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「森のようちえん」スタイルの保育で最も大切にされているのは、子供たちが自然を身近に感じ、実際に触れること。街中にありながらも、大きな公園や緑道が近く、豊かな自然体験を日常的にできるロケーションが用意されている。
そこで過ごした経験が、未来を生きる力や知識になり、自然を大切にしようという意識にもつながっていくからだ。
もう1つ、保育として特徴的なのは、子供たち自身が自然の中でしたいことを選択することを見守る姿勢だ。乳幼児期は芝生の上でハイハイしたり、幼児になれば葉っぱを並べたり、ダンゴムシを捕まえたり、葉っぱの中に埋もれあいをしたり……。子供たちはさまざまな遊びを日々生み出している。
時にはキッズファームで苗植え・収穫をしたり、それを調理して食べる体験をすることも。これら自由な遊びが、子供の五感を発達させてくれる。
「積み木など市販の玩具にはどうしても製作者の意図がありますよね。それよりも遊びをゼロから作り出し、イマジネーションが働く機会を大切にしています。また、『今日はお絵描きの日』と押し付けずに、絵を描きたくない子は違うことをしてもいい。
人数も、複数で遊んでも、1人で黙々と遊んでもいいのです。そういったことを私たちは一切指示しません。こちらで遊びや人数を設定してしまうと、せっかくの創造力や選択する力を育む機会がなくなってしまいますから」と関山さん。
さらに、子供たちの意思を越えて、例えば「縁石に登ってジャンプして降りる」というような、自然とやりたくなって発生する遊びもあり、それが面白いのだという。保育者は、時にその面白さに気付き、時にアイデアに感嘆しながら、微笑ましく見守りそっとサポートしている。
「もあなキッズ自然楽校」では「もあなキッズアースビレッジ」として小・中学生向けに、自然を体験するさまざまな取り組みも行なっている。ここでは、小学生のパパ・ママが参考にしたい3つの取り組みとして、「冒険キャンプ」「海山キッズ」「もあなのいえ」を紹介する。
冒険キャンプ
都会から離れた大自然の中で
共に遊び、助け合う
「冒険キャンプ」は、長期の休みや連休に、都会から離れた大自然で「生きる力」を学ぶ少人数制の宿泊プログラム。子供たちは自然の中で遊ぶ中で、気付きや発見を繰り返して成長していく。
あまり時系列でイベントを詰め込まず、子供たちの「こういうことをやってみたい」というその時々のニーズを受け止めていることも特徴だ。共同生活の中で協調性やリーダーシップも育まれ、共に遊び、助け合う大切さも学べるという。
海山キッズ
季節の自然をじっくり体験
知識を深め安全な遊び方を学ぶ
自然をフィールドに遊ぶ日帰りの自然体験プログラム。磯遊び、シュノーケリング、里山散策、カヌー体験、トレッキングなど、その季節ならではの自然をじっくり体験する内容で、1年を通して参加すると、自然とのつきあい方や、生き物についての知識をより深めることができる。
また何度も参加して経験を重ねることで、失敗から学び、自然の中で安全に遊ぶ方法を身につけたり、学校や学年の違う仲間との絆も深まるのだそうだ。
もあなのいえ
子供たちの自由な発案で
遊びがどんどん発展する学童
横浜市の学童保育施設だが、一般的な学童保育とは違い、子供たちをできる限り自然の中におくことで、自ら生きる力、知識や経験、コミュニケーション力を育める環境を整えている。
スタッフの大人から遊びを提案するのではなく、子供たちの発案で遊びをどんどん発展させる姿勢も「森のようちえん」と同じ。日々、子供たちの発案により、「暗闇の中での鬼ごっこ」「自然の葉っぱや石を使ったジオラマ作成」など、ワクワクするような遊びが生まれている。
森のようちえん もあなキッズ自然楽校
TEL:045-342-8389
MAIL:info@moanakids.org
HP:
もあなキッズ自然楽校
もあなキッズアースビレッジ
関山 隆一さん
NPO法人もあなキッズ自然楽校代表理事/NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟 副理事長/東京都市大学人間科学部児童学科 非常勤講師/田園調布学園大学人間科学部心理学科 非常勤講師。
1971年神奈川県出身。1998年にニュージーランドに渡り、国立公園で現地ガイドとして働く。その後パタゴニア日本支社を経て、2004年にアウトドアオペレーターの事業で起業。2007年、NPOもあなキッズ自然楽校を設立。2009年に森のようちえんスタイルの保育園を開園する。現在神奈川県内に6つの園と1学童保育施設を運営。0歳児から小学生までの自然体験活動を実践している。
監修:関山隆一
文:笹間聖子
FQKids VOL.13(2023年冬号)より転載
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