2020.09.03
2023.05.02
2024.02.27
子育ては初めての経験の連続で、不安になることが多い。身体の負担はもちろん、精神面で参ってしまうというパパ・ママも少なくない。
そんなときこそ相談できる相手が必要だが、休職中だったり、パートナーの転勤などで「アウェイ育児」をせざるを得ない場合も。そうした「孤育て」が問題になって久しいが、現状はどうなっているのだろうか。また、どのような解決策があるのだろうか?
匿名子育て掲示板『てつなぎ』を運営している株式会社コミットグロースは、小学生以下の子どもがいる親を対象に、「子育ての悩み」に関する調査を実施した。
はじめに、現時点での子育ての悩みとして大きいものは何かを尋ねている。最多は「子どものしつけ(ついつい厳しく接してしまう・子どもが言うことを聞かない・反抗するなど)」が37.6%。次いでほぼ同率で「養育費・教育費・生活費・貯金等のお金」が37.1%となった。
以下、「仕事や家事などとの両立(27.6%)」「子どもの教育(受験・進学・習い事・塾など)(23.6%)」と続き、パパ・ママが抱える幅広い悩みが明らかに。
将来的に直面するであろう育児の課題を把握しているかも尋ねると、約半数が「はい(53.4%)」と回答。そこで将来の課題で最も不安なものを質問している。
最多は「養育費・教育費・生活費・貯金等のお金(27.1%)」、次いで「子どもの教育(受験・進学・習い事・塾など)(21.8%)」「子どものしつけ(ついつい厳しく接してしまう・子どもが言うことを聞かない・反抗するなど )(8.9%)」「子ども同士のトラブル・不登校・登園渋りなどの子どもが抱える問題への対処(8.6%)」と続いた。
ここまでの質問で子どもにかかるお金が大きな悩みとなっていることがわかる。お金のことは他人に話しづらく、孤育てやアウェイ育児といった状況で不安を解消するのはなかなか困難だろう。
ここで、「育児の悩みを相談できる人はいるか」を質問している。約8割が「いる(76,5%)」と回答。残る2割が「いいえ(23,5%)」ということは、約4人に1人は悩みを相談できる相手がいないという現状だ。
この状況をもう少し具体的にみてみよう。パパ・ママはどのような育児環境で子育てをしているかを質問すると、「自分が生まれ育った市区町村とは異なる地域で子育てをしている(アウェイ育児)(29.7%)」という回答が最も多い。
続いて「ママ友・パパ友がいない(23.7%)」「1人で育児も家事も行っている(ワンオペ育児)(20.8%)」「近所との付き合いがない状態で子育てをしている(孤育・孤育て・アウェイ育児)(15.8%)」「パートナーの協力が得られない(ワンオペ育児・孤育・孤育て)(15.1%)」「子育てに関するさまざまな悩みを相談する相手がいない(孤育・孤育て)(12.4%)」と並んだ。
多くが孤独な環境での子育てをしていること、孤独になりがちな複数の条件が重なった環境にいる親が多いことも明らかになった。追い詰められた気持ちになるパパ・ママがいることも十分に想像できる。
さらに、「育児中に“もう無理、限界!!! 壊れてしまう!!!”と感じた時はありますか?」と質問すると、約半数が「はい(49.3%)」と回答した。
そう感じたときはどのように対処しているのだろう。「育児中に限界を感じたとき、どのように対処しましたか?(複数回答可)」と聞くと、最も多かったのは「パートナーや義母実母などの家族に相談した(40.5%)」だった。
次いで「何もしていない(30.7%)」「ママ友・パパ友に相談した(20.6%)」「保育園・幼稚園・小学校などの先生に相談した(14.3%)」「市区町村の子育て支援センターに相談した(7.9%)」「インターネット上の育児掲示板で相談した(6.5%)」という結果に。
身近な人に相談した人が多いようだが、何も対処できなかった人が3割いることは見過ごせない。
「子育ての本音や悩みをどこかに(誰かに)吐露できたら、気持ちが楽になると思いますか?」と尋ねると、約8割が「はい(79.3%)」と答えた。話を聞いてもらうだけでも心は軽くなるものだ。
「子育ての本音や悩みはどのような人であれば相談したいと思いますか?(複数回答可)」と質問すると、「同じ月齢・年齢の子どもを持つ近所(同じ児童館・保育園幼稚園・小学校……)のママ友・パパ友(45.3%)」が最多に。
次いで「パートナーや義母実母などの家族(31.9%)」「同じ月齢・年齢の子どもを持つインターネット上の掲示板で繋がるママ友・パパ友(19.0%)」「保育園・幼稚園・小学校などの先生(19.0%)」「自分の子どもの月齢・年齢より大きい子どもを持つ近所(同じ児童館・保育園幼稚園・小学校など)の先輩ママ友・パパ友(18.8%)」「相談したい人はいない(18.0%)」と続いた。
同じ月齢や年齢の子どもを持つママ友やパパ友に相談したい人が多いのは、共感し合いたい気持ちの表れだろう。
最後に、子育ての本音や悩みを吐き出せるサービスとして、どのようなものがあると嬉しいかを具体的に尋ねると、次のような声が寄せられた。
●ラインのように手軽に発信できる媒体(30代/女性/群馬県)
●Siriみたいに話しかけたら答えてくれるようなすぐ聞ける環境があれば嬉しい(30代/女性/茨城県)
●少人数でママ同士(親子とも同年齢・子どもが同じ性別)のオンラインミーティングができるサービス(40代/女性/東京都)
●全国、24時間無料で、匿名で利用できる掲示板。時には専門家に無料で質問と回答のやりとりも行える(40代/女性/茨城県)
オンラインでのチャットや掲示板のサービスが求められているようだ。特に、スマホなどから匿名で相談したいというニーズがうかがえるのは、理解できるところだ。
この調査を実施した株式会社コミットグロースは、パパ・ママが嬉しいことや悩みをシェアし合える投稿サイト『てつなぎ』を運営している。
悩みや不安、愚痴やうれしかったことなど何でも率直に投稿できて「共感」や「応援」をもらえたり、 専門家によるコラムで情報収集できるなど、育児の孤独感を解消できる場のひとつになりそうだ。
調査から、「ワンオペ育児」や「孤育て」「アウェイ育児」の厳しい状況に今も多くのパパ・ママが苦しんでいる様子が浮かび上がった。一方でテクノロジーが新たな仲間作りを可能にもしている。子育てはパパ・ママだけでするものではなく、社会全体でするものだ。苦しいときは遠慮なく誰かに助けを求めてほしい。
〈調査概要〉
「子育ての悩み」に関する調査
【調査日】2023年8月3日(木)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
【調査人数】1,007人
【調査対象】小学生以下の子どもがいる親
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
文:平井達也
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