2021.03.10
2021.03.25
2023.09.15
《 今回の相談内容 》
今年から幼稚園に通っております。娘は繊細でのんびり屋なところがあり、他の子どもにくらべ準備や食事が遅いです。
最近、幼稚園の若い先生に「早くして。なんでそんなに遅いの?」と言われるそうで、先生に怒られるからもう幼稚園に行きたくないと言っています。
今まではその先生が大好きで楽しく通っていたのに、急に突き放すような態度にひどくショックを受けたようで、夜泣きも再発しました。行きたくないと言う娘になんと言ってあげればいいか、悩んでおります。
また、私は「娘はHSC※では?」と感じており、威圧的な対応は逆効果だと思うのですが、教育のプロである娘の先生にどのように伝えたらいいでしょうか? アドバイス頂けると幸いです。
(おはなさん・3歳の女の子の親)
※Highly Sensitive Child。人いちばい感覚や感性が敏感な子どものこと。
まず、娘の先生にどのように伝えたらいいでしょうか? という質問への回答です。親御さんがいま感じていることや家庭内で起こったことをそのまま伝えればいいのです。
「娘は先生のことがとても大好きで、すごく楽しく通っていたのですが、最近ショックなことがあったようで、帰ってきても元気がないんです。園で何かあったのでしょうか? 実は夜泣きも再発してしまって……」という感じです。
教育のプロと言われる先生でも人間ですし、お子さんも僕たち大人と同じように意思を持った1人の人間ですから、相性や価値観の違いも当然あります。
だからこそ、先生のやり方が悪いというスタンスではなく、その先生が大好きだったことも伝えながら、あくまでも「幼稚園での様子を聞く」というスタンスでコミュニケーションをしてみてください。
そうすると「実は、周りのお子さんとタイミング合わせるのが難しいこともあって……」と、先生の方から事情を話してくれることもあります。最初から「先生が悪い」という言い方をしてしまうと、状況の説明ではなく自己保身が始まり、大事な部分が聞けなくなる可能性が出てきます。
もし、その先生が実際にお子さんに「なんでそんなに遅いの?」と怒るような対応をしていたら、親御さんから相談されたときに思い当たるはずです。
HSCであろうとなかろうと、「威圧的な対応は逆効果」というのは同じです。「確かに最近そうだったな」と、先生自身に気づいてもらえた方が、自分で修正しやすくなりますし、一度相談を受けているので意識もしやすくなります。
先生に相談したあとでも、なかなかお子さんの状況が変わらず夜泣きも続くようであれば、主任の先生や園長先生にも相談してみるのがいいでしょう。
さて、「行きたくないと言う娘になんと言ってあげればいいか」についてですが、お子さんに何を言うかよりも、まずは先生に話を聞くことが重要です。
もしかしたら先生も、集団保育の中でどう対応したらいいか悩んでいるかもしれません。もしそういった話があれば、こちらもしっかり聞くことが大切です。
すぐにいい方法が見つからなくても、親と先生がコミュニケーションをすることで、「あの親御さんは、こちらの状況をわかってくれている」「あの先生は、こちらの気持ちをわかってくれている」とお互いに思えれば、それだけでガス抜きになります。
そしてコミュニケーションを重ねていけば、有用な解決策が出てくることだってあります。お互いのことがわからなければ、解決は遠のくのが当然ですよね。
親と先生との信頼関係は、お子さんに伝わります。先生としっかりコミュニケーションを取った上で、「ママが先生と話したから大丈夫だよ。先生はあなたのことを嫌いになったわけじゃないんだよ」と伝えられたら安心感が湧いてくるでしょう。
逆に「言ってはいけないこと」をお伝えするとすれば、幼稚園で迷惑をかけないようにと、お家でも「あなたがのんびりしてるから」「早くしなさい」「いつも遅いから急いで」といった叱り方をしてしまうことです。
幼稚園で迷惑をかけないためにと、お家の中で幼稚園の練習をするようなことはお勧めできません。
のんびり屋さんのお子さんは、お子さんなりに幼稚園で周りを意識しながら頑張っています。それなのにお家の中でも「早くしなさい」となると、園でもお家でも頑張らなくてはなりません。
子どもには「頑張らなくていい居場所」が必要です。家では特別なことをせず、いつも通り接することで、またお外で頑張ることができるのです。幼稚園で頑張っているなら、お家の中では少し甘えられるくらいがむしろちょうどいいですよ。
てぃ先生
関東の保育園に勤める現役保育士。名前の読み方は「T」先生。SNSの総フォロワーは160万人を超え、保育士として日本一の数である。超具体的な育児法や子育てにおけるアドバイスは斬新なアイディアに溢れており、世のパパ・ママに圧倒的に支持されている。現在はSNSだけでなく、報道番組からバラエティー番組まで幅広いジャンルのテレビにも出演し、「いま一番相談したい保育士」と紹介されることも。
文:脇谷美佳子
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