うちの子「発達障害かも」と思ったら? 先輩パパママに聞く、早期発見から療育まで

うちの子「発達障害かも」と思ったら? 先輩パパママに聞く、早期発見から療育まで
わが子が「発達障害かも」と思ったら、実際に診断が下りたら、どう対処すれば良いのだろうか? 発達障害の子供を持つパパママへのアンケートからは、早期発見の重要性と、適切な療育で広がる希望が見えてきた。

早期支援が重要な発達障害

近年認知が広がっている発達障害について、早期発見・早期支援が重要視されている。不登校や引きこもり、うつ病やパーソナリティ障害等の精神疾患といった、障害の特性によるストレスに起因する「二次障害」を誘発しないように気をつける必要があるのだ。

子供に発達障害がある保護者は実際にどのような療育を行っているのだろうか。発達障害の支援に対して抱える課題も含めて、調査結果を見てみよう。

気づき~療育開始まで
保護者の声

療育・児童発達支援スクール「コペル+(コペルプラス)」を運営する株式会社コペルは、発達障害のある小学生以下の子供を療育に通わせている保護者を対象に、「発達障害のある子供との向き合い方」に関する調査を行った。7項目の質問に対し、示唆に富む回答が寄せられている。

まず、子供が「もしかしたら発達障害かも」と思ったきっかけについて。最も多かったのは「言葉の発達に遅れを感じた(35.3%)」こと。他には「こだわりが強いと感じた(14.6%)」「集団行動からはみ出すことがあった(12.6%)」「健診(検診)で指摘された(9.5%)」「保育園・幼稚園等で指摘された(7.8%)」と続いている。

もちろんどの特徴も、障害のあるなしに関わらず個人差がある。その上で、周囲の大人が違和感を感じたら専門機関に相談することが大切だ。

発達障害の子供には6歳までの療育が重要だと言われている。心身が大きく育つその時期に適切な療育を受けることで、二次障害を防げる可能性が高まるのだ。調査では75%がそのことを「知っている」と回答した。「発達障害かも」と思ってから実際に療育を始めるまでに要した期間の最多は「3ヶ月~6ヶ月未満(26.3%)」。約8割が1年以内の早期に療育を始めている。

具体的にどのようにわが子の療育につなげていったのだろうか。最初のステップとして最も多かったのは「自治体の発達相談窓口への相談(35.7%)」。次いで「地域の療育センターへの相談(31.3%)」「発達障害専門外来のある医療機関の受診(30.2%)」が挙げられた。こうした相談窓口では、未就学児の通所型サービスである「児童発達支援」などの情報を持ち合わせているので、スムーズに療育につなげることができるはずだ。

療育開始までにどんなことが大変だったか、回答者の声を紹介しよう。
●どこに通うのが良いのか、調べるのが大変だった
●どこに問い合わせたら良いのか、人にも相談しにくくて困った
●父親、母親の気持ちの整理がつくまでが大変だった
●周囲の理解が得られず、自責の念にかられる
発達障害について社会の理解は広まりつつあるが、まだまだ十分ではないこと、適切な情報を得られるサービスがもっと必要であることがわかる。

現在利用している療育施設を選んだポイントの1位は「支援プログラムの内容(37.3%)」。以下、「療育の方針(33.3%)」「自宅からのアクセス(33.1%)」「子供がなじめるか(30.6%)」「先生の質(29.8%)」「施設の充実度(23.3%)」と続いた。

各施設は事前の見学や体験を受け入れているはずなので、できる限りそうした機会を活用して、わが子に合った療育の場を確保したい。

では、療育を始めると子供にはどのような変化があるのだろうか。「苦手だったことに取り組めるようになってきた(32.9%)」「言葉の発達が見られた(32.1%)」「集団行動ができるようになってきた(29.6%)」など、子供の成長につながっていることがわかる。

療育開始後にはパパママにも次のような変化があるという。
●子供の特性がわかり、イライラしなくなった
●言葉のかけ方や、困った時の接し方がわかってきた
●子供の行動を尊重しようと心掛けるようになった
●自宅でのサポートを相談できるようになり、困り感が大きく減った
●子供の成長を楽しめるようになった
子供への理解が深まり、相談できるようになったことで、パパママにも心に余裕ができていくようだ。

最後に、わが子が発達障害だと診断されてどのように感じているのだろうか。最も多かった「個性と捉えて尊重したい(34.5%)」をはじめ、「良かったと感じることもある(23.9%)」「不安な気持ちが強い(18.7%)」「それまでと特に変わらない(16.9%)」「なかなか受け入れられない(6.0%)」と、様々だ。

発達障害は育て方起因ではない

わが子の言動にちょっとした違和感を感じつつも、認めたくない気持ちや不安などからそのままにして過ごしてしまうケースも。二次障害のリスクや発達障害に関する情報を取り入れ、気づく目を養う必要がある。

発達障害について、「能力の凸凹が大きい」と表現されることが多いが、凹凸が大きいというのも比較的多数派を基準にしているだけだ。その意味では発達障害はまさに個性であり、できないことに目を向けるのではなく、得意なこと、好きなことを伸ばしてあげたい。

最後に、発達障害の原因として親の育て方はまったく関係がないことは、専門家たちも断言している。パパママたちは自分を責めることなく、わが子がどう生きていくのが幸せなのかを考えてほしい。

〈調査概要〉
「発達障害の子供との向き合い方」に関する調査
・調査期間:2021年5月13日(木)~14日(金)
・調査方法:インターネット調査
・調査人数:1,015人
・調査対象:発達障害のある小学生以下の子供を療育に通わせている保護者
・モニター提供元:ゼネラルリサーチ


文:平井達也

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