2021.11.23
2024.03.22
2023.01.31
メイン写真撮影:松尾夏樹
グランドスラムで驚異の優勝20回。圧倒的な強さを誇り、9月に惜しまれながら引退したスイス出身のテニスプレーヤーロジャー・フェデラーさん。11月、その偉業を称え、次世代に想いをつなぐイベント「UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer」が有明コロシアムで開催された。
そこでフェデラーさんをはじめ、錦織圭さん、ゴードン・リードさん、国枝慎吾さんといった、世界屈指のテニスプレーヤーたちが明日を担う子供たちへ贈った言葉を紹介する。
「UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer」は4部構成で行われ、まず「トークセッション」では、各選手がフェデラーさんに関する思い出を披露。
続いて「ジュニアテニスセッション」として、フェデラーさんと錦織さんが小学生約50人と、手のひらにはめたスポンジラケットでボールを打ち合う「テニピン」を楽しんだ後、国内のトップジュニア選手を指導した。さらには、フェデラー選手にまつわるクイズに観客が答えるふれあいコーナーも。
©UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer
また「スペシャルテニスセッション」として、女子テニスプレーヤーの奈良くるみさんも参加し、フェデラーさんと国枝さんペア、リードさんと奈良さんペアによるダブルス戦が行われるなど、プロスポーツ選手を間近に感じ、その魅力に触れられる貴重な機会となった。
©UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer
フェデラーさんはイベント後の記者会見で子供たちに向け、「どうか出来るだけ遠くを目指して欲しい。コーチやご家族の力も借りて、最大限に努力すること、同じミスを2回はしないようにすること、少しずつ上手になること。この3つを心がけてください。
そして、何より強い気持ちを持つことで、次世代を担う選手へと飛躍できます」とメッセージを発信。
日々の練習についても、「ただこなすのではなく、どうしたら、ベストコンディションでない時も負けないかを考えること。それにはとにかく練習です。練習の中で、『これだ!』と思うものを見つけることを常に意識してください」と秘訣を話した。
また最後に、「子供たちとテニスを楽しむことで、やる気に火をつけたり、喜んでいただけることが本当に幸せです。この経験が記憶の片隅に残って、いつかセンターコートに立つ選手が育ってくれたら嬉しいですね」と笑顔で語った。
©UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer
世界ランキングでシングルス4位の記録を持つ錦織さんは、小学生との「テニピン」にジュニアへの指導、さらに「スペシャルテニスセッション」の審判も務めるなど大活躍。
こういったイベントへの参加理由について、「テニス界でこれまで培った経験で、若手選手の育成や社会に貢献していきたいという気持ちと、子供たちに何かを感じてもらえたらと期待する気持ちがあります」とコメント。
続いて子供たちへ向けて、「ロジャー(フェデラーさん)のような世界トップレベルの選手と触れ合い、プレーを間近に見ることで、ぜひテニスの楽しさを学んで欲しいと思います。
テニスだけに限りませんが、スポーツで得られるものはたくさんあります。もちろんスポーツには厳しい部分もありますが、それを差し引いても、ひとつのことを極める幸福感は素晴らしい。大きなものを得られます。
そのことを背中で伝えられるように、自分自身ももっともっと成長していきたいですね。本日いらっしゃった国枝慎吾さんも、いつもカッコいい姿を見せてくれているので、僕もその姿を励みにがんばっていきたいと思います」と意気込みを語った。
©UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer
一方、プロ車いすテニスプレーヤーで、男子世界歴代最多となる計50回優勝の記録保持者である国枝慎吾さんは、次世代へのアドバイスとして、「スポーツは目標がないと面白くない。毎日コートに入る時に『今日は何々がうまくなりたい』と思って練習することが、楽しく続けていく秘訣です。
また、勝ち続けていると『このままでいい』と思ってしまいがちですが、その時こそ自分を疑って苦手を分析し、常にアップデートしていくことも大切です」と語った。
©UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer
2021年、車いすテニス男子ダブルス史上初となる年間グランドスラムを達成したゴードン・リードさんは、「テニスの上達のためには、楽しむことを忘れず、努力すること。そして、コーチの話に耳を傾けることも重要です。そのようにポジティブな姿勢で居続けることは難しいですが、平凡な日や調子が悪い日の方が、調子がいい日より多いもの。
でもそんな中でも努めてポジティブであり続け、過去を振り返るのではなく、未来のことを考えましょう」と真摯に語った。
イベントは終始笑顔にあふれ、参加者は子供も大人も、トッププロテニスプレーヤーから多くのことを学んでいた。フェデラーさんから指導を受けた子供の1人は、「楽しかった。フェデラー選手みたいに世界で戦える選手を目指したい」と話していた。
撮影:松尾夏樹
ユニクロは、今回集まった4人の他、2013年に「マスターズ・トーナメント」で優勝したゴルフプレーヤーであるアダム・スコットさんや、2022年北京オリンピックでスノーボード金メダルを獲得した平野歩夢選手などのプロスポーツ選手を「グローバル・ブランド・アンバサダー」に迎え、次世代を担う選手の育成支援活動に取り組んでいる。
今後はその活動の域を社会貢献にまで広げ、トッププレーヤーの知見と協力を得ながら、子供や多くの人が笑顔になる活動を行なっていく予定だという。
当日、トッププレーヤーを見る子供たちの目は本当にキラキラと輝いていた。この経験はきっと長く記憶に残り、それがいつか、大きな一歩を踏み出すきっかけになるのではないだろうか。
文:笹間聖子
FQKids VOL.13(2023年冬号)より転載
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