2021.11.27
2021.01.04
2024.11.01
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同研究プロジェクトでは、小学1年生から高校3年生の約2万組の親子を対象にした「子どもの生活と学びに関する親子調査2023」をもとに、子どもの「幸せ実感」に関連する要因を多角的に分析。
「自分は今、幸せだ」「自分は将来、幸せになれる」の2項目について、「とてもそう思う」「まあそう思う」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」の5段階で回答させた調査の結果。小学生は「そう思う」「まあそう思う」が9割だった。
一方で、「あまり+まったくそう思わない」と回答した子どもも約1割いた。また、学年が上がるにつれて「とてもそう思う」「まあそう思う」の回答が減少傾向にあった。
子どもの「今」と「将来」の幸せ実感の回答を元に、「幸せ高群/中群/低群」に分け、相関のある項目・ない項目を分析。その結果、「居住する自治体の人口規模」「世帯収入」「父親/母親の教育年数」「子どもの性別」などは、幸せ実感とは相関がないことがわかった。
また、「保護者との会話量」「子どもの成績」とは相関がみられたが、重回帰分析の結果、直接の関係がないことがわかった。
特に小学生のうちは、住んでいる自治体の人口規模や世帯年収は、子どもの幸せ実感に相関があるわけではないようだ。
また、「成績がいい」「保護者との会話が多い」という子どもほど幸せ実感も高かったが、「会話量」や「成績」自体には直接的な相関はみられなかったという。
一方で、家族との関係や、学びを楽しんでいるかといったことには相関がみられた。詳しくは以下を参照してほしい。
「幸せ高群」の保護者の子どもは、5割が「幸せ高群」だった。これに対して、保護者が「幸せ低群」だと、「幸せ高群」の子どもは2割にとどまっている。
保護者の教育的な関わり方として、特に「結果が悪くても努力したことを認めてくれる」といった寄り添うような働きかけを受けている子どもは幸せ実感が高かった。
また、「勉強が好き」と答えた子どもや、自分で工夫して学びに取り組んでいる子どもほど幸せ実感が高く、逆に勉強に意欲を持てなかったり、勉強の方法がわからないと感じている子どもは幸せ実感が低かった。
学校が好き、友達と一緒にいるのが楽しいなど、学校生活や友達関係の状況も幸せ実感と相関があった。
保護者の幸せ実感は、子どもの幸せ実感と相関があった。保護者と子どもの幸せには相互作用があるともいえそうだ。特に小学生については「家族関係」を肯定的に捉えている子どもほど、幸せ実感が高い傾向がみられた。
また、学びとの前向きな関わり方や、友達・学校の先生との関係など、家族以外の人との関わり方も幸せ実感につながっていた。
親ができることとしては、「自分の幸せ」も大切にしながら、温かい家族関係づくりと、学びを楽しめるようなサポートを心がけることで、子どもの幸せ実感を高められると言えそうだ。
引用/参照:東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査」2015-23 「子どもの幸せ実感」調査結果からわかること
文:FQ Kids編集部
FQ Kids VOL.18(2024年春号)より転載
編集部のオススメ記事
連載記事
#今話題のタグ