2020.10.08
2024.05.24
2021.12.03
孤立しがちな親子の身近な拠り所となるコミュニティが、公民館や地域のコミュニティ施設だ。子育て支援の一環として通院時等の緊急時に子供を預けられる保育室を備え、乳幼児向けのオモチャや絵本で遊べたり、子育て相談ができたりと、わが子の赤ちゃん時代にお世話になったというパパママは多いだろう。そして渋谷にも、ネウボラの拠点施設として「coしぶや」がオープンした。
妊娠期から18歳になるまでの子供とその家族をサポートする渋谷区のシステムが「子育てネウボラ」だ。「ネウボラ」はフィンランドで子育て支援の仕組みとして生まれた。当地で高い実績を上げたネウボラは日本でも注目を集め、取り組む自治体が増え始めている。
「渋谷区子育てネウボラ」の2~3階にある「coしぶや」の2フロアには壁がない。機能面での自由さももちろん、親子がぶつかる様々な壁や分断を取り払いたいという願いも象徴しているようだ。2階にはアトリエ、コミュニティカフェ、プレイグラウンド、3階には子育てひろば、短期緊急保育室、相談室というスペース構成となっている。保育士や助産師の有資格者が配置され、気軽に相談もでき、親も子も安心して過ごせる場所だ。
のびのびと自由な創作活動を楽しめるアトリエは、クリエイティビティを大切にする「coしぶや」のコンセプトならでは。専門職員「アトリエスタッフ」が常駐して子供の創作活動を助けてくれる。「いわゆる図工室ではなく、子供も大人も様々な表現言語との『出会い』をうむ場所」として、ワークショップなども開催されている。
また、自動車関連や工具類などのメーカーであり、区内に本社を置くボッシュ株式会社は、製造現場で発生する廃材をアトリエでの創作活動の素材として提供している。
アルミ角材や緩衝材が表現の素材に生まれ変わっているのだ。もちろん子供の安全性を最優先に安全な素材のみが提供され、必要な場合は加工が施されるという。
「coしぶや」はこうした素材を「しぶやマテリアル」と呼ぶ。子供が大好きなガラクタや石ころには決まった遊び方がない。だからこそ何にでも見立てて想像力を広げていける。廃材だった「マテリアル」もここではそんなふうに子供の成長に一役買っている。
「ネウボラ」はフィンランド語で「相談する場所」という意味だ。従来の子育て支援に比べてより包括的、継続的あることが特徴だろう。厚労省もモデルとして少子化対策に取り組んでいるという。今後、日本でどのように受け入れられていくか注目だ。
なお、「coしぶや」は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当面の間、3階の「子育てひろば」の利用は予約制となる。事前予約のほか、空きがある場合は当日予約も可能。お買い物と併せて、親子の創作活動を楽しんでみてはいかがだろうか。
文:平井達也
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