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2025.11.10

船津徹さん
1966年福岡県生まれ。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育会社に勤務。その後独立し、アメリカハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立。世界で活躍できるグローバル人材を育てるための英語教育プログラム「TLC フォニックス」を開発。最新刊『「強み」を生み出す育て方』(ダイヤモンド社)は現在8刷。
将来、多方面での成功を支えるその人の「強み」は、気質、素質、才能などのさまざまな要素が重なる部分にある。幼児期や学童期であれば、性格面の特性である「気質」に注目したい。成長に伴い、身体的特性(遺伝的要素)である「素質」を見つけ、最後に「技能面の特性」である「才能」を探していくことになる。
気質を知るための手掛かりの1つとして、ビッグファイブ診断がある。これは性格を5つの主要な因子で説明するもので、本来大人向けだが、船津氏が子ども向けにアレンジしたテストを紹介する。
ビッグファイブ診断は本来60以上の質問があるが、子ども向けにアレンジされた簡易テストを紹介する。
参照:小塩真司、阿部晋吾、Pino Cutrone(2021)「日本語版 Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)作成の試み」
質問内容は子ども向けに調整しています。
引用:『「強み」を生み出す育て方』(船津徹、ダイヤモンド社)
「5つの気質」は、どの子にもまんべんなく備わっている。それぞれ気質の「強い・弱い」のレベルが子どもによって異なるだけであることを理解することが大切だ。
合計点数が高めの気質が複数ある場合、親目線で上位の2つの気質を選んで参考に。強めの気質が1つもないなら、「どちらかというと強い」で構わないので、何か1つ子どもの「軸になる気質」を見つけよう。3.気質×才能の組み合わせで選ぶ「おすすめ習い事カタログ」で、この診断をもとにした習い事選びについて紹介する。
子どもの習い事選びは、人気や人に勧められたなどといった理由ではなく、子ども自身の興味を考慮することが重要である。リサーチが済んだら、親子で気になる習い事の見学に行くことをおすすめする。実際に体験することで、子どもが本当に興味を持つかどうかを確認できる。
どの習い事を選ぶかの検討段階に入ったら、「スポーツ系を1つと、スポーツ以外を1つで2つにする」という船津氏のアドバイスを参考にしてはいかがだろう。「親も子も運動が苦手で」と卑屈になる必要はない。アメリカには射撃のような運動神経に頼らないスポーツがあり、日本でもカーリングなど、従来のものとは趣向の異なるスポーツが増えてきている。
重要なのは、子どもに合った習い事を選ぶことである。子どもが楽しそうか、内容は子どもに合っているかをよく観察し、適切なサポートをし続けることが親の役目だ。子ども自身が強みに気付き、伸ばしていけるよう導いてやりたい。
気質と才能に合った習い事を選ぶことで、楽しみながら能力を伸ばせる。ビッグファイブ診断を活用して、子どもに最適な習い事を見つけたい。
気質に合った習い事を選ぶことで、子どもの潜在能力を引き出し、楽しみながら続けられる可能性が高まる。ビッグファイブ診断に沿って、おすすめを紹介したい。
まずは、スポーツの習い事から。天才気質の子どもには、自己競争のスポーツが向いている。陸上競技や空手、ボルダリングなどを通して、集中力や自己管理能力を高められそうだ。
研究者気質の子どもにも自己競争のスポーツを勧めたい。探求心や分析力を生かしながら、自分のペースで取り組むことができるため、興味を持ち、才能を発揮できそうだ。
商人気質の子どもには、ガチ競争のスポーツが向いている。テニスやバドミントンなど、競争心を刺激し、戦略的な思考を養えるものをおすすめする。
パフォーマー気質の子どもは、チームワークが重要なスポーツがおすすめ。サッカーや野球などで楽しみながら協調性を伸ばせるはずだ。
共感者気質の子どもには、表現競争のスポーツが向いている。体操やアーティスティックスイミング、登山競技などである。身体の動きを通じて感情や美しさを表現することに魅力を感じるだろう。
スポーツ以外の習い事については、気質に加えて、子どもの「才能」を考えながら選びたい。ここでいう才能とは、子どもがもともと好きなことや得意なことの分野を指す。STEAM、言語・博物学、音楽、アートの4つに分けて説明する。
STEAM的才能を重視するなら、そろばんやプログラミングなどがおすすめだ。言語・博物学的才能を重視するなら、英会話やスピーチ、競技かるたなどはいかがだろうか。
音楽的才能を伸ばしたいなら、楽器や声楽などのほか、今はパソコンを使ってのDTM(デスクトップミュージック)なども人気が高い。お絵描きや工作を好む子のアート的才能を伸ばしたいなら、絵画やデザイン、生け花や料理、動画・アニメ制作などがある。
ここで紹介した習い事は一例に過ぎないが、親子で多様な選択肢に目を向けるきっかけにしてもらいたい。また実際に習い事を選ぶときは、子ども自身の興味や意志を尊重してサポートしよう。
スポーツや音楽、演劇などの活動が、学業成績やIQの向上や、ストレスの軽減、社交性や自己肯定感の向上にもつながることが最近の研究でわかっている。
アメリカでは「スポーツ活動に参加することが学業成績に良い影響を与えること」「演劇経験がある生徒は、未経験者に比べて英語のテストスコアが平均で66 ポイント、算数のテストスコアが平均で34ポイント高いこと」が確認されている。
カナダでは「音楽を習った生徒は、習わない生徒よりもIQが高くなること」「音楽のレッスンを受けた生徒はIQが高まること」が示されている。
A.6歳くらいがおすすめです。
A.親が見て、子どもに合っているものであれば、続けることをご検討ください。明らかに子どもの気質、才能、興味・関心に合っていないと気づいたら、もちろんやめた方が良いです。
A.習い事自体をやめるのはもったいないので、集団を変えて続けることを検討してはいかがでしょうか。
A.基礎を作る段階だからこそ、お金をかけましょう。自己流で続けてついてしまったクセを直す方がお金がかかるものです。
A.スポーツ系と、非スポーツ系の2つをおすすめします。スポーツを通じて得られる体力や精神力は貴重なもの。学校の体育は苦手でも、習い事でできる種目は多様なので、きっと合うものがあるはずです。
>>子どもの気質や才能の見極め方、それに合った習い事の選び方をより詳しく知りたい方は、「『強み』を生み出す育て方」を参照!

文:木村悦子
FQ Kids VOL.21(2025年冬号)より転載