
2023.05.15
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2021.01.29
(左)株式会社セイバン代表取締役社長 泉貴章さん (右)株式会社ファミリア代表取締役社長 岡崎忠彦さん
互いの理念に共感し、「セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社」を共同経営している
――泉さんはランドセルを中心に手がける「株式会社セイバン」を、岡崎さんはベビー・子どもブランド「株式会社ファミリア」を、それぞれ運営されています。お二人が「セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社」を共同で立ち上げるまでの経緯をお聞かせください。
泉貴章さん(以下、泉):おかげさまで「株式会社セイバン(以下、セイバン)」は、ランドセルの市場においてシェアNo.1を獲得しています。また、安定的な経営基盤も構築できていますが、将来は高い確率で少子化による影響を受けると考えています。会社を守るためにも新しい事業を構築しなくては、と思案していた折に岡崎さんからいただいたのが、今回の教育事業のお話です。
「株式会社ファミリア(以下、ファミリア)」さんが掲げる『子どもの可能性をクリエイトする』という企業理念と、弊社の企業理念には相通ずるものがあります。そうした点に魅力を感じ、合同会社を立ち上げる運びとなりました。
岡崎忠彦さん(以下、岡崎):以前より、「子どもの可能性をクリエイトするプラットフォーマーになりたい」という思いを抱いており、子どもの教育にも大きな関心を抱いていました。2015年には「ファミリア」単体で保育事業を始めていますが、一社で取り組んだ場合、どうしてもスケールが限られてしまいます。同じ目的を共有できる企業と業務提携することで、スケールだけでなく将来性も拡大するのでは、と考え、泉さんにパートナーになっていただきました。
――両社が提携した結果、どのようなメリットや変化が生まれましたか?
泉:岡崎さんは素晴らしいクリエイティビティとセンスをお持ちの方で、様々なことを学ばせていただいています。弊社でもモノづくりを行っていますが、ランドセルを手がけている限り、形、デザインともになかなか幅が広がらないものです。岡崎さんや「ファミリア」がもつクリエイティビティやセンスは、弊社でも取り入れていきたいと考えています。
ファミリアプリスクールのアート教育
岡崎:合同会社を設立するにあたり、泉さんと二人で北欧を旅しました。北欧の文化やアートに触れることを目的に、デンマークのコペンハーゲンにあるルイジアナ美術館で美術を鑑賞したり、フィンランドのヘルシンキでサウナを楽しんだり、様々な体験をしました。なおデンマークは、クリエイティブやデザインをとても大切にする国で、子どもたちにも幼少期からアートを教えています。
およそ20年前にルイジアナ美術館を訪れた時、アートスペースで子どもたちが現代アートを教わっているシーンを目にしたのですが、とても感動したのを覚えています。以降長年にわたり、アートをとおして子どもたちのクリエイティビティを育みたい、という思いを抱いてきました。そうした思いを泉さんと共有することも、北欧旅行の目的です。
泉:2人でルイジアナ美術館を訪れた際も、子どもたちがアートを学んでいる様子を見ることができましたね。北欧における教育は、とても素晴らしいものだと実感しました。また、北欧ならではの教育を「ファミリア プリスクール」のコンテンツにも活かすことで、同校がさらに魅力的になり、発展していくだろうと自信をもつこともできました。
ファミリア プリスクール 白金台の内観
――「ファミリア プリスクール」の特徴や魅力とは?
