2022.02.28
2020.09.03
2022.11.11
子供が食材に興味を持ってくると、何かお手伝いをしたいとか、料理をしてみたいといった関心を持つようになることがあります。
そんな時に「何から始めたらいいのか」ですが、それはその子の年齢に限らず、興味の度合いにもよるので、一概には言えません。ただ、「どれくらい集中力が持つか」は1つの重要なポイントになります。
何かを少しやっただけで、「ああ楽しかった」と満足してどこかに行ってしまう子もいれば、1つの作業をちまちまとずっとやり続けられる子もいます。一番いいのは、何かを1つやらせてみて、「この子はどういうことをしていると集中できるのか」「どんなことなら楽しそうにやるのか」と、観察することだと思います。
例えば、集中力が続かない子に餃子を何個も包むようなお手伝いをさせても、すぐに飽きてしまいます。だったら、そういう子にはお好み焼きをひっくり返すような一発勝負のことをさせて「すごい! 上手だね!」などと盛り上げて、成功体験を印象に残してあげるといいのではないでしょうか。
大事なのは、親がその子をきちんと見て、どういうことをやっていると楽しそうなのかを探っていくこと。「何歳だから〇〇ができるようになる」みたいな、誰が決めたかわからない目安は気にしなくていいと思っています。
とは言ってみたものの、私も毎回、「この子は瞬発力より持続力だから……」などと考えながらお手伝いさせているわけではありません(笑)。
それに、子供はなんとなく飽きてしまったり、気分が乗らなかったりして途中で投げ出してしまうこともよくあります。そしてついつい「なんでもうやめてるの?」「全然終わってないじゃん!」なんて口を出してしまったり。子供の興味はいろんなところにありますから、毎回こちらの思い通りになんていきませんよね。
「もう少しお願いできると助かるなぁ」と、ある程度粘って気持ちを伝えつつ、諦めるのも肝心。気をつけたいのは、誰かと比べてその子のことを否定しないこと。そして、得意なことが見つかったり、やり遂げてくれた時には、しっかり褒めてあげることです。その子ならではの頑張りを認めて大切にしながら接してあげられるといいですよね。
子供だからといって、全部導いてあげる必要はないと思っています。
うちの子供に初めて包丁を持たせた時のことをよく覚えているのですが、とんでもない持ち方で切り始めたので、横で見ていた私はとてもヒヤヒヤしていました。
でも、子供だって包丁が怖いものだということはわかります。だから「どうすれば安全か」を必死に考えるんです。そうすると、食材に添える手が段々と“猫の手”になっていく。
その過程を実際に目の前で見届けた時、猫の手で持てと言われたから何も考えずにその通りやるよりも、「怖かったけどこうすれば大丈夫だ」と自分で気づいていくことの方が、この子の力になるなと思ったんです。
一緒に料理をしていると、そういう瞬間がすごくたくさんあります。
先回りして答えを教えるのは簡単ですし、そっちの方が親にとってはスムーズにいきますが、それでは学べないこともあるような気がします。
料理に興味を持っている子供には、大事なところをその子に託してみると面白いかもしれません。例えば「味付け」です。
「もうちょっとしょっぱくしたいんだけど、何を入れたらいいと思う?」といった感じで子供に委ねてみるのです。
それをするためには、親が「どれくらいの塩分量なら大丈夫なのか」をわかっておかなければいけないし、塩分を足すための調味料や食材、例えばベーコンやアンチョビなどもそうですが、ある程度の選択肢を示してあげる必要はあります。
でも、正解の分量を気にすることよりも、どうやって味を決めるか一緒に考えてみたり、実験する感覚でご飯を作ってみたり、楽しむことを優先してほしいなと思います。
それを一緒に食べることも含めて、子供自身も「関わった気持ち」が持てますし、ただ玉ねぎの皮をむいて終わってしまうお手伝いよりも意味のあるものになるはずです。
和田明日香
料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。
文:志村江
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