいしい? ご飯と一緒に食べるからかな?」など、深掘りする質問を重ね、ぴったりの言葉を探す機会をつくろう。
おうちワーク❷
気持ちも選択肢で聞いてみる
例えばけんかした後に、「悲しかった? 寂しかった? 痛かった? この中にはない?」などと気持ちを聞いてみよう。自分の心の中にある気持ちを引き出して、それを言語化する練習をすると、整理して説明する力につながる。
理解力とは、話をしっかり聞く力。さらに、聞きながら、「ここが大事だ」という部分を少し覚えておく、「ポイントを押さえて聞く力」も含まれる。
おうちワーク❶
「聞く姿勢」を教える
まずは「聞く姿勢」を伝えるところから。話している相手とアイコンタクトをして、うなずき、笑顔を浮かべ、身体ごと(おへそごと)相手に向けているのが聞く姿勢だ。
おうちワーク❷
お話の後に質問する
短いお話や文章を読んだ後に、「モモタロウはいつどこに行ったんだっけ?」など、内容について質問してあげよう。それを習慣にすると、頭の中であらすじを再構成する力がつく。
おうちワーク❸
買うものを覚えてもらう
一緒に買い物に行く前に、「これとあれとこれを買いにいくんだけど、覚えておいてくれない?」とお願いし、現地で「あれ? 何を買うんだっけ?」と聞いてみるところから始めよう。すると記憶力が育てられる。最初は3つから、だんだん数を増やしていこう。
応答力とは、相手の話に反応して働きかける力。興味を持って話を聞いて相づちをうち、話の内容を受けて、適切な質問をする力も含まれる。
おうちワーク❶
会話のキャッチボールを習慣付ける
まずは挨拶の習慣付けから。それから、「ちょっとおしょうゆとって」と子どもが言ってきたときに無言であれば「ありがとうって言ってほしいな」と促すなど、日常会話で会話のキャッチボールを練習しよう。
おうちワーク❷
家族のキャッチボールを見せる
パパとママなど、本人以外の家族の間で会話のキャッチボールを楽しんでいるところを見せよう。話したことに返事をしてもらったら「嬉しい」と表現するのがポイントだ。
おうちワーク❸
リズム遊びをしよう
「マジカルバナナ」「古今東西ゲーム」など、リズムに乗った言葉遊びで楽しさを体感しながら言葉のキャッチボールを促そう。
語彙力とは、言葉の種類をたくさん知っているということだ。知っていることで、表現の幅が広がるので重要だ。
おうちワーク❶
見えるもの、見えないものの言葉を伝える
最初は「赤いお花だね」など、目の前にある色や物の名前を伝えてインプットしていこう。慣れてきたら、「今日は遠くまでお出かけするよ」「暖かくて気持ちいいね」など、目に見えない概念についても伝えていこう。
おうちワーク❷
大きくなっても本の読み聞かせを
絵本、本の読み聞かせを積極的にしよう。学童期になっても挿絵のない本を読み聞かせると、意味のわからない言葉も、なんとなく文脈から理解できる。その言葉を子ども自身が日常に取り入れることで、「言葉を使う力」もついてくる。
説得力とは、文字通り相手を説得する力。幼児期では、ポイントを押さえて話をする力や、優先順位や時系列を考えて話をする力がこれに当たる。
おうちワーク❶
順番に並べて話す練習をする
例えば食事の際に、サラダとハンバーグとご飯など、いくつかのお皿を出したときがチャンス。どういう順番で食べるのか、決めてもらおう。遊園地に行く前に、どのアトラクションに乗るかを決めてもらうという形でもいい。
おうちワーク❷
あったことと思ったことを分ける
あったことと、思ったことを分けて言える力は、説得力の大切なポイントになる。子どもがなんらかのエピソードを話してきた時に、「それはあったこと?」「思ったこと?」と聞いてみよう。
プレゼン力は、ノンバーバル(言葉を使わない)の力だ。言葉以外で相手に伝える力、つまりは、表情や身振り手振りで伝える力がこれに当たる。
おうちワーク❶
パパやママが俳優になったつもりで
保護者が子どもと話す時に、俳優になったつもりで、オーバーリアクションを意識するのがおすすめ。例えば、「すごい! そんなことできたの!」と驚いてあげるなど、声に抑揚をつけたり、身振り手振りをつけるお手本を見せてあげることがおすすめだ。
おうちワーク❷
声に表情を乗せてクイズにする
声の表情をクイズにしよう。例えば、「元気がない人に声をかけるのにどっちがいいと思う?」と質問してから、「どうしたの?」など、同じセリフを言い方を変えて言って、答えてもらう。必ず「なぜその言い方の方がいいのか」も聞こう。
※写真はイメージです。
ことばキャンプ教室は、米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、「度胸力」「論理力」「理解力」「応答力」「語彙力」「説得力」「プレゼン力」の7つの力に基づいて、保護者と子どもが一緒に言葉をトレーニングする教室だ。
基本の流れは、まずは発声練習。「回文」を使って声を出す。それも、立って、座って、人の方に向いてなど、いろいろなシチュエーションでだ。その後、2つの選択肢の「どっちにするか」を考え、その理由を言うレッスンがスタート。
続いて、年齢や学年に応じたテーマでプレゼンを行う。プレゼン中、他のメンバーは質問を考えながら聞き、終わったら1人ずつ質問をしたり、良かったと感じたポイントを言う。最後にレッスン中の自分自身を振り返り、再びプレゼン。最後に保護者からコメントをもらう。
レッスンは月1回80分(オンラインクラスは40分が2回)。このレッスンを続けていると、話す/聞くスキルがどんどん上達していく。
幼児クラス:年長児を中心に語彙の習得、みんなの前で意見を言う練習をする。
低学年クラス:小1、2年生対象。自分の考えを深め、プレゼンテーションを練習する。
高学年クラス:小3~6年生対象。深めた思考を整理し、ディスカッションを練習する。
中高生クラス:資料を使ってディスカッション、ブレーンストーミング、プレゼンテーションを練習する。
文:笹間聖子
編集協力:ことばキャンプ教室
FQ Kids VOL.17(2024年冬号)より転載
編集部のオススメ記事
連載記事