小学生の96%が“お金に興味を持った”授業とは? 遅れる日本の「お金教育」事情

小学生の96%が“お金に興味を持った”授業とは? 遅れる日本の「お金教育」事情
日本では諸外国に比べてお金の教育が遅れているという。わが子にお金の仕組みについてどう教えるべきだろうか? 小学生に金融教育というと難しいイメージがあるが、1つの実践例を紹介しよう。

なぜ金融教育は広まらない?

昨今注目されている子供へのお金の教育。日頃当たり前のように扱っているものなのに、教育となると少し構えてしまう……ということはないだろうか? 1つには、実は大人自身がお金をよくわかっていない。もう1つには、子供に何をどう教えるべきかわからない。そんな事情から、必要性が叫ばれつつもお金の教育は広がらないのだろう。

とはいえ個人個人の資産形成が重要な現代において、お金の知識には子供のうちから親しんでおきたいもの。金融・財務コンサルティング企業である株式会社ノークリーは、お金・資産形成の授業を小学生に実施。子供たちの反応はどのようなものだったのだろうか?


日本の金融教育の深刻な遅れ

日本の金融・財務リテラシーは、MasterCard社が実施した「アジア/太平洋地域の財務リテラシー指標調査(2012)」にて、アジア・太平洋14ヶ国中最下位という結果だった。こうした中、2022年度から高校の家庭科で、金融商品についての授業が始められた。

文科省では小中学校でもお金の教育を進める方針で、金融庁もホームページに「小学生のみなさんへ」というページを設けるなど、早期からのお金の教育は重視されてきている。ノークリー社も小学生という早い段階から金融教育を提供する重要性を認識し、小学校での授業の実施につながったという。

授業が行われたのは東京都内、港区立南山小学校。授業のタイトルは「小学校から知っておきたい、将来の選択肢を増やす大切なお金の知識」。授業内容は「お金の正体や使い方」「銀行の仕組み」「投資」など、基本的なものから応用的なものまで多岐にわたった。

興味深いのは授業後に児童に対して行われたアンケート結果だ。約77%の児童が「これまでに金融について学んだことがない」うえで、96%の児童が「今回の授業を通して、お金に興味を持った」と答えたのだ。お金の教育は小学生にとって難しいものではなく、機会が与えられていないだけで、実は知りたいことだったといえるだろう。

内容的には「お金とは」「株式投資」「不動産投資」が印象的だったという児童が多かった。投資は小学生の普段の生活には縁遠いものだろうが、それだけに、お金が投資という形で社会を活性化させているという事実は新鮮だったに違いない。

お金の教養は
リベラル・アーツの1つ

お金の話をすることは、日本ではどこか行儀が悪いというイメージを持たれることがある。しかし、お金はけっして俗っぽいものではない。特に投資は、新しい商品やサービスを市場に送り出し、多くの人を幸せにするために欠かせないものだ。身近な貯蓄も、集められたお金は投資で運用されている。そうした社会の仕組みについて、子供の頃から段階的に知っていくのは必要なことのはずだ。

個人レベルでも、働いて稼いだお金をどうするか、ますます問われる時代になってきている。お金について知り、考えることは、実は自分の生き方を考えること。そうした意味でもお金の教養は、わが子が幸せに生活できる力をつけるために、また、グローバル社会を生きていくために必要な現代のリベラル・アーツの1つなのだ。


文:平井達也

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