暑い日に外遊びはOK? 水分補給に最適なドリンクは? サッカー日本代表ドクターに聞く「子供の熱中症対策」

暑い日に外遊びはOK? 水分補給に最適なドリンクは? サッカー日本代表ドクターに聞く「子供の熱中症対策」
いよいよ夏本番を迎え、外で子供と遊んだり、スポーツをする機会も増えるだろう。そこで気をつけたいのが、子供の熱中症対策だ。今回は、公益財団法人日本サッカー協会医学委員会委員/SAMURAI BLUE(日本代表)チームドクターの、加藤晴康先生に話を伺った。

子供の熱中症対策で気をつけるべき点は?

暑い時期にスポーツをするとき、親子ともに熱中症対策が必要だ。しかし、子供は大人と比べて特に気をつけなくてはいけないことがあるらしい。

加藤先生:子供は、『体温を下げるために汗をかく』という発汗機能が未発達です。汗には、蒸発され、気化熱(熱放散)が生じることで体温冷却につながる『有効発汗』と、気化熱には使用されずポタポタ落ちてしまう『無効発汗』の2種類がありますが、子供は『無効発汗』の量が多いのです。そのため、少しの暑さで服がぐっしょり濡れるほど大量の汗をかくのですが、それが体温冷却にはつながりません。子供と一緒にスポーツをする大人がそれをよく理解し、こまめに水分補給を促し、身体を休めて筋収縮による体温上昇を避けることが大切です。風通しのいい場所に移動して水を浴びる、体温を一気に冷やすためにシャーベット状の飲み物やシャーベットアイスを食べるのもいいでしょう。

子供は大人とは汗のかき方が違うことをよく理解して、十分、配慮した対策が必要となりそうだ。

子供の水分補給は何を飲ませればいい?

熱中症対策といえば、水分補給。どんなドリンクをいつ飲ませるのがいいのか。

JFAでは選手に対して、練習前や試合前に500mlのペットボトル1本分を飲むよう勧めているという。飲むドリンクは、スポーツドリンクのほか、より体に吸収されやすい経口補水液を推奨しているそうだ。

加藤先生:大量の汗をかくと、水分とともにナトリウムなどミネラル分が奪われます。ナトリウム不足は足がつるなどの痙攣を起こしますし、身体への悪影響が大きいため、いち早く体内に吸収される飲み物をおすすめします。経口補水液は、自宅でも簡単に作れます。日本ユニセフ協会でも、作り方を紹介しています。

1.沸騰させて殺菌した湯冷ましを1リットル用意
2.砂糖小さじ6杯
3.塩小さじ半分
4.1と2と3をかきまぜる。

出典:日本ユニセフ協会「家でできる経口補水療法」

ただ、経口補水液はナトリウム摂取にはおすすめですが、甘さがないと飲みにくいというお子さんも多いと思いますので、ブドウ糖が多く含まれたスポーツドリンクと水やお茶の併用など、本人が進んで水分摂取してくれる飲み物がいいと思います。

猛暑の日に子供にトレーニングをさせて良い?

猛暑の日でも、サッカーなどのトレーニングを子供にやらせても良いのだろうか?

加藤先生:日本スポーツ協会が定める熱中症予防運動指針では、暑さ指数WBGTが28℃の際には体温が上昇しやすい運動を避けることや、運動する際には頻繁に休息、水分をとることとされています。そしてWBGT31℃では、特に子供の場合には運動を中止すべきと定めていますので、猛暑の日には無理せず、体を動かすトレーニングを控えることも必要です。体調に不安がある子供は参加させない、できる限り涼しい時間帯にトレーニングを行うなど、猛暑下では子供たちの健康を守ることを最優先に考えましょう」(JFA)

※「暑さ指数(WBGT)」とは
WBGTは「Wet Bulb Globe Temperature」のことで、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標。労働や運動環境の指針として定められた。気温と湿度に加え、日射や輻射など周辺の熱環境を取り入れている。
参照:環境省「暑さ指数(WBGT)とは?」

小さな子供には楽しさを体験させることが大事

子供に、サッカーが得意になってほしいと願う親は多いだろう。小さい時期にはどんな風にサッカーをやらせれば良いだろうか?

「小さな子供たちには、友達と一緒にボールを蹴ったり、身体を動かしたりすることの楽しさを体験してもらうことが大事だと考えています。できなかったことができるようになったり、ゴールをしたり、小さな嬉しい体験を積み重ねてもらうことも大切な要素だと思います」(JFA)

子供には、まずサッカーの楽しさをいかに体験してもらうかが重要といえそうだ。

ちなみにJFAでは、小さな子供にサッカーに興味を持ってもらう取り組みとして、巡回指導やフェスティバルなどを実施している。興味があれば親子で参加してみるのも良さそうだ。

子供の暑さ対策や熱中症対策は、親の配慮が重要となる。外で身体を動かし、大量に汗をかくときには十分、注意が必要だ。また、子供には子供に適した環境で楽しくスポーツやサッカーに触れさせてあげよう。

DATA

公益財団法人日本サッカー協会(JFA)
キッズプログラムはこちら

<監修>
公益財団法人日本サッカー協会
医学委員会委員/SAMURAI BLUE(日本代表)
チームドクター 加藤晴康先生

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