2021.08.30
2021.12.29
2022.06.22
コロナ禍が落ち着きを見せ、さまざまな制約が緩和され始めたこの頃。失われた期間があった分、わが子にいろいろな体験をさせてあげたい。とはいえ季節は梅雨。無理なくおうちでできることも考えねばならない。
動物に興味がある子供は多いだろう。麻布大学「いのちの博物館」では、約500もの動物標本をはじめとする展示を見て、生命や地球について関心を深めることができる。この春、PCやスマホから訪れることができる「バーチャルいのちの博物館」(URL:my.matterport.com/show/?m=stVprRVtCFa)がオープンした。
麻布大学は獣医学部と生命・環境科学部を擁し、人・動物・環境に関する教育・研究を展開している。創立125周年を記念して2015年に大学キャンパス内に設立されたのが「いのちの博物館」だ。動物標本を中心に、大学の研究内容や歴史資料にも出会うことができる。骨格標本はレプリカではなく、全て本物の骨であることも特長だ。
そんな博物館展示が、VRで時間や場所を選ばず見られるようになった。3Dビュー映像はPCやスマートフォンで手軽に、VR映像も専用ゴーグル(Meta Quest2推奨)を用意すれば迫力満点に鑑賞することができる。
アクセスすると、博物館の玄関が開かれているのでさっそく入館だ。目の前のガラスケースでは展示領域ごとの代表的な展示物が出迎えてくれる。威容を誇るウシの骨格標本や、首と手足の長いキリンの骨格はまるで恐竜のようだ。動物の手足の骨格を比較するコーナーもあり、環境適応や進化について考えるきっかけとなるだろう。
哺乳類の食べ物の解説パネルには「よいものは少なく、たくさんあるものはよくない」とある。なんだか深い。アナコンダは骨格となってなお、何かを呑み込もうとしているように恐ろしい。大きいものでは体重250㎏にもなり、他の動物を絞め殺して食べるという。頭でっかちな人間のひ弱さを思ってしまう。
同博物館には開館7年足らずで、幼稚園児、小中学生から年配者まで延べ33,000人が来館した。大学での先端の研究をわかりやすく一般向けに紹介する場として定着してきたが、オンライン化でさらに多くの人の学びを応援してくれるだろう。
なお、感染拡大防止のため、現地への来館については電話での事前予約制となっている。
コロナ禍にかぶさるように戦争報道が流れる日々、いやおうなく「いのち」について考えさせられる。わが子に生命のかけがえなさを伝えるのに、あらゆる動物の生死に思いをはせる場を与えることも意味があるだろう。親子で一緒に展示を見て、子供と話をしてみてほしい。わが子の観察から大人が学ぶこともあるだろう。
社会の開放感からあれこれ予定を詰めたくなるが、体調を崩してしまってもいけない。1つひとつの経験について親と子で考え、話してみる余白の時間も大切にしてほしい。
文:平井達也
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