2020.08.26
2020.08.31
2022.08.01
北澤 コラージュ川柳に使う材料は、身近にある新聞とハサミとのり。非常にシンプルですね。
柴田 川柳は季語が要りません。内容はダジャレなど何でもあり。新聞などの印刷物から切り抜いた三つの言葉で上の句・中の句・下の句を作るというルールを守れば、自由な発想で言葉遊びができます。
北澤 コラージュ川柳は手軽で自由にできるのがいいですね。新聞があればできる非常に良いコミュニケーション・ツールだと思います。
柴田 新聞には5文字、7文字の言葉がたくさん出てきて、それが文章の勢いやリズムを作っています。わが家では、使えそうなワードを見つけたら切り取ってファイルにストックしています。新しいワードを発見したら、すぐに子供たちと一緒に創作活動を始めます。日本語って、ほんと面白いですよね。
北澤 子供たちが小中学生、高校生のころは、子供向け新聞を購読していました。世の中で起こっていることを分かりやすくひも解き、背景をしっかり学べる新聞は、子供たちにとって大きな存在でした。3人ともそれぞれ自分なりに学びたいテーマを持って大学に進学しました。新聞の影響は非常に大きかったと感じています。
柴田 北澤さんの『父親というポジション』という本で、親は子供にとって監督であり、チームメートであり、サポーター。ポジションにこだわらず、ポリバレント(複数のポジションをこなせる)プレーヤーになるといい、という部分が印象的でした。コラージュ川柳では五・七・五それぞれの言葉は入れ替え自由ですし、取り組んでいる間は親子の関係もポリバレントです。
柴田 北澤さんのサッカー解説は非常に分かりやすいです。サッカーについて語るときに気をつけていることは何かありますか?
北澤 自分なりの「哲学」を持って解説したいと思っています。選手はどんな絵を思い描いてそのプレーをしたのか、イメージを自分なりに解釈して言葉にしたり、今後、こういう展開になるだろうという自分なりの予測も入れたりします。予測がないとつまらない解説になってしまいますから。
柴田 北澤さんの現役時代のプレーは「予測する力」が非常に優れていましたよね。
北澤 今は障がい者サッカーにも携わっています。目が見えない人でも試合の動きが鮮やかにイメージできるような言葉で解説したいと常々思っています。
柴田 サッカースクールでは、どのような意識で子供たちとコミュニケーションを取られていますか。
北澤 子供の発想や判断でプレーできるようにしてあげたいと思っています。一番は「ひらめき」を体験すること。自分なりのひらめきや発想を生み出して、自由に使いこなせるようになるといいんです。サッカーの試合は、選手たちのイメージの連なりがゴールというカタチにつながります。特に子供のころに描いたプレーのイメージはとても大事で、大人になってからもその選手のプレースタイルの源泉になります。
柴田 ひらめきの重要さはコラージュ川柳も同じです。一つ一つの言葉の断片が、ひらめきから二つ、三つとつながり五・七・五になると意味が生まれ、世界観が立ち上がります。既にあったものが出合って化学反応が起こるのがアートです。三つの言葉の組み合わせによって、川柳には一つの言葉では生み出せない力が宿ります。
北澤 サッカーもチームメートが連携することで初めて生まれる力があります。そのためにも「他者をリスペクトする力」と「仲間のことを考える力」が必要になります。
柴田 新聞の中にも「おもしろい」とか「ランキング」など、プレーエリアがものすごく広い言葉や、他者を生かすのが上手な言葉なんかもあります。スター選手のような言葉ばかりでは川柳が成立しないのと一緒ですね。
北澤 サッカーは新メンバーが加わると、チームに化学反応が起こります。僕はスポーツというのは、人と人が補い合うことで思いもよらないものが創造される芸術そのものだと感じています。
北澤 コラージュ川柳は初めて挑戦しますが、上手く作れるでしょうか。
柴田 最初は遊び感覚で、「人を楽しませるものを作ってみよう」という気持ちで始めると、やっているうちに自分だけのオリジナル・ワールドが立ち上がってきます。
北澤 サッカーも「できた!」「楽しい」「おもしろい」が原点ですから、一緒ですね。
柴田 新聞の政治面で使われている言葉と生活面で使われる言葉、広告面の言葉は、それぞれ「世界観」が違います。切り取ったピースを見れば、「これは料理のワードだな」とか、言葉が持つ世界観や文脈の中での使われ方が見えてくるのです。それらの領域を横断して言葉を選んでいくと、奇妙なつながりができあがります。デザイン性やリズム感、世界観が異なるもの同士の「いびつな同居」がコラージュ川柳の面白さです。
