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国内外の教育現場において、今、多くの関心を集めている「非認知能力(Non-Cognitive Skills)」。あらためて、非認知能力とはどのような力のことを指すのだろうか。岡山大学准教授の中山芳一先生に話を聞いた。
「平たく言うと、テストで点数化できるのが認知能力、点数化できないのが非認知能力です。忍耐力や意欲など、自分の内面やパーソナリティに深く関わる力や、コミュニケーション力や思いやり、共感性など、他人と自分との関係で必要とされる力などがあります」。
読み・書き・そろばんといわれるようなものからIQ(知能指数)、英語力などは数値化できるため認知能力となり、意欲・楽観性や忍耐力・自制心、さらには思いやりやコミュニケーション力は数値化できないため非認知能力となる。ただし、ここからは認知能力、ここからは非認知能力……ときっぱり線引きできるものばかりではなく、両方の性質を併せ持つものも多い。
2017年には幼稚園教育要領が、2020年には小学校の学習指導要領が改訂され、非認知能力を重視した内容が盛り込まれた。近年、非認知能力が重要視されるようになった背景について中山先生はこう語る。
「人工知能(AI)などの科学技術が劇的に革新した結果、2045年には世界がシンギュラリティ(技術的特異点)を迎えると予想され、『AIによって仕事が奪われる時代』という危機感も煽られるようになりました。また、科学や医療の進歩により、人生100年時代も間近に迫っています。これからの時代における人間の役割を考えたとき、知識偏重の教育や学歴社会で対応できなくなるのは火を見るより明らか。
さらに、コロナ禍の影響も加わり、マニュアルが通用しない、未知のものへの対応力の必要性が浮き彫りになったのです。子供たちには、自分で自立的・主体的に人生を切り拓いていくための能力の獲得・向上が必要不可欠です」。
これからの時代により一層求められる非認知能力は、3つの枠組みの能力群として整理することができる。それぞれが別々に作用するものではなく、お互いに高めあったり、引っ張り合ったりするような相関関係がある。
非認知能力は、児童期(小学生)以降でも意識を働かせながら伸ばすことができるといわれている。そのためにも乳幼児期の非認知能力の基礎づくりが重要になるという。
「自分という存在を安心して受け入れられる『自己肯定感』は、非認知能力が伸びるための土台です。まずは、わが子との愛着関係を大切にしましょう。その上で、非認知能力を伸ばしていくために、大人からの一方的な押し付けや指示を出すのではなく、本人が自ら選べるような経験を積み重ねられるようにしてあげてください」。
ちなみに、大人になっても非認知能力は伸ばせるそうだ。
「大人になるにつれて、より一層『意識すること』ができるようになります。この場面では『もっと落ち着こう』『もっと相手の意見を聞こう』などとはっきり意識できれば、状況に応じて非認知能力を伸ばすことが可能です。子供のお手本になれるよう、私たちも日々伸ばし続けていきましょう」。
中山芳一先生
岡山大学全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むと共に、幼児から小中学生、高校生たちまで、各世代の子供たちが非認知能力やメタ認知能力を伸ばすことができるように尽力。著書多数。
文:曽田夕紀子
FQ Kids VOL.06(2021年春号)より転載