
2022.06.03
学習に役立つ「察する力」って? コミュニケーション能力の本当の意味と、高める方法

2025.10.01
「科学的思考とは、証拠に基づいて論理的なアプローチを取ること」と語るのは、科学体験施設IMAGINUS館長の小林直樹さん。
「多くの人が、現時点で最も確からしいと感じることを前提に、論理的に結論を導き出すこと。この考え方は社会で共通言語となりやすく、意見が異なる場面でも有効に働きます。理系や文系に関わらず、ビジネスの現場でも科学的、論理的な考え方が必要とされます」と、小林さんは語る。
そのためには実際に体験し、「なんでだろう?」と疑問を持つことが最初の一歩。
例えば実験や工作を通じて、あるいは日々の生活の中で身近な現象に疑問を持ち、自分で解決方法を考えて実験・検証していくことで、科学的な思考力は自然と身につく。この過程で重要なのは、「はしごをかけすぎないこと」だと小林さん。「親や大人が正解をすぐに与えず、子どもが自分で考え、試行錯誤を繰り返すことが最も重要です」。
たとえ失敗しても、そこから学んで次に活かすことを大切にし、間違っても構わないという環境を作ることで、子どもは自分自身で問題を解決する力を育む。
「社会に出た時、誰もやったことがない、誰も正解を知らない課題に取り組む場面に直面することが多いと思います。その場合でも、自分の知識や経験をもとに仮説を立て、実行し、結果を検証する力が求められます」。
子どもに問いかけを通じて考えさせることも、大人の重要な役割だ。例えば「どうなると思う?」といった質問を投げかけ、子どもが自分の考えを整理し、試す機会を与えること。
また、「子どもが答えたら、さらなる問いかけをすることも必要です」と小林さん。こうしたプロセスを親子で一緒に楽しむことこそが、科学的な思考を育むことにつながる。
本や動画を見ることもきっかけとして有効だが、「最も学びになるのは自分で体験すること」と小林さんは指摘する。
「五感を通じて学んだことは、子どもにとって深い理解と満足感をもたらし、科学を楽しむ力を養います。それが、将来的には新しいものを生み出したり、誰もわかっていないことを解き明かしたりする力になるはずです」と語ってくれた。
子どもの科学体験の第一歩にぴったり! 子どもから大人まで楽しめる、全国のサイエンスショーがある科学館を紹介。
IMAGINUS(イマジナス)
未来をつくる杉並サイエンスラボ
ゆかいな博士と助手のサイエンスショーに参加。
「科学が好きでない子にも来てほしい」とエンターテインメント性にこだわり、「科学体験ラボ」ではプロの役者が演じる“笑えるサイエンスショー”も開催。その他、工作や実験など楽しいイベントやコンテンツが充実。
自由に遊びながら学べる「博士の開発室」。
旧校舎をリノベーションし2023年10月にオープン。
●住所:東京都杉並区高円寺北2-14-13
●営業時間:9:00~21:00 ※部屋により異なる
●休館日:火(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12/29~1/3)
※春・夏・冬休み期間は火曜日も開館する場合あり。その他、臨時休館あり
●料金:入館無料 ※イベントにより料金が異なる
●TEL:03-6383-0290
●公式サイト:www.imaginus-suginami.jp
山梨県立科学館
サイエンスショーは毎日開催。
毎日開催されるサイエンスショーや簡単な工作・実験が楽しめるコンテンツがたくさん。常設展示も装置を動かしたり、シャボン玉の中に入ったり、ジャングルジムや洞窟に入ったりなど、身体を使って科学的現象を体感できる仕掛けが楽しめる。
大きなシャボン玉の中に入れる「スーパーシャボンカーテン」もあり。
●住所:山梨県甲府市愛宕町358-1
●営業時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
●休館日:第1・2・3月(祝日の場合は翌平日)、年末年始
※その他、臨時休館あり
●料金:入館料 一般・大学生¥520、小・中・高校生¥220、未就学児無料
※スペースシアターは別途有料。土曜日とこどもの日は高校生以下無料。山梨県が制定する県民の日は誰でも入館無料(すべて税込)
●TEL:055-254-8151
●公式サイト:www.kagakukan.pref.yamanashi.jp
バンド― 神戸青少年科学館
科学実験ショーで何が見られるかは当日のお楽しみ。
神戸で40年以上運営されている、子どもと遊びながら科学を学べる施設。サイエンススタッフによる科学実験ショーでは、身近なモノを使った「ふしぎ」が体験できる。毎日開催されている、天体観測室公開と産業用ロボット操作体験ツアーも好評。
神戸市内唯一のプラネタリウムあり。
●住所:兵庫県神戸市中央区港島中町7-7-6
●営業時間:月~木9:30~16:30、金・土・日祝と春・夏休み9:30~19:00
●休館日:水(祝日の場合は翌平日)、年末年始、館内整理日
