2020.02.20
2020.05.29
2022.08.29
海外から来られた方が、その清潔さに驚かれることが多いという日本のトイレ。しかし、学校となると5K(臭い・汚い・怖い・暗い・壊れている)問題の印象が拭えないのが現実。そんな学校のトイレを改善すべく活動している「学校のトイレ研究会」がある。
研究会を構成するのはTOTOなどトイレ関連6社で、年に1回研究誌を発行。研究誌25号「学校トイレの挑戦! 2022」に掲載されている昨年度の調査結果を見てみよう。
調査は、毎年公立学校の施設改修に予算措置を行う自治体と、学校現場で実態をよく知る教職員を対象に行われている。
まず教職員に尋ねているのが、児童・生徒のために施設改善が必要と思われる場所だ。例年トップに挙げられるのが「トイレ」。今回も62%と最も多く、続いて「廊下の手洗い場」が61%となった。
トイレの機能進化はめざましいものがある。子供たちに最新の機能を提供して快適に過ごしてほしいという思いが伝わる。
つぎに、今後、学校トイレの整備を考える上で特に重要だと思うことを質問している。自治体の回答での1位は「バリアフリー対応(74%)」。2位は「感染症対策(56%)」だった。
一方、教職員側からは、1位が「感染症対策(55%)」、続いて「ダイバーシティ」「清掃管理・メンテナンスの強化」が42%で並び、「バリアフリー」は38%で4位にとどまった。このギャップが生じる要因の分析が望まれるとともに、丁寧な意見交換を踏まえて一体となって取り組んでほしいところだ。
学校トイレの感染症対策としてはどのようなことが実施されているのだろうか。自治体による最多の回答は「便器の洋式化」だが、これは感染症対策以外の目的があるものも含めて尋ねたため多く上がったものだろう。
2位は手洗いの自動水栓化だ。これは2年で32ポイントという急増を示している。「小便器の自動洗浄化」「トイレ照明の自動化」の回答も多く、非接触=タッチレスによる衛生管理が必要という意識が広まっていることがわかる。
トイレの感染症対策として今後有効と思われるものについても「手洗いの自動水栓化(87%)」は最も高く、廊下などにある手洗い場の今後の方針についても「手洗いの自動水栓化(一部)」が49%と最多となった。
学校のトイレのあの独特の雰囲気があってこそ、トイレの花子さんのような都市伝説が誕生し、一緒にトイレに行くことで、子供たちのコミュニケーションの一助となっているとも言える。
一方で、学校のトイレに行きにくい、行くのが恥ずかしい、という子供もいると聞く。学校に苦手な場所があるというのは、教育環境としていかがなものか。設備面からトイレが明るく清潔で安心な場所になれば、トイレに対する子供のイメージも変わっていくだろう。
文:平井達也
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