2024.01.03
2021.12.25
2021.10.31
《 今回の相談内容 》
てぃ先生、いつも目からウロコの情報をありがとうございます! 相談なのですが、お買い物に行ってスーパーで「これ買って」とおねだりされた時の対応に悩んでいます。
夫はなんでもすぐに買い与えてしまいますが、我慢のできない子になってしまわないか心配です。 買わないと「買って! 買って! ウワーン」と泣き叫ぶのも困りもので……。
スーパーでの何か良い対応の仕方があったら教えていただきたいです。
(KOGEさん・2歳女の子の親)
2歳ですから、もしかしたらイヤイヤ期も入っているかもしれませんね。イヤイヤ期真っ只中と仮定して考えてみると、子供ってスーパーで「これ買って」とおねだりするのは、実は2つのパターンがあります。
1つは、本当にそれが欲しくて泣いているパターン。実はもう1つの方が真意かもしれませんが、「これ買って」=「これいいよね」に共感してもらいたいパターンです。
街中でもよく見かけるシーンですが、「ママ、これ買って」「パパ、これがいい」と言ってお子さんがお菓子を持ってきた時、間髪入れずに「買わないよ」とつっぱねちゃうことがありますよね。
これ、1ミリも子供に共感していませんよね。以前「ママ、これ買って」と言ってきた時、とってもうまい対応をするママがいて、「うまいなあ」と感心したことがあります。それは、子供が「ママ、これ買って」「これ見てー」と言った時、「あぁ、すごーくかわいい箱だね」「すごい美味しそうなお菓子を見つけたね」とまず共感し、「でも、今日は買わないからね」と伝えたのです。
これって、子供の受け取り方が全然違うんですよね。大人でも例えば、「最近、この漫画にハマっているの」と気に入ったものを見せたのに、いきなり「そんなの、読まないから」とつっぱねられたら傷つきますよね。お子さんが泣き叫ぶ理由は、これに近いのかもしれません。
「それ、すごく面白そうだね」とか「いまは読めないけど、今度貸してね」だったら、拒否された感がなく、受容され、共感され、泣き叫ばずに済みます。
大人はつい「買うか・買わないか」「やるか・やらないか」だけで判断しがちです。そうじゃなくて「それ、いいよね」という共感コミュニケーションを1つ挟むだけで、お子さんの反応はずいぶん変わります。それがイヤイヤ期の子供に「共感しましょう」と言われるゆえんです。スーパーで「これ買って」とおねだりされた時も、子供に共感すべき大切なワンシーンです。
実はここにママの深層心理が隠されています。「私だって欲しいというものをさっと買ってあげて、子供に喜んでもらいたいけど、自分はちゃんと子育てのことを考えて買わないようにしている。なのにそれを崩しているパパにイライラする」というように、パパは欲しいものを買ってあげる優しい人。ママは悪者という図式が成り立ってしまいます。
子供は、じゃあママはどうなんだろう? といった「試し行動」をするものですが、夫婦で一貫性のある対応ができればそれでいいのかもしれません。社会の中で人はそれぞれ役割があるように、パパママでの役割があってもいいと思うんです。
パパは買うけど、ママは買わない。それって、別に悪いことではないと思います。子供がうまく使い分けすればいいですし、今日はパパだから買ってくれる、ママだから買ってもらえないということを知る経験をするのもいいのでは? と思います。
ただ、それだとママが不憫なこともあるので、子供と一緒にカレンダーへ丸を付けて「この日にお菓子を買おうね」と、楽しみになる日を可視化して、まるで誕生日を待つような気分にしてみると良いです。簡単に買ってもらえるお菓子より、待つ楽しみを共有したお菓子の方が、嬉しさは倍増しますよ。
「すぐに買い与えてしまうと、我慢のできない子になってしまわないか心配です」という点においても心配ないと、僕は思っています。我慢するシーンは、生活の中で実はたくさんあるんです。
例えば、遊びたいオモチャが使えるまで待つ、手を洗う順番を待つなど、園に通っていれば生活の中に我慢をする場面が山のようにあります。1日の中で数十回以上我慢をする機会があって、お菓子はその中のたったの1回にすぎません。
「今じゃない、今じゃない」とずっと我慢してタイミングを見計らっているうちに、別の人がサクッとやってしまって自分が先駆者じゃなくなったということも社会ではあります。毎日の買い物にまで全てを当てはめて考えていたら、子育てが苦しくなってしまいますので、考えすぎなくてもいいと思いますよ。
お遊戯会も運動会も、本番では子供は練習したことしかできません。練習したことじゃないと、本番でパフォーマンスは発揮できません。なので、「今日はスーパーへ、夕飯のお買い物に行きましょう。お菓子も売っているけど、今日は野菜を買いに来たからお菓子を買わずに帰ろうね」という、ごっこ遊びをしてみるのもおすすめです。
こんなふうにお買い物体験をシミュレーションすると、子供はたいてい素直に「うん!」と飲みこみます。お子さんは「スーパーへ行って、お菓子を我慢できた自分」という成功体験を積むことで、リアルでも実行できます。
また、親子で役割を交換して「今日はママが子供の役ね」と言って思いっきり駄々をこねてみたら、お子さんが「今日、お菓子は買いませんからね」っていうかもしれませんよね。
ごっこ遊びというのは、普段から様々なシミュレーションとして体験を積んでおくことで、いざ本番という時のパフォーマンスを上げるために有効です。忙しい時に子供のおままごとに参加するのは難しいかもしれませんが、お子さんとのコミュニケーションを含め、自分が普段困っていることをおままごとの中でシミュレーションしてみるのはおすすめです。
てぃ先生
関東の保育園に勤める保育士。名前の読み方は「T」先生。Twitterフォロワー数は50万人、YouTubeチャンネル登録者は20万人を超える。著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)は15万部を超える大人気作に。近著の『てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』は自身初となる育児本であり、こちらもベストセラーとなっている。現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子供への向き合い方などを発信中!
文:脇谷美佳子
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