2024.09.02
2021.09.27
2022.09.30
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給食がある学校では、献立に地元で採れた食材が取り入れられたり、季節のイベントがメニューに反映されたりすることを通じて、食への理解が深められています。
また、文化を紐解く入り口として食事について勉強することもあります。例えば、沖縄の食べ物には豚肉が多く使われていて、お菓子の「ちんすこう」ですらラード(豚の油)が使われているのですが。その理由を考えてみるところからいろいろなことが見えてきたりします。
うちの子供たちが通う学校のプログラムには面白いところがあって、例えば麦を種から育てて、育った麦を使って自分たちでパンをこねて作ったりするんです。国語や算数、理科や社会などの授業よりも、そういった実践的な学習を大事にする学校なんですよね。
でも、計量してグラムを合わせるのは算数だし、パン屋さんにインタビューしに行ってパン作りのコツを教わりメモを取ることは社会や国語だし、発酵の仕組みを学ぶことは理科でもあります。実は全部が詰まっているんです。
そこには、机に座って国語や算数の授業を受けることだけより、もっと能動的に知り得たいと思う学びがあるような気がします。しかもパンが完成したら食べられて、自分の身にもなる。もちろんそういった授業ばかりではないですが、食について考えることの中には、教科書とノートだけで残る以上の学びがあるということだと思います。
私自身の経験としては、食べ物の好き嫌いなく育ててもらえたことはすごくよかったなと両親に感謝しています。多分それは、満遍なくいろいろなものが食卓に出てきて、経験としていろんなものを食べさせてくれたからです。
記憶としては、家での食事の時は両親が一緒に座り、その日の仕事の話なんかをしながら楽しそうにビールを飲んだりしてご飯を食べていたことをよく思い出します。そういう姿が私に「食卓=ホッとする場所」というイメージを持たせてくれました。
別に両親はただ一緒にご飯を食べていただけで、そんなに深くは考えていなかったと思いますが、そうやってご飯を食べる時間の大切さや愛おしさみたいなものを育ててくれたことにも、すごく感謝しているんです。
だから、「何を食べるか」もすごく大事ですが、食べる環境とか、どんな気持ちで食べるのかといったこともすべてが食育につながる話ですし、大事なことだと思っています。
和田明日香
料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。
文:志村江
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