北澤 僕も普段から選手の特性や個性を理解していなければ、良い解説はできないと思っているので、それと同じですね。同じ言葉でも、挿入される場所や組み合わせ方によって、微妙にニュアンスが違ってきて面白いです。
柴田 日々、言葉をストックしていくのもよし。他人が切り抜いたものを使ってもいいんです。一人でじっくり取り組んでも面白いですが、みんなで作ると、自分ではそれまで気にかけてこなかった言葉が、自分のものになるんです。それぞれの視点や個性を共有できるので、親子で取り組むと会話が豊かになりますよ。
できあがった川柳を紙に貼り、作った本人が手に持って撮影したらコラージュ川柳の完成。
北澤 「なんだろう 夜中に何度も… 完全試合」。
柴田 これは傑作! 作ったのが北澤さんだからこそ、この川柳から見えてくる独特の景色がありますね。僕の作品は「いいんです 衆院議員の グラデーション」。
北澤 「グラデーション」という言葉が想像力を刺激しますね!今回やってみて、言葉の持つ楽しさに気づきました。これから僕が解説する時は、言葉の選び方が変わってくるだろうと感じました。
柴田 川柳づくりを続けていると、うちの子供たちの語彙(ごい)もずいぶん豊富になっていて、言葉のセンスが磨かれてきていると感じています。
日本新聞協会は夏休み期間中、親子で取り組む「コラージュ川柳®️」コンテストを開催しています。
作品はTwitterで受け付けています。締め切りは8月31日(水)。
子供の言葉のセンスを磨き、親子の会話を深めるコミュ二ケーション・ツールの一つとして「#親子でコラージュ川柳」キャンペーンに応募してみてはいかがでしょうか。
期間:2022年8月1日~31日
対象:幼児~小学生の親子
形式:Twitter上での写真投稿キャンペーン
応募方法
①新聞でコラージュ川柳を作る。
②コラージュ川柳を撮影した写真に「#親子でコラージュ川柳」のハッシュタグを添えてTwitterに投稿する。
※投稿には親子で取り組んだことが分かるコメントを添えてください
※コメントに「新聞が育児に役立ったエピソード」を書くとプレゼントの当選確率が上がりますよ♪
※さらに「ママ・パパの新聞科学研究所(@np_labomama)アカウントをフォロー」し、「親子で取り組んでいる写真」を添えていただいた方には特別賞(オリジナルエコバッグ)をプレゼント!
【計15名様に豪華賞品をプレゼント】
グランプリ :iPad × 1名様
準グランプリ:ダイソンデスクライト × 1名様 バルミューダデスクライト × 1名様
FQKids賞 :ドウシシャしゃべる地球儀 × 1名様
日本新聞協会賞:電子版図書カード 1,000円分 × 10名様
コラージュ川柳発案者・淀川テクニック賞:アーティストサイン入り「コラージュ川柳®」作品集 × 1名様
お手元に新聞がない方は、無料で1~2週間の試し読みができます。
コラージュ川柳®とは
新聞を使った「コラージュ川柳®」とは、5文字、7文字の言葉を新聞から切り抜き、五・七・五に組み合わせて川柳を作る遊びです。
ルール
新聞の記事や見出しなどから5文字と7文字の言葉を切り抜き、五・七・五の川柳形式に組み合わせる。
※5拍の句を「2文字+3文字」で作ったり、7拍の句を「4文字+3文字」で作ったりすることはできません。
※字余りなどは通常の川柳に準じます。
北澤 豪(きたざわ・つよし)
サッカー元日本代表。中学時代は読売サッカークラブ・ジュニアユースに所属。修徳高校卒業後、本田技研工業株式会社に入社。海外へのサッカー留学・日本代表初選出を経て、読売クラブ(現東京ヴェルディ)へ。J1リーグ戦264試合・日本代表国際Aマッチ59試合。2003年現役を引退。社会貢献活動にも積極的に取り組み、サッカーを通じて世界の子供たちの支援活動を行う。現在(財)日本サッカー協会参与、フットサル・ビーチサッカー委員長、日本障がい者サッカー連盟会長などとして、サッカーのさらなる発展・普及に向けた活動を行う。
柴田 英昭(しばた・ひであき)
「コラージュ川柳®️」の発案者。アーティスト「淀川テクニック」として活動中。1976年岡山県生まれ。2児の父。鳥取在住。2003年に大阪・淀川の河川敷を拠点として活動開始。全国各地や海外で集めたゴミや漂着物を使ってさまざまな造形物を制作する活動は、国内外のテレビ、新聞などで多く取り上げられ、作品は小学校や中学校の美術の教科書にも掲載されている。アートの分野のみならず、「国連環境デー」「G20イノベーション展」など環境に関する世界的イベントにも出展経験がある。
写真:松尾夏樹 文:脇谷美佳子
Sponsored by 一般社団法人 日本新聞協会
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