※春・夏休み期間は営業
●料金:展示室 大人(18歳以上)¥600、小人(小学・中学・高校生)¥300、未就学児無料 ※ドームシアターは別途有料
●TEL:078-302-5177
●公式サイト:www.kobe-kagakukan.jp
福岡市科学館
サイエンスショーのテーマは月替わり。
生命、宇宙、環境などについて学べる体験型の科学博物館&プラネタリウム。楽しく科学が学べるサイエンスショーとテーブルサイエンスは毎日開催。
ドームシアターでは子どもたちに人気のキャラクターを起用したプラネタリウム番組も。
●住所:福岡県福岡市中央区六本松4-2-1
●営業時間:9:30~21:30 ※エリアにより異なる
●休館日:火(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12/28~1/1)
※GW、春・夏・冬休み期間は営業
●料金:5階基本展示室入場料:大人¥510、高校生¥310、小・中学生¥200、未就学児無料 ※6階ドームシアター、3階企画展示室は別途有料(すべて税込)
●TEL:092-731-2525
●公式サイト:www.fukuokacity-kagakukan.jp
自宅でも気軽に科学体験を! IMAGINUSスタッフが厳選した、おうちで楽しめるサイエンスアイテムと科学本をご紹介。
科学と学習PRESENTS
ぬれない砂と水玉くん
摩訶不思議な砂で実験やゲームを楽しもう!
¥2,200(税込)
水につけても決してぬれることのない不思議な砂で、楽しい実験やゲーム作りができるキット。撥水作用のしくみや、水の表面張力についてわかるガイドブックが付いているので、自由研究に役立つ。
問/Gakken
【わくわく科楽のアトリエ】
氷の謎を大調査~5つのおもしろ実験~
¥660(税込)
付属のトレーで作った氷で5種類の実験ができるキット。他に用意するのは硬貨や水など身近なもので、手軽に安価に楽しめる。それぞれの実験について解説書に詳しく説明されており、学びも深まる。
問/LUMICA
トランスフォーマーシリーズ
トランスフォーマー/ONE OCP-01コグパワーチェンジ バンブルビー ©TOMY. ©2024 Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved. TM & ® denote Japan Trademarks.
※画像は試作品の為、最終仕様と形状、カラーリングが異なる場合があります。メーカー希望小売価格¥2,200(税込)
ロボットから、車などの乗り物やゴリラなどの動物に変形できる変形ロボット玩具シリーズ。説明書を読まずに、どこをどういじったら変形するのか自分で考える遊び方がおすすめ。
問/タカラトミー
スーパー理科事典
¥7,975(税込)
自然科学に対する疑問に答えるよう、中学校~高校(一部)で学ぶ理科の内容を小学生でも読みやすい表現で説明。図・表・写真を豊富に盛り込んだオールカラーで、見やすくわかりやすく凝集された1冊。
触れる図鑑コレクション
つかめる水
¥1,100(税込)
アルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムという2つの溶剤の化学反応を利用して「つかめる水」を作れる。つかめる水の作り方やその秘密、そして遊び方も紹介されたミニ図鑑付き。他の「触れる図鑑」シリーズもおすすめ。
はじめてのせかいでいちばんうつくしいげんそずかん
世界でいちばん美しいこども元素ずかん
世界で一番美しい元素図鑑
左から¥4,180、¥2,640、¥1,100(すべて税込)
元素の周期表をリアルに体験できる木製の机「周期表テーブル(Periodic Table Table)」で2002年にイグノーベル賞を受賞した、セオドア・グレイの著書。写真集として見栄えがするだけでなく、コラム的な解説もあり学びになる。大人向け、小学生向け、幼児向けとあり親子で一緒に楽しめる。
問/創元社
IMAGINUSでできる
実験工作もCHECK!
ふらっとラボ
予約不要! 15分程度で気軽にできる実験工作。定番のスライムなど複数のメニューから選んで体験できる。内容は月替わり。
ものづくりラボ
3Dプリンターやレーザーカッターなど、さまざまなデジタル工作機器を備えたちょっと未来の図工室。習熟度別のワークショップを開催。
ショップ・自由工作室
実験工作キット、プログラミングロボット、科学関連のカプセルトイなどの商品がそろう。購入したものをその場で楽しめる自由工作エリアもあり。
IMAGINUS館長
小林直樹さん
大学で免疫学を専攻後、ポストドクター、特任助教を経て日本科学未来館の科学コミュニケーターに着任する。その後、学習塾の実験教室などの運営、科学教育コンテンツの開発を行う会社の起業、公共の科学館の運営を経験。IMAGINUSには立ち上げから関わり、現在館長を務める。
文:岡本いつか
FQ Kids VOL.21(2025年冬号)より転載