2020.09.08
2021.08.29
2022.10.12
ゲームやプログラミング教育の普及によって、「将来はゲームに関わる仕事がしたい」と希望を抱く子供も多いことだろう。メタバースやNFTが社会を変えるかもしれない、と言われる今、デジタル技術を駆使した仮想世界がリアリティをもって身近に感じられている。
子供たちにとってゲームは、そんな未来への入口でもある。ゲームに関わる仕事をしているのはどんな人で、何を思っているのか。これはパパママにとっても興味があるはずだ。
PlayStation®を展開するソニーは、子供たちの好奇心を拡げ、創造性や問題解決力、多様性を受け入れる力の向上を応援する教育プログラム「CurioStep with Sony(キュリオステップ)」を実施している。STEAM領域のイベントやワークショップなどを通して、感動や驚きをともなった体験の場を提供する取り組みだ。
「CurioStepサマーチャレンジ2022」の1つとして8月27日に開催されたのが、オンライントークイベント「ゲームってどんな人がつくっているの? PlayStation®の人に聞いてみよう!」。
登壇したのはゲーム機の設計に関わる土田真也さん、ゲームソフトの制作に携わるドゥセ・ニコラさん、マーケティングに携わる寺本亜紀子さんの3名の社員。オンラインチャットサービスで視聴者からの質問やコメントを募集したり、クイズを交えたりしながら熱気のあるやり取りが交わされた。
最近のゲーム機のコントローラーはリアルな体感で楽しませてくれる。土田さんは熱がこもらないように空気の通り道を計算していること、ゲームの内容によってコントローラーのボタンの押しごたえが変わるようにしていることなど、プレイステーション®5(PS5)のこだわりを紹介。こうしたこだわりも、プレイヤーを魅了する大切な要素であることを伝えた。
実際にMCが、PS5本体やコントローラーについても深く知ることができるゲーム「ASTRO’s PLAYROOM」をプレイし、土田さんが解説することで、迫真のレクチャーとなった。
「ASTRO’s PLAYROOM」の制作に携わっているのが二コラさん。ゲームソフトがどのような過程で作られるかが紹介された。ホワイトボード一面にたくさんのアイデアを書き出し、チームのメンバーと共有している時の様子も映し出される。視聴者からは「すごい!」「こんなに考えてつくられているんだ!」と感動のコメントが寄せられていた。
ゲームで人をワクワクさせるために大切なのは、小さい子供から年配の方まで、老若男女が楽しめるものを作ることだという。そしてゲームクリエイターは、「素晴らしい技術を魔法にかえる仕事」であると語られた。
マーケティングは、人々がどんな楽しさを求めているかを調べ、新しいゲームを知ってもらう仕事だ。そのためには「商品のターゲットを知り、その人がどんな生活をしているか、どのようにして情報の取得をしているのか」が大事だと寺田さん。
そんな仕事を寺田さんは「世界中の仲間と共に宣伝をしていく、やりがいの感じられる楽しい仕事です!」と自信をもって語った。
登壇の3人は子供の頃から大のゲーム好き。フランスの自然に囲まれた田舎で育ったという二コラさんは、「自分自身の動きが画面に反映され、まるで異世界に行ったかのような感覚を味わえるゲームというものに驚き、あっという間に魅了されてしまった」そう。
その時の感動が今、技術を駆使して魔法のように異世界を創り出す仕事に生かされているのだ。
参加者の関心は、今の仕事に就くきっかけにも向けられた。土田さんが大学時代に学んでいたのは自動車の設計だったという。ところがゲーム会社の説明会で、自分の勉強している分野との関連性を感じたことがきっかけとなり、ゲームの仕事をすることになったと話す。意外な経緯から、出会いの大切さも伝わったことだろう。
最後に3人から子供たちへのメッセージが送られた。「ゲームへの情熱があったからこそ今の仕事をしている。初めからどんな道になるかは予想がつかないけれど、自分の夢を信じていればきっとうまくいく」「少しでも何かに興味を持ったら、調べてみたり、行ってみたり、聞いてみたりしてほしい。そうすると、もっと人生が楽しくなる」。
メッセージを受け止めた子供たちからも次のような感想が寄せられた。
●「ゲームをつくる仕事」とひとことで言っても、こんなにたくさんの種類があるということを初めて知り、とてもワクワクしました。
●今回出てきた動画やゲーム(ASTRO’s PLAYROOM)がとてもかわいくてキレイで感動しました。こんなキレイなものをプログラミングで作れるということに驚きました!
トークイベントに参加した子供たちはゲームに対して新しい見方ができるようになったはずだ。ゲームの背景には、関わった多くの人の人生と情熱が込められているのを感じられるようになったことだろう。
ディスプレイに映し出されるバーチャルなゲーム空間。しかしその裏には、制作した人たちのリアルな苦労や喜びや夢が詰まっている。それなくしてはゲームは生まれない。どんなにデジタル化が進んでも、原点には生身の人間がいることを、子供たちには伝えていきたい。
文:平井達也
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