2023.09.25
2021.01.18
2023.04.13
疲れていたり時間がなかったり、どうしてもご飯が作れないときってありますよね。でも、「ちゃんと作ってあげられなくて申し訳ないな」「苦しいな」という気持ちが少しでもあるのだとしたら、それで十分です。その罪悪感のようなものがあるからこそ、「できるときには頑張りたい」という気持ちが生まれるのだと思います。
栄養面でいうと、もちろん一回一回の食事が完璧であればそれに越したことはありません。何でもかんでも「まぁいっか」で済ませていたら保てないものもあると思います。
でも、7日から10日くらいの間で必要な栄養素をバランスよくまんべんなく摂れていれば、身体には何も問題がないということは、私の感覚だけでなく、栄養に詳しい先生たちもおっしゃっていることです。
だから、今日明日は時間がなくて買ってきたご飯になったとしても、7日から10日の間で取り戻していこうという気持ちでいれば大丈夫です。
私の場合は「作り始めるまで」が一番しんどいです。時間はないし、一日中働いてきてクタクタ、それを家族は気にしてないし、当たり前にご飯が出てくるものだと思って好きなように過ごしている……けれど今から外食する訳にはいかない、とかいろいろありますよね。
そんな状態からご飯を作り始めるのはなかなかつらいものです。皆さんも経験があるのではないでしょうか。
実は、そんなときでも思い切ってキッチンに立ち、「えいや!」と手を動かし始めてみると、無の境地に入って、不思議とつらさを感じなくなります。
これは脳科学の先生に聞いたのですが、人は何かを考えている時は大脳を使っていて、大脳を動かしている時は人の身体はストレスを感じるのだとか。手を動かし始めると、使う脳が小脳に替わり、何も考えずに手が動くみたいな、ゾーンに入ったような状態になってリラックスするのだそうです。
なので、ご飯を作るのがつらいと思うのは、脳の機能がそうなっているからであって、あなたのせいではありません! 大脳がオンなら、小脳がオフで、このオンとオフのスイッチをうまく切り替えられるかが重要ですよね。何でもいいので、すぐにできそうなことから手を動かし始めると、意外と気持ちが乗ってきたりしますよ。
私にとっての切り替えスイッチは「千切り」です。スライサーを使えば簡単にできちゃいますが、昔からどんなに忙しくても千切りだけは絶対に包丁でやりたくて。何も考えずに淡々と千切りをしていると、それまでいろいろ考えていたストレスフルな頭から無の境地に切り替えられて、気持ちが楽になるんです。
あと、新刊の『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』でも紹介しているのですが、私のレシピで「さっさと焼きそば」というものがあります。いろんな具材を無心で切って、焼きそばの麺と一緒に火をかけ、7分ほど蒸し焼きにするだけという簡単な一品です。
蒸している間は手が空くので、その頃には、漬物を切ってお皿に盛ってみようとか、簡単なスープなら今作れるな、という気分になったりします。
だから私はやる気が出ないときは、焼きそばにすることが多いです。もしそんな日が続いちゃったとしても、焼きそばはお肉の種類も変えられるし、野菜の許容範囲も広いですよね。何といっても、子供たちは焼きそばが大好き。「えー、また?」と言いながらも絶対にモリモリ食べてくれます。
そういういざという時のメニューを1つでも持っておくと、すごく便利だし、心強いかもしれませんね。
「これで足りるかな?」「あと一品何か作った方がいいかな」なんて悩むこともありますよね。
つい先日、時間もなくて疲れていたので、ひとまず冷蔵庫にあった豚肉と、野菜をたっぷり入れて味噌で味をつけた簡単な煮込みうどんをレミパンいっぱいに作りました。
栄養的には十分だけど、家族5人でその鍋1つをつつくだけだとちょっと寂しいかも……と悩んで、もう一品、サラダを作ったら食べるかと聞いてみたところ、全員に「何で? うどんがあるんだからいらないよ」と言われたんです。
無理して作らなくてよかったと思うと同時に、品数を増やしたいと思っているのは私だけ? と拍子抜けしました。
もちろん、何かもう一品作れないかと考えるのはいいことだし、出せるなら出してあげて、「あなたのことも考えて用意しているよ」と日々伝えていくことは大事です。だけど、無理してまで作る必要はないのかもしれないと気づかされました。だから、品数に迷ったときはひとりで悩まず、家族に聞いてみるのもいいかもしれませんね。
楽ありゃ苦もある地味ごはん。
和田明日香/著(主婦の友社)¥1,496(税込)
2021年4月に出版され、シリーズ累計30万部を突破している超人気レシピ本『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)の続編となる、3月3日リリースの新刊。
「本当に何回も作っている料理ほど、頭を使わずに作れて、食べれば“あぁこの味だ”ってホッとする。だから地味で代わり映えしないことは悪いことじゃないし、自分を取り戻すことだってできる」。(和田さん談/FQKids連載の取材にて)
家庭と仕事を“両立”させるのではなく、“両輪”で回していくための、和田さん流の楽しい知恵やアイデアが詰まった一冊。
和田明日香
料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。
文:志村江
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