2021.08.05
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2022.03.17
コロナ禍で加速し定着した在宅勤務だが、その融通の利きやすさなどから収束後も継続する人は多いだろう。そんな中、テレワーカーが注目しているのがワーキングチェアーだ。
座り心地は健康にも、作業効率にも関わるはずだ。姿勢にはもちろん気を付けたいが、この際チェアーにもこだわってみたい。仕事をはじめ生活の様々なシーンで快適に使いまわせるチェアーにはどんな秘密があるのだろうか。
昨年末にコクヨ株式会社から発売されたのが、Multi Objective Chair(多目的チェアー)『ingLIFE(イングライフ)』。
新発想のチェアーが求められた背景には、日本人の「座り」にひそむ深刻な問題があった。2011年にシドニー大学が世界20ヶ国を対象に、平日の総座位時間調査を行った。その結果、日本が1日7時間と最長となったのだ※1。長時間座り続けることは健康リスクが高まるとされ、当時は国からの注意喚起があったほど。
コロナ禍はこの問題を複雑にしている。東京医科大学の研究によると、職場で勤務する人に比べて在宅勤務を行う人は、座位時間が1日平均76分長いことが明らかになった※2という。「座り」の負荷から体を守ることが、現代的課題として浮上しているのだ。
コクヨは従来から座面が動くことによって姿勢をサポートするオフィスチェアー『ing』を発売、累計販売脚数は3万脚を超えている。その快適さを家庭用にも、と開発されたのが『ingLIFE』だ。
動く座面の秘密は、実はシンプルなもの。シート底面にお皿型の円盤が内蔵されていて、それが起き上がりこぼしのように重力で揺れることで、座面を動かすというものだ。身体の自己調整力への信頼が、こうしたシンプルな構造を生み出したのだろう。同社独自の新たなテクノロジーを採用した機構だ。前傾姿勢でキーボードを打つ時も、背にもたれて次の展開を考える時も体を負荷から守ってくれる。
デザインは家庭使い用に工夫されている。座面はよりワイドに。揺れる機構と合わせて、姿勢の自由度を高めている。逆に肘掛けや脚部の幅はコンパクトに。今の住まいのレイアウトに無理なく配置できるだろう。
カラーは住空間に合いやすいブラック/ミディアムグレージュ/ディープグリーン/ブリックレッドの4色。背もたれは背合板タイプと背布張りタイプがある。また、脚部はキャスター付きとキャスターなしのタイプがあるため、合計68パターンの中から選ぶことができるのだ。
さてこの『ingLIFE』、パパママの在宅仕事用ばかりではなく、子供用にもいかがだろうか。子供は大人以上に椅子の上で色々と姿勢を変えがちだ。どんな姿勢をとってもサポートしてくれるチェアーがあれば、勉強、読書、趣味により集中して取り組めるだろう。
通勤をしなくなっただけなのに、体の変化を感じている人は多いのではないだろうか。運動量の減少だけでなく、周りを気にせずラクな姿勢で座り続けてしまっていることにも注意したい。「座り過ぎ」は健康リスクだと国も警鐘を鳴らしている。とはいえ大人も子供も、座ってこなす作業をたくさん抱えているのが現実だ。だとすればチェアーなどは厳選し、「心地よい座り」を追及することも必要になってきているのだろう。
※1:Bauman A, Ainsworth BE, Sallis JF,Hagströmer M, Craig CL, Bull FC, Pratt M,Venugopal K, Chau J, Sjöström M; IPS Group. Thedescriptive epidemiology of sitting. A 20-countrycomparison using the International PhysicalActivity Questionnaire (IPAQ). Am J Prev Med. 2011Aug;41(2):228-35.
※2:東京医科大学が行ったCOVID-19アウトブレイク時における一般市民の予防行動に関する研究結果
文:平井達也
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