2022.08.04
2022.12.23
2022.12.05
もうじきクリスマスです。楽しみで仕方ない子供たちも、きっと多いでしょうね。
5~6歳から小学生まで大人気の「ミッケ!」シリーズは、プレゼントにもおすすめの一冊です。ここでは、クリスマスがテーマの巻、『ミッケ! クリスマス』(ジーン・マルゾーロ/文、ウォルター・ウィック/写真、キャロル・D・カーソン/デザイン、糸井重里/訳、小学館)を紹介します。
『ミッケ! クリスマス』
あらすじ&非認知能力を伸ばすポイント
ジーン・マルゾーロ/文、ウォルター・ウィック/写真、キャロル・D・カーソン/デザイン、糸井重里/訳、小学館
ご存知の方も多い、子供たちに大人気の絵探し遊びシリーズです。魅惑的な写真の数々は、時間を忘れて見入ってしまいます。シリーズ3作目の本書では、クリスマスムードたっぷりな風景の中で、オモチャや動物を探して遊ぶことができます。
物語を感じながら
目的をクリアする快感を得る
「ミッケ!」シリーズの絵本は、たくさんのもので構成された写真から、お題のものを探す遊びで読み進めていきます。もので溢れる見開きページには、大人は5分も眺めればお腹いっぱいになってしまいますが、子供はまったく飽きることがありません。
子供たちは、話しかけるような問題文に従って、画面をくまなく見つめます。一緒に読む子がいれば、気持ちは一層前のめりになります。
「あかいくつ、サンタさんの わすれもの?」の一題を探す間に、目に入るのは、ゴールの赤い靴だけではありません。途中でいろんなことを観察しています。「こんなところにどんぐりが落ちてるなぁ」とか、「クマたちが楽器を演奏してる!」とか。
いろんな物語の存在を感じながら、お目当てのものを見つけて叫ぶ「ミッケ!」の快感。これを感じたくて、同じ本を何度も何度も開くのです。そんな子供たちの感覚は、私自身も今でもよく覚えています。本シリーズ1冊目の『ミッケ!』で、当時子供だった私はくりかえし遊んだものです。
強制はまったくの逆効果
遊びの中でこそ育まれる非認知能力
じっくり取り組むこうした絵本には、知らず知らずのうちに、子供たちの忍耐力を養う側面があります。ただし、「忍耐力をつけてほしいから」などと、大人が無理にすすめるようなことは絶対にしないでください。
大切なのは、子供たち自身が遊びたくて絵本を開いていることです。大人に強いられた瞬間、それは遊びではなくなってしまいます。読みたいと言って持ってきたら一緒に楽しめばいいですし、子供同士で競い合うという読み方も楽しいものです。
子供たちは、興味のあることには、高い集中力で長時間取り組むのを苦にしません。この状態の時に、忍耐力という非認知能力も養われるのです。
絵本ワークショップ研究家/ワークショッププランナー/著述家
寺島知春
『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』(秀和システム)著者。東京学芸大学個人研究員。約400冊の絵本を読み聞かされて育った体験と、絵本編集者の経験とを軸に、2010年より絵本の専門家として各種メディアで執筆。東京学芸大学大学院で絵本とワークショップについての研究を開始し、2020年に修了した。現在は、絵本とワークショップに関する執筆や、幅広い年齢層に向けたアートワークショップ、各地での講演やゲスト講義を行う。「アトリエ游」主宰。
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Note:アトリエ游 てらしまちはる・寺島知春
公式サイト:あそぶ、育つ、癒される。アトリエ游
『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』
¥1,760(税込)
多岐にわたる非認知能力を、OECD(経済協力開発機構)による9つの分類をベースにしてわかりやすく紹介。絵本で非認知能力を伸ばすために重要なポイントや、子供が面白がる180冊などを詳しく解説している。
文:寺島知春
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