「この映画は家族の話なんです」西野亮廣さんが『えんとつ町のプペル』で伝えたいこと

「この映画は家族の話なんです」西野亮廣さんが『えんとつ町のプペル』で伝えたいこと
構想10年。いよいよ「えんとつ町のプペル」の映画が12月に公開される。テーマは「父と子」「家族」「ひとりでも自分の信念を貫く強さ」。製作総指揮・脚本・原作を手がけた西野亮廣が映画に込めた想いを語る!

── 絵本を無料公開した理由は?
「僕、今年40歳なんですけど、同級生たちは自分の子供に絵本を読むようなお父さんお母さんになっていて。同窓会で話を聞いてみると、自分が子供のときに読んでもらって面白かった絵本を自分の子供にも読んであげているということがわかったんです。ということは、できるだけ多くの人にネタバレしたほうがいいなぁ、と思って、幻冬舎社長の見城さんには何も言わずに絵本のデータを無料公開しました。その途端に、幻冬舎の電話が鳴り響いて、見城さんが担当編集者を呼んで無茶苦茶怒ったんですが、そうしてるうちにたくさんの注文が来て、アマゾンのランキングが一気に上がったんです。最終的には見城さんがまた担当編集者を呼んで、『ごめん!これで売れるんだね。』と謝られたそうです(笑)。見城さんのそういうところ、本当に最高ですよね」

── 自身の子供時代、絵本についての思い出はありますか?
「夜寝る前に、母ちゃんにいつも同じ『チャイクロ』の絵本を読み聞かせしてもらっていました。チャイクロはシリーズで色々あるんですが、僕が読んでもらっていたのは、主人公を見せるというよりも街を見せるものでした。絵本の原点にもなっていると思うのですが、1枚の街の絵の中で色んなことが起こっているんです。あっちでは交通事故が起こっていたり、こっちでは重い荷物を持っている人がいたり。見る方に選択肢を与えてくれるというか、それって今にもつながっている気がしています」


── 12月に『映画 えんとつ町のプペル』が公開となりますが、この作品が目指しているものは?
「よく『ディズニーを超える』とは言っているんですが、それはあくまでも《記号》で。ひとつ確かなことは、表現している人間として、『ディズニーよりも下のものを味わってください』とは言いたくないんです。スタッフさんやファンの皆さんに応援してもらっている人間ですから、やるからには自分たちが一番面白いんだ、と言えるものを提供していかなきゃ、それはお客さんに対しても失礼ですし。なので“打倒ディズニー”ということでは決してなく、やるのは“エンタメで世界をとる”っていうことです。ただ、もしディズニーから『西野くん、ちょっとうちに来ないか』と言われたら、余裕で寝返ってやろうと思っています(笑)」

── 映画では、絵本には登場しない“お父さん”が軸となって、物語が大きく動く?
「この作品は“家族の話”なんです。主人公はもちろんプペルなんですが、話の軸にあるのはお父さん。僕、お父さんお母さんがすごい好きなんで。お父さんにあこがれてその背中を追いかける息子と、それを簡単には許さなかったお母さんの話です。僕が吉本行く時も母ちゃんが止めて、父ちゃんは意外と『やっちゃえ』という方で、2人の立ち位置は物語と似ています。最後の最後は母ちゃんも腹をくくって、『行ってこい』って言ってくれました」

── 「信じて、信じて、世界を変えろ」この映画が伝えたいメッセージとは?
「映画のメッセージというと、人に向けてやっているように見えますが、結局は自叙伝をそれっぽく見せているのだと思います。自分自身、これまでいろんな挑戦をしてきて、迫害を受けて、それでも続けて……ということを繰り返してきた人間なので。何かをしたら、すぐSNSで揚げ足を取られてしまう時代ですから、挑戦して笑われるとか、邪魔されるとか、僕と同じようにそういう目に遭っている人は意外と少なくないだろうと。それなら、マーケティングをして世間のニーズに合わせて球を投げるのではなくて、極論、自叙伝でも響く人には共感されるんじゃないかなと思っています」

西野さんの自叙伝とも言える『映画 えんとつ町のプペル』。もう一歩踏み出したいすべての人に信じる勇気を与えてくれる。

作品情報

映画『えんとつ町のプペル』2020年12月25日(水)公開
えんとつ町のプペル
いつも厚い煙に覆われ、空を知らないえんとつ町。煙の向こうに“星”があるなんて 誰も信じていなかった。えんとつ掃除屋の少年ルビッチは、父の教えを守り、いつも空を見上げ、星を信じ続けていた。そし て、みんなに笑われ、ひとりぼっちになってしまった彼の前に、ゴミから生まれた、ゴミ人間プペルが突然現れる。 これは、二人が巻起こす、“信じる勇気”の物語。

声のキャスト:窪田正孝、芦田愛菜、立川志の輔、小池栄子、藤森慎吾、野間口徹、伊藤沙莉、宮根誠司、大平祥生(JO1)、飯尾和樹(ずん)、山内圭哉/ 國村隼
製作総指揮・原作・脚本:西野亮廣監督
OP主題歌:「HALLOWEEN PARTY -プペル Ver.-」 HYDE (Virgin Music)
ED主題歌:「えんとつ町のプペル」ロザリーナ(ソニー・ミュージックレーベルズ)
アニメーション制作:STUDIO4℃
配給:東宝=吉本興業
HP:『映画 えんとつ町のプペル』公式サイト

ⒸAkihiro Nishino/Yoshimoto Kogyo Co., Ltd.

プロフィール

西野亮廣

1980年、兵庫県生まれ。芸人・絵本作家。絵本、小説、ビジネス書が全作ベストセラー。最新作絵本『チックタック~約束の時計台~』、最新文庫『新・ 魔法のコンパス』も大きな話題を呼んでいる。2020年12月公開予定の『映画 えんとつ町のプペル』では脚本・制作総指揮を務める。クラウドファンディングでの合計調達額は4億円を突破 。オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」 は会員数7万人を超え、国内最大となっている。

西野亮廣エンタメ研究所
西野と一緒に様々なプロジェクトに関わることのできる国内最大のオンラインサロン。コワーキングスペース「ZIP」の利用やサロンメンバーだけでの特典も多数。『映画 えんとつ町のプペル』でも予告動画をサロンメンバーにだけ一足お先に公開したりなど、西野のモノヅクリを先んじて知れたり一緒に参加もできる。
https://salon.jp/nishino


文:脇谷美佳子
写真:金子怜史

FQKids VOL.04(2020年秋号)より転載

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