岡崎:「ファミリア プリスクール」では「子どもの可能性をクリエイトする」という理念を掲げており、それぞれの個性を尊重した、グローバルな教育を理想としています。個性に基づいたユニークな発想ができるうえ、世界でも通用する人間を育てたいですね。
現在の日本社会には“エリートこそロールモデル”という風潮がまだ色濃くありますが、これがなくなり、多様性が重んじられるようになれば、日本はより豊かな国になるでしょう。こうした信念に基づいた教育を行っています。
泉:「ファミリアメソッド」という独自のメソッドのもと、教育を行っているのも「ファミリア プリスクール」の特徴です。「ファミリアメソッド」とは、想像力と表現力を身につけるための教育方法。「ファミリアメソッド」をとおし、子どもの個性を伸ばしたいと考えています。
「ファミリアメソッド」のカリキュラムをつくるにあたり、「レッジョ・エミリア・アプローチ」や「モンテッソーリ教育」への理解を深めました。「ファミリアメソッド」をカリキュラムに落とし込む手段として、これらの教育も活用しています。
「ファミリアプリスクール」での食育の様子
――長らくファッションやモノづくりに関わってきた「ファミリア」と「セイバン」だからこそ、反映できた教育内容はありますか?
岡崎:アートや体操、語学、食育のほか、洋服について学ぶ「服育」というクラスが一番特徴的でしょうか。ファッション業界では洋服を作る際、“マップ”を作成します。季節ごとにテーマを決めたうえで、それぞれの季節に楽しめる花や果物、流行するであろうアートやライフスタイルをピックアップし、一目でシーズントレンドがわかる“マップ”にするのです。「ファミリア プリスクール」でも、これと同じような“マップ”を子どもたちが作っています。
――“マップ”の作成は、どのような目的のもと行っているのでしょう?
岡崎:「ファミリア プリスクール」では、絵や写真、色などで物事を伝える「ビジュアルコミュニケーション」にも重きを置いています。“マップ”の作成も、子どもたちの「ビジュアルコミュニケーション」を磨くための方法の一つです。
ビジュアルコミュニケーションの様子
「ビジュアルコミュニケーション」を身につけることで、たとえ言葉が通じなくとも、相手と意志の疎通がしやすくなります。また、言葉よりもビジュアルのほうが、相手に対して働きかける力が強いという見方もあります。「ビジュアルコミュニケーション」は、グローバル社会において重要な領域になってくるはずです。
――コミュニケーション力が、グローバル社会における鍵になるのでしょうか。
岡崎:人間はコミュニケーションする生き物です。グローバル社会においても、コミュニケーション力が大切な点は変わらないでしょう。グローバル社会には欠かせない英語の教え方ひとつをとっても、「ファミリア プリスクール」ではコミュニケーションを意識しています。
たとえば、私たちが英語を学んだとき最初に教わったのは“This is a pen”というフレーズでしたが、このフレーズをきっかけに会話が広がることはありません。ですから、一方的な発信で完結してしまう“This is a pen”ではなく、“I love you”を最初に教えたいと考えています。“I love you”は自らの気持ちを伝える言葉であり、自然と“because…(なぜなら)”といった説明が続き、対話が生まれる言葉だからです。
――最後に、新型コロナの影響を考慮したうえで、今後取り入れたい取り組みなどがあれば、教えてください。
泉:新型コロナが流行し始めてから、リモート教育を取り入れる保育園が増えてきました。「ファミリア プリスクール」でも取り入れる予定で、効果的なリモート教育について検討している最中です。しかし、オンラインでできる教育には限りがありますし、他の子どもたちと手を繋いで遊戯をしたり、実際にアートに触れたり、といったアナログな体験も欠かせないカリキュラムです。オンラインでの教育とリアルな場での教育をうまく組み合わせながら、カリキュラムを作成する方向も検討しています。
岡崎忠彦
株式会社ファミリア代表取締役社長。1969年生まれ。甲南大学経済学部、California College of Arts and Crafts., Industrial Design 科卒業BFAを取得後、Tamotsu Yagi designでグラフィックデザイナーとして働く。2003年に株式会社ファミリア入社、取締役執行役員などを経て2011年から現職。
泉貴章
株式会社セイバン代表取締役社長。1974年生まれ。大阪大学工学部大学院卒業後、大手飲料メーカーにて商品開発や工場の生産管理に携わり、2010年10月より株式会社セイバンに入社。2011年2月より現職。
familiar PRESCHOOL(セイバン・ファミリア・カンパニー 株式会社)