2023.06.07
2023.10.13
2023.02.14
先生が生徒に教えるだけの、従来の詰め込み教育への反省から、オルタナティブ教育(伝統とは異なる代替教育)が脚光を浴びている。合わせて「生きるための力」を重視するアクティブラーニングも、子供を主体とした対話的な学習として、文部科学省による本格的な導入がすでに始まっている。
世界的にも、テストで点数化することのできない非認知能力こそ、多様化する社会において重要であるということは認知されている。では、従来の幼児教育、学校教育だけでいいのだろうか……?
お話を聞かせてもらったのは、教育方法学が専門である、岡山大学准教授の中山芳一先生。日本と海外の教育法についての知識をアップデートしていただけるはずだ。
Q&A形式で知る
いまさら聞けない日本と海外の教育法
「所変われば品変わる」は、教育についても言えそうだ。海外の教育法と日本の教育法にまつわる「あるある」な疑問と中山先生の答えを、Q&A形式でまとめた。
テストで測れない非認知能力を重視する点です
海外の優れた教育法に共通するポイントは子供に「勉強をやらせない」ということ。「非認知能力」というワードの火付け役となったジェームズ・ヘックマン先生は、IQや学力といった認知能力だけでは社会的成功はないと主張します。
日本の幼児教育は実はかなり良いんですよ!
アメリカでも旧来の教育は詰め込み型でした。そうした教育法に対し、長年異を唱えてきたのもジェームズ・ヘックマン先生です。ところが、昔ながらの日本の幼児教育では、当然のように非認知能力の育みを行ってきたんです。
公立ではほぼありません。今後に期待です!
文部科学省の定める学習指導要領があるので、日本の義務教育では難しいです。学校運営は各都道府県、市区町村に委ねられていますが、近年では独自の取り組みとして海外の教育法のエッセンスを取り入れるところもあるようです。
例えばモンテッソーリなら子供の自主性を重視する。
海外の教育法の多くに共通するのは、子供の権利を理解して尊重するということ。何かを与えるのではなく、子供自身が興味を持つことを、できるだけ妨げずに見守ることです。親子が対等に、一緒に取り組むのもポイントです。
普通の保育園ですがかなり満足しています。
わが家の子供たちはみんな、普通の認可保育園に通っています。保育者が意図することを直接伝えず、環境に溶け込ませているのが日本のトラディショナルな幼児教育。なかなか気付かないことですが、とても素晴らしいと考えています。
中国をはじめとして英才教育志向が強めです。
近年はマレーシアやシンガポールなどの、教育環境の良さが再認識され人気を集めています。中国では割と早い段階でSTEAM教育を取り入れるなど、アジアの教育も熱を帯びています。共通するのは英語教育に対する環境が整っているという点です。
中山芳一さん
岡山大学教育推進機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中学生、高校生まで、各世代の子供たちが非認知能力やメタ認知能力を伸ばすことができるように尽力。著書多数。
文:木村悦子
FQKids VOL.12(2022年秋号)より転載
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