2021.12.01
2022.08.12
2022.11.12
季節は冬を迎えようとしている。子育てに家事に仕事にと目まぐるしく過ごしているうちに、何もできずに一年が過ぎてしまった……そんなふうに感じてはため息をついているパパ・ママも少なくないだろう。
渦中にいるとささやかな幸せや楽しさを感じる余裕もない。でも実は、子供と過ごす一日一日はかけがえのないもののはず。その事実を思い出すために、同じく子育て中のパパの手による絵本を開いてみてほしい。
その絵本は、株式会社大泉書店から発売された、『今日もヘンテコないきものが2人います』。
作者のつむぱぱさんがインスタグラムに投稿した作品をもとに、新たな描き下ろしを加えてまとめられたものだ。つむぱぱさんは、娘の「つむぎ」と息子の「なお」、そしてママの4人家族。パパとして2人の子供と向き合う日々が、ほっこりとしたイラストで綴られる。
大人から見ると、泣くことしかできない赤ちゃんは、まさにヘンテコないきもののよう。おなかが空いたのか、おむつを替えてほしいのか、泣かれるだけではわからない。急ににっこり愛らしくするのにも戸惑わされる。
ハイハイや伝い歩きができるようになると、これまた不可解に。散らかしたり牛乳をひっくり返したり。そのたびに対処に追われるパパやママは、子供と向き合いたくなくなってしまう時もあるだろう。そんな自分に自己嫌悪を覚えてますます落ち込んだりも。
しかし、つむぱぱさんは気づいている。この「ヘンテコないきもの」を自分は愛していることに。そして「ちいさなちいさなヘンテコなひとたちは僕の人生のすべてになった」と記す。
あとがきにはこうある。「当たり前のようにありふれている子供たちの笑い声や泣き声、牛乳やご飯をひっくり返されることでさえ、きっと長い年月を経た向こう側からすれば、すべて微笑ましい日々の1ページに過ぎないのだと思います」。
つむぱぱさんのインスタグラム投稿には、19.8万もの「いいね︎」がついたという(2022年10月時点)。多くの子育て中のパパやママの共感・支持を得ている証だろう。
子育てをするのは長い人生からすればわずかな時間だ。只中にいると大変さばかりを感じてしまいがちだが、あとになってみればかけがえのない日々のはず。ならば今こそ、この毎日への愛おしさを少しずつ感じていたい。
こうした絵本を読んだり、パパ友やママ友と話したりして、自分の毎日を一歩引いて見つめてみてはどうだろうか。そこには子育て中だからこそ味わえる喜びがいたるところに見つかるはずだ。
文:平井達也
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