親の約5割が「小1の壁」を経験! 入学後に大変なことや、子供に起こる変化って?

親の約5割が「小1の壁」を経験! 入学後に大変なことや、子供に起こる変化って?
小学校入学によって、親子ともに環境や気持ちが大きく変化することで、具体的にはどんなことが課題となり、どう対処すべきなのだろうか。入学シーズンを前に、先輩パパ・ママたちへの調査をヒントに考えてみよう。

気になる「小1の壁」の実態を
アンケート調査で明らかに

近頃よく見聞きするようになった「小1の壁」。子供が小学校へ入学することで生活が一変し、保育園時代に比べて親の仕事と子育ての両立が困難になってしまう問題だ。子供の入学を控えたパパ・ママにとっては特に気になることだろう。

わが子は小学校でちゃんとやっていけるだろうか? 仕事と家庭の両立って実際どうなの? といった不安の実態が、アフタースクール寺子屋株式会社が小学3年生までの子供を持つ親御さんを対象に実施した調査から、明らかになった。

入学で親が最も困ったことや、
子供が抱えてしまった悩みとは?

まず、「『小1の壁』を感じた経験はありますか?※小1の壁とは、子供が小学校に上がると、仕事と子育ての両立が保育園時代に比べて困難になること」の質問に「はい」と答えたのは49%、「いいえ」は51%と拮抗。2人に1人は小1の壁に突き当たっていることがわかった。

具体的に「お子さんが小学生になったことで、ご自身が困ったことや大変だったことは何ですか?(複数回答可)」と質問すると、最多の回答は「仕事と家庭の両立に苦労した(54.7%)」だった。以下、「学校の長期休暇を考慮する必要があった(41.7%)」「学校における保護者の役割が増えた(PTA、行事など)(38.0%)」と続いた。

学童保育を利用できても、保育園に比べると預けられる時間が短くなるなど、仕事を持つ親にとっては直接働き方にかかわることになる。切実な声をさらに具体的に紹介しよう。

●介護職なのでコロナ禍で感染することに神経質な職場だったので、児童館の利用を控えたためパートに変更した(30代/女性/北海道)
●学童クラブに申し込んだが入れなかった。お迎えの時間が早いので仕事に影響が出た(30代/女性/福島県)
●食品会社に勤めているので、ノロウイルスになると菌が無くなるまで出勤できず、1ヶ月近く休むはめになった(30代/女性/栃木県)
●仕事で家にいない時に子供が勝手に友達を家にあげていた(30代/女性/神奈川県)
●コロナ禍ですぐ学級閉鎖になり、仕事を休んだら有休消化するしかなく、有休が足りなくなった(30代/女性/岡山県)

さらに、子供側も戸惑いや悩みを抱えることも。「お子さんが小学生になったことで、お子さんに関して困ったことや大変だったことは何ですか?(複数回答可)」と尋ねると、「勉強に積極的に取り組めなかった(23.1%)」が最も多く、ついで「学校の授業についていけなかった(15.8%)」「友人関係に悩んでいた(15.3%)」という結果に。

子供への積極的なサポートが求められるが、それも忙しいパパ・ママにとっては簡単なことではない。

ただ、悩みつつもどんどん成長していくのが子供のすごいところだ。「お子さんが小学生になったことで、お子さん本人の成長を感じたことは何ですか?(複数回答可)」の問いに対しては、「友達が増えた(46.8%)」「学校を楽しめるようになった(43.4%)」「身の回りのことができるようになった(35.8%)」など。

嬉しい成長は他にも見られるようだ。

●お友達の名前が話題に上がる。 勉強を教えて欲しいと来るようになった(30代/女性/千葉県)
●身の回りのことを自分でできるようになった。1~2時間くらいであればお留守番もできる(30代/女性/神奈川県)
●自分のことはするようになったが、人間関係が広がった分、親の話を聞かないことが増えた(30代/女性/宮崎県)
●以前よりも友達との交流においてうまく対応できるようになりました。嫌なことをされたり言われたりした際には、上手くかわしているようです(40代/女性/北海道)

といった声が寄せられている。成長を感じられるのは親として何より嬉しいことだろう。

また、下校後も子供の成長を後押しし、親の負担を軽減してくれるのは、学校以外の子供の居場所となるコミュニティだ。

「学校以外の場にお子さんのコミュニティ(習い事、学童など)はありますか?」と質問すると、約8割が「ある」と回答。どのようなコミュニティなのかも尋ねると、ベスト3は「習い事(66.4%)」「スポーツクラブ(40.7%)」「学童(33.0%)」だった。

そうした場所で学校以外のお友達と関わったり打ち込めるものを見つけたりすることで、子供は学校生活でのストレスを解消できたり、親は仕事などに集中できるというメリットが期待できる。

調査対象となった1,000人超の子供の学年は、3年生が46.6%、2年生が43.5%、1年生が23.5%。現在の学年で生じた悩みなども尋ねているので紹介しよう。

【1年生】
●集中力がない(30代/女性/岐阜県)
●友達同士のトラブルが何回かあり、子供のことだからと言う親と、親が出てくるパターンがあり面倒くさかった(30代/女性/兵庫県)
●恥ずかしくて意見を言えないことがある(30代/女性/岡山県)
●給食を時間内に食べること(40代/女性/愛知県)

【2年生】
●宿題をやろうとしない。声を掛けると怒り出す。 先生によって進みや習得の差が出ている(30代/女性/茨城県)
●2年の2学期になり急に学習内容が難しくなったように感じる(30代/女性/愛知県)
●1年生の時よりも勉強が難しくなり、今、まさに九九を覚えるのに苦労している(30代/女性/静岡県)
●いつから子供だけで遊びに行かせるか悩んでいる(40代/女性/大阪府)

【3年生】
●反抗期で反発ばかりする(30代/女性/北海道)
●お友達同士だけで遊ぶことが増えて見えないところでトラブルに巻き込まれる(30代/女性/埼玉県)
●友達と上手く関われないことがある(40代/女性/神奈川県)
●いつから塾に行かせるか、学校の勉強だけでどの程度学力が身についているか見えにくい(40代/女性/兵庫県)

1年生では学校での基本的な生活習慣や態度に関係する悩みが多いが、学年が上がるにつれて勉強のこと、友達関係の悩みに移行していくのがわかる。これらは子供の成長や自立を背景とした悩みだ。もちろんそれはそれで親としては頭の痛いことも多いのだが……。

事前の備えをして迎えたい新生活

おめでたいわが子の入学は、不安ではなく喜びを持って迎えたいもの。スムーズに新生活をスタートさせるには、ワークスタイルを見直してみたり、学校以外のコミュニティや居場所を検討しておくなど、事前の備えが必要になるだろう。

〈調査概要〉
「小1の壁」に関する調査
・調査期間:2022年12月1日(木)~2日(金)
・調査方法:インターネット調査
・調査人数:1,014人
・調査対象:小学3年生までの子供を持つ親御さん
・モニター提供元:ゼネラルリサーチ


文:平井達也

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