【世界の教育事情】お金の管理や文化継承も! 海外の真似したくなる教育プログラム6選

【世界の教育事情】お金の管理や文化継承も! 海外の真似したくなる教育プログラム6選
コロナ禍が続く中、世界ではどのような教育が実施されているのだろうか。3歳からお金の管理を学べる教室やオンライン授業など、他国の取り組みを見てみよう。

USA
将来のお金の管理は幼児期から

お金を「稼ぐ」「増やす」「管理する」ことを学ぶファイナンシャルリテラシーを教えるアメリカ。非営利団体「Young Americans Center for Financial Education(ヤング・アメリカンズ・センター・フォー・ファイナンシャル・エデュケーション)」でも、幼少期からお金に関する教育が大切だと、3歳から高校生までを対象にした教室を月に1度開講。

小学生が対象の「ファイナンシャル・リタラシー」クラス ©Young Americans Bank

「たとえば、3歳から小学1年生にはニーズ(必要なこと)とウォンツ(欲しいもの)のカテゴリー分けを教えます」と話すのは、広報部長のジャネット・レッドワインさん。「カテゴリーが分けられるとお金の管理ができるようになり、将来に役立つというわけ」。

文:大山真理


ITALY
コロナ休校から生まれた
オープンエアの読み聞かせ

主導者となったフランチェスカ・シヴィエリ先生

新型コロナウイルス感染対策で学校が7ヶ月間も休校だったイタリア。その間も公園で授業を行った小学校教師がいた。それがフランチェスカ・シヴィエリ先生。活動は世論からは大絶賛されたが、教職員組合からは反対の声があがり、一連の騒動になった。

そこで彼女は学校が6月から夏休みになるのに伴い、他の教師たちや保護者と共に「Prati nelle storie」活動を開始。夏休み中に公園、ビーチなどの場所を使い、読み聞かせなどの活動を行った。学校再開が遅れたイタリアでは全土においてこのムーブメントが広がっている。

文:田中美貴


FRANCE
非公開の建物を年に1度公開
フランスはみんなで歴史を繋ぐ

職人が木材を組み上げ鍛冶屋が金属加工する様子に子供たちの目も釘付け

フランスを中心にヨーロッパでは、毎年9月第3週の週末に、大統領官邸など非公開の施設を一般公開するイベント「ヨーロッパ文化遺産の日」が行われている。

37回を迎えた昨年の見所は、2019年に火災が起きたノートルダム大聖堂。昔ながらの工法で修復する様子を紹介し、前広場は親子連れや課外授業の子供たちで賑わった。幼い頃から文化財に触れる機会を設けることで、文化への関心と大切さが次の世代に引き継がれていく。

文:加藤亨延


KOREA
韓国オンライン教育事情

自宅で国語のオンライン学習の課題に取り組む児童

コロナ禍による影響で、韓国では登校とオンライン授業を交互に行う取り組みが進められている。オンライン授業は専門のサイトにログインをして授業や課題を行っていく。EBS(教育放送)による学習動画の視聴をはじめ、授業の感想や意見、さらには図工では絵や工作の作品をサイトのクラス掲示板に投稿するといった具合だ。

開始前の段階ではオンライン授業を不安視する声もあったが、授業の参加状況などはサイトで管理されていたり、ネット環境やパソコンがない児童・生徒へのサポートも行われていたりする。

文:原美和子


NETHERLANDS
天候にこだわらず、
いつでも自然の中で!

野原で、放課後のひとときをクラスメート以外の子供たちと過ごす

雨の日も風の日も雪の日も、屋外で子供たちを遊ばせるのがモットーの保育園Struin(ストラウン)。自然の中でのびのび過ごさせるユニークな保育法を耳にし、実際に保育園児たちを訪問した国王ウィレム・アレクサンダーもその独自性あふれた指導法に感銘を受けたという。

雨の日はレインコートを着て森の中へ行き、虫や小動物の生態を観察し、晴れの日は野原で読書したり飯ごうで米を焚いたりと、バラエティに富む「青空教室」が魅力の保育園では、毎日が日替わりの楽しさ! 子供たちも放課後に通うことを心待ちにしている。

文:稲葉かおる


FINLAND
全家庭の子供たちの
「保育される権利」が復活

子供たちが保育される保証のおかげで親たちは経済活動に専念できる ©City of Helsinki / Jussi Hellsten

「待機児童がいない」「のびのびした幼児教育」で知られるフィンランドの保育だが、国の政策が誤ることもある。2015年発足のシピラ政権は、失業中や育児休暇中の親の子供たちの保育時間を20時間に制限し、欧州評議会から厳しい批判を受けていた。

森の保育園でのびのびと幼児教育を受ける子供たち ©City of Helsinki / Jussi Hellsten

この制限をサンナ・マリン首相率いる新政府が昨年8月1日から解除。改正後の法律では、全ての子供たちが平等に保育を受ける権利が復活する。地方自治体は入所4週間前までに申請を受けた子供の保育施設を確保し、親が予期せず就職や就学した場合、2週間以内に保育施設を確保する義務を負う。

文:靴家さちこ


FQ Kids VOL.04(2020年秋号)より転載

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