2024.06.21
2022.04.13
2023.02.20
子供たちを叱る時には、なぜ怒っているのか、その理由を必ず伝えます。子供だからこそ教える。そこをすごく大切にしていますね。
「君たちにはこの先不利な状況に陥ってほしくない。できれば損もしてほしくない。君たちよりもパパはたくさん生きていて、いろんなことを知っているから、だからあえてこういう事を言うんだよ」。そう伝えるのが大前提です。
成績が悪かったとしても、成績が悪いのがいけないんじゃなくて、勉強を継続できないのがいけない。そしてなぜそれがいけないのかというと、この先の選択肢が狭まってしまうから。だから僕が今言っているんだよと説明してあげるようにしています。
他人に迷惑をかけたり、誰かのことを誹謗中傷してしまうようなことは言語道断! そんな時は、「君の器の小ささがよくわかるね」なんて言います。
ただそこで終わらせずに、「君はもっと大きな才能を持っているんだから、そんな小さなことを言うべきではないと思うよ」と、自信につながるひと言を必ずつけ加えるようにしていますね。いつも次のステップにつながっていくような叱り方を心がけています。
僕は、叱ることがマイナスだと思ったことはないんです。僕が学生時代にスポーツをやっていた時も、昭和ですからどすんどすんと怒られていた記憶があります。でも、自分の知らない自分を先生は知っていて、そこにカツを入れてもらうことで気づけることもあった。そうした経験があるからだと思います。
でも、親が上から目線で「なんでそんなことできないんだ!」なんて言うのは、親の器が小さい証拠。頭ごなしに怒って子供がいじけたり、子供が心のシャッターを閉じてしまい、離れてしまうのはもったいないですよ。それより「君ならできるよ」と言ってあげてほしい。
わが家では、「君は僕と女房の子供なんだから、できないはずはないよ」と言っています。
「君はダメなんかじゃない。君は知らないかもしれないけれど、こんな才能を持っているんだよ。パパは子育てしながら君のことをずっと見ていたから知っているよ」と、叱る言葉からほめる言葉に移行する。怒る言葉とほめる言葉は紙一重です。
先日も長男が自分の身体が小さいことを気にして、女房の料理にあれこれ注文をつけていたので、「母親にそんな言い方はないだろう」と叱ったんですよ。
でも「周りの友人は身長も伸びて身体もできてきているのに、自分だけが小さい」と訴えるので、「君は遅咲きなんだから、コツコツトレーニングを継続していれば大丈夫。だからあきらめちゃいけない」と伝えました。
後日、掃除をしようと彼の部屋に入ったら、僕が言ったその言葉が紙に書いて貼ってあったんです。今までも同じことを伝えてきたつもりでしたが、あんまり響いていなかったのに、高校生になったらしっかり伝わったみたいですね。
だから、叱ることは決して無駄じゃない。叱ることがアドバイスにつながる伝え方をすればいい。そう思っています。
子供たちは3人兄妹ですが、それぞれに対しての叱り方は全然違います。特に長男は初めての子育てでこちらも手探りだったから、一番叱られていますね(笑)。
第一子の子育ては、自分がやっていることが最善とは限らないけれど、子供のために正解にしてあげたいというせめぎ合い。正解がわからないから、長男はど直球で怒られていました。
下の2人はそれを見ていて「こういうことをしたら怒られるんだな」という親のスイッチがわかっているから要領がいい。比較的叱る回数も少ないです。
怒った後に反省することもよくありますよ。その時は、なんでこんなことで怒っちゃったんだろうと思います。親子の会話は壁当てみたいなもので、自分の言葉はただ吸収されるだけじゃなく、自分にぽーんとはね返ってくる。
うわっと思いますね。そのうち怒ったことを忘れるのかなと思っていても、ずーっと引きずったりしています。
自分ができないことは、子供もできなかったりするんですよね。「なんで片づけができないんだ!」と叱りながら(あ、俺もか)なんて心の中でこっそり思っていたりします。そうやって、自分の言動が子供の言動になってはね返ってくるのも親子ならではですね。
でも、親だからこそ言えることや、子供をノせてあげるために、親にしか言えないキーワードもたくさんあるはず。隣の家の子に同じことを言っても伝わりません。
親だからこそできる叱り方・ほめ方をストックしておいて、いざという時に投げかけてあげれば、子供が岐路に立った時に導くプレゼントになるんじゃないかなと思います。
照英(しょうえい)
1974年生まれ。俳優・タレント。学生時代、やり投げで全国区の選手として活躍。その後ファッションモデルとして活動し、『星獣戦隊ギンガマン』で俳優デビュー。芸能界にフィールドを広げ、現在は司会やリポーターを務めるなど、幅広く活動している。私生活では、3人の子供のパパとして子育てに奮闘中。等身大の子育て論が、子育て世代に強い共感を呼んでいる。
文:藤城明子
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