おうちで子供にプログラミングを教える前に! 知っておきたいSTEM教育「4つの基本ステップ」

おうちで子供にプログラミングを教える前に! 知っておきたいSTEM教育「4つの基本ステップ」
大きな教育投資をしなくても家でできるSTEM教育がある。それが「STEMONメソッド」だ。今回は、STEM教育のパイオニアで公共教育でもっとも多くの実績を持つSTEMONを取材した。

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STEMON(ステモン)メソッドとは?

STEMONの独自メソッドを支えるのは、3つの学習理論だ。1)世界最高水準のカリキュラムともいわれる米国マサチューセッツ州児童履行カリキュラム 2)文部科学省が学習指導要領の策定に参考にした英国のプログラミング教育思想 3)2020年に移行する新しい学習指導要領を精査し、理科の「物質・エネルギー」の領域をカバーする。

2014年よりSTEMONのカリキュラム開発を監修しているのは石原正雄氏だ。学習理論「コンストラクショニズム」に基づく教育実践の第一人者。組織開発やキャリア開発で有名なレゴ®シリアスプレイ®メソッドのアジア地区唯一のトレーナーとしても活躍している。主な著書に「スクラッチ アイデアブック」他多数。幼児から社会人までの教育をコンストラクショニズムの考えに沿ってデザインし、国内・海外の教育機関において導入を支援している。

STEM教育の具体的なやり方は?

STEM教育のうえで大切なのは、以下の4つのステップを踏むことだ。

1. 世の中の様々なものの「しくみ」を親子で発見する(様々な視点を養い、自由な発想力を身につける)

2. 実際に作ってみる(ブロック遊び、工作、お絵描き、料理、楽器演奏なんでもOK)

3. 失敗しても繰り返し挑戦すること(レジリエンスを身につける)

4. できたものを見せ合うこと(多様性を知る土台づくり)


STEP1では、まずその「しくみ」を親子で発見する。見つけるポイントは3つの視点。①世の中を安全にしているもの②世の中を便利にしているもの③みんなを「楽しい!」気持ちにさせているもの。

STEP2&3では、実際に手を動かして形にし、完成するまで投げ出さないレジリエンス(元は物理学用語。外力による歪みを跳ね返す力)をつけ、出来上がったものを親子で見せ合う。「みんなと違っていいんだ」という多様性を学ぶ土台になる。

さっそくやってみよう!

STEP1
当たり前のことに「ギモンを持つ」

日常にはSTEM教育の題材が溢れている。例えばコンビニでジュースを買うと、棚の中で次のジュースが後ろからスーッと滑り落ちてくる。なぜか? 滑車や車軸、斜面といった様々な「しくみ」が内包されているからだ。

身の回りに当たり前のように存在しているモノを「しくみ」の視点から、子供と一緒に徹底的に見つめ直す機会を与える。それは高校物理で学ぶ動滑車という原理原則に繋がり、ブロック玩具などを使って作りながら知識を構築していく体験をしていると知識はすんなり頭に入ってくる。

すべてが社会とつながっていることに気づくと、やらされ感ではなく学ぶことが楽しくなり、自発的になる。

取材当日のテーマは風力発電。固定されたハブを中心に、羽根(ブレード)に風が当たると回転するしくみを導入として説明を受けたら、いざ風車製作へ。何重にも重ねたハブを作成中。

STEP2
「とにかく手を動かす」

作るものの明確なイメージが初めから湧くことはない。「とりあえず手を動かしてみよう!」「失敗してもいいからやってみよう!」というスタンスで作り始める。徐々にそれなりのものを仕上げられるようになり、自信もついてくる。

STEMONでは、作りながら新しい知識を脳内に構築(コンストラクト)していく。すべてのレッスンは毎回ブロックをバラして1から作り直す1回完結型。導入として始めに簡単な「しくみ」を講師が10分レクチャーしたら、残りの40分は自らで自由工作。

理系脳は遺伝でも才能でもなく訓練で誰でも身につく。今あるコンフォートゾーンよりちょっとハードルの高い「限界的練習」を繰り返せば伸びると心得るべし。

あれれ? 風を当ててたのに回らない! なぜ? 自分たちでその「なぜ?」を探求し、考え、空洞のブレードに原因があることに自ら気づく。ブレードに楽しげに紙を貼っている。

STEP3
失敗してもチャレンジする「粘り強さ」

自由工作にトリセツはない。だから失敗の連続になる。出来上がったものも、みなそれぞれ異なる。「人と違っていいんだ」と思えるスタート地点が大事。

「まずは作ってみよう」→「失敗しても別にいいや」→「失敗するのはよくあることさ」という回路で、粘り強くやり続ける力が身につき、PDCを繰り返すことで「ぼくだったら、きっと良いものに辿り着けるはず」という自信になる。

失敗こそがチャンス。STEM教育の本質は、失敗を恐れず「チャレンジする精神」、「自己肯定感」、他との違いを受け入れる「多様性」にあると心得るべし。

う~ん、回らない。なぜだ? ブレードが均等にハブに差し込まれていない? ブレードが緩んでバブにしっかり固定されていない? あらゆる角度から回らない原因を究明中。

STEP4 完成!
成功体験により、「自己肯定感」が身につく

STEMONでは「答えが見通せていない→間違えるかもしれない→失敗しちゃうのがこわい→失敗するくらいなら挑戦しない」という負のループが生まれない。

やったー! 回った。目の前の扇風機からでてきた風のエネルギーで自分が作った風車が回った。この回転運動を発電機に伝えると発電される。手を動かして生きた体験として学んだ。

実際に社会に出れば、学校のテストと違い正解などなく、先が見通せなくても問題解決する力が必要とされる。

出来上がったものは、人それぞれ形状も大きさもバラバラで当たり前。それが自分と違う他者を受け入れ「みんなと違っていいんだ」という多様性を学べるのが、STEM教育の醍醐味だ。

教えてくれた人

STEMON代表 中村 一彰さん

2015年4月からアフタースクールコンテンツ「STEMON」 として展開し、学習塾などとの提携も含めて全国50か所で開催。8歳と6歳の2人の娘のパパ。公立小学校5年生に理科を教えていた経歴を持つ。「創ることで学ぶ」コンストラクショニズムをベースとした独自プログラムを展開。


文:脇谷美佳子

FQ JAPAN VOL.49より転載

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