2022.08.08
2021.09.06
2022.05.10
新年度が始まって早1ヶ月。ガラッと変わった環境で気を張りながら頑張っている親子は少なくないだろう。うまく気分転換して乗り越えたいが、真面目な人ほど、気分転換にも真剣に取り組んでしまい結局疲れがとれない、なんてことにもなりがち。
家でごろごろ本を読んで終わる休日が、大人にも子供にもあっていい。そろそろ気疲れが出てくる時期に、肩の力がスッと抜けるような「事典」をおすすめしよう。
株式会社マイクロマガジン社発行の『大人も知らない? ふしぎ現象事典』がその本だ。
「ふしぎ現象」研究会/編、ヨシタケシンスケ/イラスト、¥1,100(税込)
累計6万部を突破し、重版となって販売されている。その内容だが、いわゆる「事典」とは雰囲気が異なる。
同書で学べるのは「大人でも理由を答えられないような「『ふしぎ現象』の名前と由来」だ。たとえば多くの人が経験したことがあるだろう「テストの前の日になると部屋の掃除がしたくなる」現象。これにもちゃんと名前があり、合理的な理由があるというのだ。
また、新学期・新生活が始まって間もない今の時期、特に敏感になりそうな、次のような「ふしぎ現象」も解説されている。
「教室がガヤガヤしていたのに、一瞬、誰もしゃべらずシーンとなった。」
「大好きなYouTuber、仲良しの友達も当然好きかと思っていたらそうじゃなかった。」
「嫌なことがあった時、それを友達に話すと気分がすっきりした。」
こうしたふしぎを子供はきっと経験している。パパやママも子供時代の思い出として、「あった、あった」と感じるだろう。いや現在でも類似のふしぎ体験をしているかもしれない。
人気の秘密は、こうした「あるある感」だろう。そしてそれが科学的に解き明かされるささやかな快感。イラストのコミカルな味も単体で楽しめるものだ。
執筆はココロ社氏。東京大学文学部卒業後、サラリーマンのかたわら書籍の執筆を展開している。イラストはヨシタケシンスケ氏。多数の人気絵本や、育児マンガ『ヨチヨチ父』を手掛けるなど、幅広く活躍する。
「こうありたい」「こうでなければいけない」という思い込みが、自分を苦しめることは誰にだってある。自己実現に励むのは大人にとっても子供にとっても悪いことではない。しかしそればかりでは息苦しい。
生真面目さを自分ではぐらかすことも時には必要だ。テスト前に掃除がしたくなってしまうような、ダメだなぁと思う部分も含めて、自分といかにうまく付き合っていくかも、大事なスキルだ。
文:平井達也
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