2022.03.03
2020.08.03
2022.12.30
世の中にあふれる既製のオモチャやゲーム機器。子供たちの「買って!」の声に対し、何を選ぶべきか悩む親たちは多い。
「ゲーム機や既製品の多くは、それらを作った大人たちに“遊ばされる”もの。子供たちは遊んでいるのではなく、指示をなぞり、サービスを消費しているだけです」。
そう語るのは、幼児教育の専門家である横山洋子さん。本来の“遊び”とは自分で考え、自分で作り出すもの。「子供は棒1本や紙1枚でも遊べます。1本の棒でこんなこともできる、あんなこともやろうと自分で遊びを作る中で、子供にとって大切な主体性が育ちます」。
もちろん、小さな子供が考えた遊びはうまくいかないこともある。そこで試行錯誤を重ね、時には「ママ! これ手伝ってよ!」と親に手助けを頼むことで、コミュニケーション能力も育っていくのだ。
「子供が大好きな“ごっこ遊び”も、人と関わる経験を積むチャンス。人形相手にひとりで“ごっこ遊び”をするのも楽しい時間ですが、そこに親も参加して、子供にとって想定外の反応を返すことで、人と関わる能力や対応力が育ちます」。
子供の“遊び”に親が参加する時は、「子供に決めさせる」や「子供の言いなりにならない」がポイント。子供の自主性を尊重しつつも、違う意見があることに気づかせることが、子供の成長につながるはずだ。
とはいえ、日々忙しく、子供との“遊び”の時間を捻出するのも難しいパパやママもいるだろう。また、子供も5歳ぐらいになると“ひとり遊び”のスキルを身につけ、自分が興味のあることを追求できるようになっていく。
“ひとり遊び”をしている子供に対しては、「これ面白いね!」とひと言声かけて。子供は自分に興味を持っている親の存在を実感して、親からの「面白いことを考えるね」という認められた言葉によって、自己肯定感も高まるはずだ。
「無理に一緒に遊ぶ必要はありませんが、子供と関わるひと時は、親にとってもいやしの時間。日々成長する姿を見ることが励みとなり、親子の信頼関係も深まります」。
遊び方が決まっていると
「主体性」は育たない
既成のオモチャで遊び方が決まっているもの、またゲーム機器などは、決められた指示をクリアすることが目的となっており、子供の「主体性」や「想像力」は育ちにくい。また既定の路線をくり返すことになるので、子供たちも飽きやすい。
自ら創り出す遊びで「主体性」を育てる
シンプルな棒や紙を使って自分で“遊び”を生み出し、「こんなことができる!」と遊ぶことは、自分で考え、自分で行動することにつながり、自然に子供の主体性が育つ。本来の“遊び”とは、子供が自分で創り出すものだと考えよう。
●主体性:自分で考え、自分で行動して自分で責任をとる力
●思考力
●自尊心
●感性
●挑戦意欲
●自己肯定感
●粘り強さ
●シミュレーション力
横山洋子さん
千葉経済大学短期大学部こども学科教授。幼稚園・小学校の教諭として17年間の現場を経て現職。近著『才能が大きく育つ! こどもおうちあそび大全』(永岡書店)の他、著書・監修書多数。
文:藤城明子
FQKids VOL.12(2022年秋号)より転載
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