「時には離れてもいい」子供に教えてあげたい、友達関係を安全に築くために大切なこと

「時には離れてもいい」子供に教えてあげたい、友達関係を安全に築くために大切なこと
新年度を迎え、早2ヶ月。子供の順応力に感心する一方、友達と楽しく遊べているか、クラスに馴染めているかなど心配になることも。小島慶子さんが息子さんたちに伝えてきた、「友達との関係作り」で大切なこととは?

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友達との関係作りは
子供のペースでいい

あなたは人付き合いが得意ですか? 苦手ですか? 私は後になってからつい相手の細かい心理まで深掘りして考えてしまう癖があるので、時々疲れてしまいます。でも人と人を繋ぐことや、いろんな人の話を聞きに行くのは大好きです。

子供の頃や若い頃は人との距離の取り方が極端だったため、相手から見たら唐突で突飛な言動をしては、怒らせたり、傷つけたりしてしまっていました。「仲良くなりたい」「一緒にふざけたい」という思いが独りよがりで、空回りしていたのです。

生まれてから3歳まで外国生活で、友達ゼロの母子カプセル状態だったこともあり、私はうんと人見知りで、相手の感情を読むのがとても苦手な子供でした。人と自然に仲良くなるというのがどういうことか分からず、テレビや漫画で見た「友達」のイメージをいきなりやってみるものだから、うまくいかなかったのです。

30代で子育てをして、人に心を開くことや相手をそのまま受け入れることを体験的に学んでからは、そうした失敗はなくなりました。

今、ご自分のお子さんが友達作りがあまり得意ではないのを心配している人もいるでしょう。不思議なもので、全然知らない子ともすぐに遊べる子と、なかなか入っていけない子がいます。新しい環境に馴染めなくて、友達作りに時間がかかることもあります。子供によって違うので、急かさないであげたいですね。

仲良しグループに入れなくても、気の合う子が1人いれば十分だし、それもすべてを理解し合う大親友でなくてもいいのです。あの子とは漫画の話、この子とはサッカーの話、などとちょっと話の合う子が数人いるのでもいいでしょう。やがていつか大きくなってから、生涯の友と呼べる人に出会うかもしれません。

集団にいかに馴染めるかより
子供にとって必要な力

息子たちが小さい頃にはよくこんな話をしていました。「お友達とは、楽しく遊べる時もあればそうでない時もある。もちろん、自分が相手を怒らせたり傷つけたりしてしまった時は、ちゃんと話を聞いてごめんねと気持ちを伝えることが大事だよ。

でも、時には自分とは全然関係ない理由で、お友達が前とは違う感じになってしまうこともある。理由がわからないのに、この間まで仲良しだった子と、楽しく遊べなくなったり、時には意地悪されることもある。そういう時は、離れていいんだよ。時間が経てばまた楽しく遊べるようになるかもしれないし、そうではないかもしれない。人はみんな変わるものだから、それは自然なことなんだよ」

私は、同調圧力の高い日本では特に、集団に馴染む力よりも、集団から離れる力の方が大事だと考えています。たまたま気が合えば、楽しければ、自然とその集団には馴染むものです。けれどそこが安全ではなくなったり、辛い場所になったら、いったん離れることが必要です。

なのに1人になるのが怖くて無理して留まったり、周囲の目を気にして我慢してしまったりすることがとても多いのです。大人もそうやって苦しんでいますよね。職場や親の付き合いなんかまさにそうでしょう。

だから子供には「みんなと仲良く、たくさんお友達を作ろうね」と言うよりも、「気の合う人をゆっくり探せばいいよ。人は変わってしまうこともあるから、その時は距離を置いて様子を見ようね」と言う方が親切なのではないかと思います。みんなと仲良く元気一杯! をよしとする園や学校では、なかなかそういうことを言ってくれる大人はいないと思います。

いじめの被害者にも
加害者にもしないために

子供の人間関係で親が一番心配なのは、“いじめ”でしょう。いじめをする子は生まれつき邪悪な心を持っているのではありません。その子の生育環境の問題が、いじめ加害という形で表れていると考えられます。つまり、いじめ加害をなくすには、その子が必要としているケアが何なのかを考えることが必要なのです。

「いじめはいけないことだよ」「思いやりが大事だよ」「いじめられた子は辛いんだよ」といくら言っても、いじめをする子を変えることはできません。いじめをする子を排除すれば教室は安全になりますが、排除された子はまた別のところで人をいじめるでしょう。被害者のケアが必要なのはもちろんですが、加害者の子供も、安全ではない場所で生き延びようとした結果の加害行動かもしれないという視点が必要です。

では、自分の子供を加害者にも被害者にもしないためには何が必要なのでしょうか。はっきりしているのは、子供には、安全な場所が必要だということです。安全な場所というのは、ぼーっとしていても攻撃されたり批判されたりしない場所です。人と比べられたり、欠点を論われたりしない場所です。あなたがいてくれて嬉しい、と言われる場所です。

もしも「子供が友達を作れなかったらどうしよう」と心配なら、まずはおうちで気楽に過ごせるようにしてあげましょう。たとえ園や学校の教室で目立たなくても、人気者でなくても、お家が楽しければいいじゃないですか。大人もそう思えたらハッピーですよね。

プロフィール

小島慶子(こじま・けいこ)
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員、NPO法人キッズドアアドバイザー。1995年TBS入社。アナウンサーとして多くのテレビ、ラジオ番組に出演。2010年に独立。現在は、メディア出演・講演・執筆など幅広く活動。夫と息子たちが暮らすオーストラリアと日本とを行き来する生活を送る。著書『曼荼羅家族』(光文社)、他多数。
Twitter:@account_kkojima
Instagram:keiko_kojima_
公式サイト:アップルクロス

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