専門家に聞く「親子の絵本との向き合い方」とは? 読み聞かせることで“愛された記憶”に

専門家に聞く「親子の絵本との向き合い方」とは? 読み聞かせることで“愛された記憶”に
今も昔も、絵本は子供が豊かに成長していく上で重要なツールだ。子育ての中で、親子はどのように絵本と向き合えば良いのだろう? 絵本の専門家「絵本専門士」で、JPIC読書アドバイザーとして活躍している尾場瀬淳美さんにお話を伺った。

子供が興味を持つ絵本の選び方

子供に絵本をプレゼントする時、どのように選べば喜ばれるのだろうか。尾場瀬さんは「子供が好きなものを見つけたら、それに関連した絵本をどんどん読んであげてください」と語る。

「子供たちがまず興味を持つのは自分の身近なものです。3本柱は『どうぶつ』『のりもの』『たべもの』。3つの中に必ず子供の好きなものがありますよ」。

子供が絵本に興味を持たない場合は?

もしも子供がなかなか絵本に興味を持ってくれない場合。絵本を好きになってもらうためにはどうすれば良いだろうか? 「まずは無理強いをしないことです。無理強いされると嫌いになってしまいますから」と尾場瀬さん。

「あとは絵本を身近なところに置いておくと良いですね。本棚に整然と並べておくのではなく、例えばおもちゃと同じように、手の届く場所に置いておく。それで投げたり破いたりしても良いんです。敷居の高いものではなく、遊びのツールのひとつとして絵本に親しんでもらいましょう。子供の絵本は紙やインクも安全なものを使用してるものが多いので、舐めてしまっても心配ありません」。

図鑑好きな子にも読み聞かせを

子供が好きになる本が、必ずしも物語のある絵本だとは限らない。尾場瀬さんも「うちの子は物語をあまり読まない、車や虫の図鑑ばかり見ている」ということで質問を受けることが多いという。

「図鑑であっても読み聞かせをしたり、子供が気に入っているページを見て『そうだねえ』と共感してみてください。好きな本が図鑑だから子供が自分で読んでいればいいや、ではなく、親子で一緒に読んでみてください」。

興味があるものに関連した絵本を与えてあげれば、物語を好きになるきっかけになるかもしれない。「例えば乗り物の図鑑を気に入ってるのであれば、乗り物が出てくる絵本もおすすめしたり。子どもが何かに興味を示した時、それを見逃さないようにすることが大切です」。

デジタル絵本のメリット・紙の本が持つちから

デジタル絵本が近年増えている。タブレットやスマートフォンで見ることのできる音声付きの絵本だ。デバイスひとつで大量の絵本を持ち運ぶことができたり、作品によってはアニメのように絵が動いたりするなど、デジタルならではのメリットも少なくない。

それでも、「できれば紙の本を生きた声で読むのが良いと思います」と尾場瀬さんは話す。

「人が読み聞かせるのであれば子供の表情を見ながらページをめくれますが、デジタルだとそうはいきません。ページをめくること自体の楽しさもそうですし、紙がめくれるあいだに子供が想像を巡らせる数秒、というのも素晴らしいものです。そういった点は紙の本が持つちからだと思いますね」。

読み聞かせの経験が「愛された記憶」に

自身も読み聞かせボランティアを続けている尾場瀬さん。子供に買い与えた絵本は「ぜひ肉声で読み聞かせをしてあげて欲しい」と語る。

「5歳ぐらいの子であれば文字は分かりますし、ひとりで絵本を読むこともできます。ですがやはり、お母さんやお父さんが読み聞かせてあげるべきです。本の内容そのものはいつか忘れてしまうかもしれませんが、絵本を読んでもらったという体験そのものが愛された記憶になります」。

愛された記憶。それは生涯に渡って自己肯定感を高め、幸せに生きる上でとても重要なものだ。「子供と何をして遊べば良いか分からない」というお父さんお母さんであっても、絵本を読んであげることで、我が子にしっかりと愛情を伝えることができるだろう。

話を聞いた人

絵本専門士・JPIC読書アドバイザー 尾場瀬淳美さん

北海道札幌市出身。現在北九州市在住。読み聞かせボランティアグループおはなしアリス代表。わらべうたや絵本の読み聞かせをはじめストーリーテリング、ブックトークを行い、乳幼児から高校生を対象に図書館や学校などで活動中。絵本専門士1期生。またJPIC読書アドバイザーとして、九州をはじめ西日本のボランティア団体や学校司書、保育士、子育て中の親子等に向けて講座を行っている。北九州市子ども読書活動推進会議委員。西南女学院短期大学部保育科外部講師。


取材・文/辺川銀

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