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レッジョ・エミリア教育には、「子供たちは100の言葉を持っている」という有名な哲学がある。レッジョ・エミリア教育の普及機関「JIREA(Japan Institute for Reggio Emilia Alliance)」を一昨年立ち上げた松本理寿輝さんは、その真意をこう解説する。
「人は言語だけで学習をしているのではなく、様々な“表現言語”を持っています。レッジョでは、アート、ダンス、音楽などあらゆる表現を、それぞれ1つの言語として捉えています。表現言語を含む多言語で世界や他者と関わり、自分を表現することを通して、クリエイティブ思考・クリティカル思考・コミュニケーション力・美的感覚といった非認知能力を体得していくのです」。
実際、子供たちの表現言語はとても豊かだという。
「ひまわりを粘土で作る子もいれば、立体で作る子、パステルで描く子もいます。同じひまわりが100通りの表現から理解されていく。音楽に強い関心を持つ子がいた時は、周りの子供たちも影響を受けて、みんなで楽器を作り、音楽会を開催したことも。子供たちの表現言語は、大人よりもよっぽど巧みです」。
レッジョ・エミリア教育の根幹は、「共同性」と「創造性」。コミュニケーションによる相互作用も重視しているという。
「朝の会で、『今日は自分が何をやりたいか』を語り合い、自分たちで活動を決めていくのですが、1人ひとりのアイデアが重なって遊びが想像される場面がよく見られます。大人が子供たちに一方通行の知識を伝達するようなこともしません。1人ひとりがお互いに刺激を受けながら、自然に学ぶ環境を作っているんです」。
レッジョ・エミリア教育
実践例
100の表現言語
レッジョ・エミリア教育を取り入れた「まちの保育園・まちのこども園」での様子。毎日、朝の会で子供たち自身が活動内容を決め、絵を描いたり、粘土で形を作ったり、切り絵をしたり……。子供たちとコミュニティの生活の中に「子供たちの100の言葉」が行きわたっている。
プロジェッタツィオーネ
レッジョ・エミリア教育には、カリキュラムも時間割もない。その代わりにあるのが「プロジェッタツィオーネ」という概念で、子供の興味・関心から始まる探究活動のこと。写真上は、子供たち自身が発案、企画して行った「葉っぱの美術館」。写真下は、美術館の招待状。
とにかく子供が好きなことをとことんやらせてあげる。親は一緒に伴走していく気持ちで、結果よりもプロセス、もっと言えば子供の「好き」という気持ちに寄り添い、評価してあげることが大切だ。
松本理寿輝さん
理想の保育・教育を追究するナチュラルスマイルジャパン株式会社代表。現在都内にて3つの認可保育園「まちの保育園」と2つの認定こども園「まちのこども園」を運営。2020年10月「JIREA」を設立。
文:曽田夕紀子
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