2024.03.08
2021.06.13
2021.08.30
これまで数多のおもちゃを手作りしてきた佐藤さんだが、市販のおもちゃを否定している訳ではないという。実際佐藤家では、「プラレール」や「レゴ」、最新のゲーム機が手作りおもちゃと混在している。
「売っているいい物は買えばいい。私は売っていない物を作りたいだけ。手作りは市販品の劣化版じゃないし、手作りだから愛情が詰まっている訳でもない。別の役割を果たす物だと思っています」。
おもちゃを手作りするうえで気をつけているのは、決めつけないようにすること。子供は常に成長しているので、変化をしっかり観察して、今は何が好きか、何をしたいのかを見極めることが大切。
そして「結局、子供を信用するのが大事なんだと思います。その子自身の能力や、生きる力を信じてあげること」と佐藤さん。今日は身支度ができなくても、明日はきっとできる、できなくてもどうにか補っていく方法を探せるはずだと信頼する気持ちがベースにあれば、子供も安心して過ごすことができるだろう。
アドベントカレンダー型の宝箱。目的があり、それまでの日数をカウントダウンするものだけれど、例えばお父さん・お母さんが帰ってくるまでの時間をカウントしたり、休みあけ登園するまでの日数をカウントしたりと「待つ」「迎える」ということを楽しむおもちゃ。
ひとりで学校に通い出した子供のために「おかえり!」の気持ちをこめた「くすばこ」。玄関に吊るして、盛り上がろう。
軍手で作るパペット。フェルトで羽根をつけ、親指と小指を動かすと本当に羽ばたいているよう。電車に長時間乗るときも「とりさんに会える貴重な時間」に様変わり。
「かおシール」で喜んでいた第1子は大きくなり、佐藤さんが作るおもちゃは手にとらなくなってきた。しかし、まだ幼い第2子のためにあれこれと悩みながらおもちゃを作る母親の姿を傍で見るうち、ほしい物はまず作ってみようとする子に育ったとか。
「若い頃の私は、自分の頭で考えることがあまりできていなかった。わが子を見ていると、よくこんな事を自分で考えられるなと驚きますね」。「地震がきても揺れない、地面から浮かぶ家の作り方」など、無理難題にもトライしてみる子供の姿に、答えがないことにも耐えられるしなやかな力強さを感じるという。
「安さも、おもちゃを手作りするメリットのひとつ」と佐藤さんは笑うが、非認知能力を育むうえで、それは意外に大きなポイントなのかもしれない。ウケなかったら気軽に作り直せるし、子供が思い通りの遊び方をしなくても気にならない。
飽きてしまったら、目の前の材料で別に新たなおもちゃを作り出すのも自由だ。そうしたフレキシブルな作業を積み重ねることで好奇心が育ち、自ら問いを立てて答えを探す柔軟性が育まれる。そのくり返しが、数字では測ることができない「生きる力」を育てるのだろう。
「くらしのひらがな」の「を」バージョン。立体の「を」の後に「たたく」「さわる」など、どんな言葉が続くか子供と一緒に考えてみよう。
粘着剤つきのマグネットシート+黒画用紙で作った「こどもナンバープレート」。ナンバーをホワイトボードに貼ったり、はがしたりできる。
数字をモチーフとして自由に遊ぶことも。数字の概念がない子供時代だからこその発想だ。
佐藤 蕗(さとう・ふき)さん
手作りおもちゃ作家で2 児の母。建築設計事務所勤務を経て、第1子出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたおもちゃが反響を呼び、イラストレーターの活動のかたわら、造形作家として、雑誌、web、テレビでお仕事中。ワークショップも開催している。著書に下記のほかに「親子で笑顔になれる“ 魔法の手作りおもちゃ”レシピ/宝島社」がある。
メールアドレス:fuki.sato@gmail.com
『ひらめいた! 遊びのレシピふきさんのアイデアおもちゃ大百科』
著者:佐藤蕗
家にあるペットボトルや空き箱など身近なものでつくるおもちゃのアイデアが満載。子供も大人も本を開けば、「どれを作ろうか?」「どうやって遊ぼうか?」と、ワクワクした気持ちがわいてくること間違いなし。
¥1,980(税込)/偕成社
文:藤城明子
写真:藤記美帆
FQ Kids VOL.06(2021年春号)より転載
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