「よその子への注意」どうやってする? 子供の“心に残る”伝え方とは

「よその子への注意」どうやってする? 子供の“心に残る”伝え方とは
お友達でも、たまたま居合わせた知らない子でも、わが子以外の子にどうやって注意をするかは、悩ましいもの。タレント・エッセイストの小島慶子さんが考える、よその子へ注意する時に心がけておきたいこととは?

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よその子への注意、
どうするべき……?

お砂場で遊んでいるわが子のシャベルを、見知らぬ子供が横取り! せっかく掘ったトンネルも壊しちゃった。さぁ、どうする?

わが子の仲良しさんは言葉遣いが乱暴で、一緒に遊んでいる子に「うるせぇ、ばーか!」「うぜぇ!」を連発。親御さんは全然気にしていないけど、さぁ、どうする?

他の子に注意をするのって、難しいですよね。知らない子でも、知っている子でも、悩ましい。怖がらせてしまったらどうしよう、親が何か言ってきたらどうしよう。

逆のこともありますね。わが子が知らない人に注意されたり、ママ友・パパ友に叱られたり。そんな時、あなたはどうしていますか。

その場の状況やお子さんとの関係、親御さんとの関係にもよるので、これが正解! というものはないですが、大人が注意をする時に「子供を怖がらせない、傷つけない」というのは大事なポイントかもしれませんね。

それから、幼児でもちゃんと話を聞くこと、丁寧に説明をすること、行為については注意するけれど、その子のことは大事に思っていることがわかるように伝えることなど。

伝わりにくくても、
向き合う姿勢を見せる大切さ

もしも幼いわが子が知らない子のシャベルを取ってしまったのを、そばで見ていた大人が「こら、ダメだよ!」ときつい声で注意したら、親は不安になりますよね。確かに他の子のシャベルを取ってしまったのはいけないことだからちゃんと謝って返すべきだけど、いきなりそんな言い方をしなくても、と。

私だったらどうするかなぁ。横取りした子に、まずはどうしたいのかを聞くかもな。汚い言葉を使う子には、どんな気持ちなのか、何を言いたいのかを聞くかもしれないな。

幼い子供はまだ物事のやり方や気持ちの伝え方の種類が少ないから、もしかしたら乱暴なのは、他の方法を知らないからなのかも。

もしそうなら本人の動機や感情をよく聞いて、じゃあこうしてみたらどうかなとか、こういうふうに言った方がわかりやすいかもしれないねとか提案したら、その子がもっと自分の気持ちをうまく表せるようになる手伝いができるかもしれないですね。

自分の子供でもよその子供でも、幼いからと侮らずに真面目に質問して、話を聞いて、一緒に考えることは大事だと思います。子供のためを思って叱ったつもりでも、一方的な言い方ではその子にもその子の親にも真意は伝わらないでしょう。

もちろん、子供に真面目に質問したり話を聞こうとしたりしても、通じないことはよくあります。でも、大人がそのような態度で接してくれたという経験をすることは、決して無駄ではないと思います。

大人の“気遣い”は
子供にもしっかり伝わる

私が中学生の時に仲の良かった友達のうちでは、泊まりに来た子供たちは誰でもみんな、ご飯の支度の手伝いや食事の後片付けや布団の出し入れなどをすることになっていました。

私の母は遊びに来る子たちを「お客さん」としてもてなしていたので、それとは全然違ってとても新鮮でした。なんだか信用して受け入れてくれている感じがして嬉しかったのです。(母はきっと、よそのお子さんの親に気を遣ったのでしょうし、キッチンによその子供が入るのに抵抗があったのだと思います。その気持ちも理解できます。)

その友達の家で、こんなことがありました。

実は、私のうちでは「お茶碗にご飯粒を残してはいけない」というしつけをしていませんでした。ですから私も、食べ終えた時にお茶碗がご飯粒だらけでも特に気にしたことはなかったのです。

ところがある日、その家に泊まりに行った時、食べ終えた私の前で、友達のお母さまと伯母さまが空っぽのご飯茶碗にお茶を注ぎ始めました。そしてこう言ったのです。

「こうやって食べ終えたご飯茶碗にお茶を注ぐのはお行儀が悪いんだけど、私たちは内緒でいつもこうしているの。お米はとても大切なものだから、こうやって最後は注いだお茶を飲んで、お茶碗にご飯粒を残さないようにしているのよ。慶子ちゃんもやってみる?」と。

お2人のお茶碗には、そもそも一粒もお米粒はついていなかったのだけど。

それでハッとしました。私のお茶碗はご飯粒だらけ。それを見たお2人は、慶子ちゃんはこのまま大人になったらまずいな……と思ったのでしょう。でも「ご飯粒を残すのは行儀が悪いのよ」と言ったら私が恥ずかしい思いをするし、うちのしつけが行き届いていないことを指摘したように聞こえてしまうだろうと思ったのではないかと思います。

それで、食べ終えたご飯茶碗にお茶を注ぐという身内だけのくだけた習慣をわざわざ見せてくれて、「ご飯粒は残してはいけない」という大事なことを教えてくれたのですね。

私はお2人のさりげない気遣いがとても嬉しかったし、教えてもらってよかったー! と心底感謝しました。お2人が行儀の悪い私を軽蔑しないで親身になってくれたのだということも伝わってきて、とても安心しました。

そして、自分も大人になったらこんなふうに上手に子供に物を教えてあげられるようになりたいと思ったのでした。今でもご飯を食べると、よくこの時のことを思い出します。

プロフィール

小島慶子(こじま・けいこ)
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員、NPO法人キッズドアアドバイザー。1995年TBS入社。アナウンサーとして多くのテレビ、ラジオ番組に出演。2010年に独立。現在は、メディア出演・講演・執筆など幅広く活動。夫と息子たちが暮らすオーストラリアと日本とを行き来する生活を送る。著書『曼荼羅家族』(光文社)、他多数。
Twitter:@account_kkojima
Instagram:keiko_kojima_
公式サイト:アップルクロス

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