2024.08.30
2024.01.16
2022.09.19
かつては、「お金」というと現金のことを示していたが、いまはカード決済や電子マネーなど、その形は多様で複雑化している。子供たちがお金と正しく向き合うために、親としてどのようにお金の教育をしたら良いのだろうか。お金の専門家であり金融教育活動家として活躍する横川楓さんに話を伺った。
「日本では人前でお金の話をすることはタブーとする風潮もあり、家庭や学校でのお金の教育は世界に遅れをとっていました。しかし近年、若い世代へのお金の知識やリテラシーの必要性が語られ、金融教育が注目されています。
小学校・中学校から消費者教育が導入され、今年の春からは高校の家庭科で投資教育が拡充されています。成人年齢が18歳に引き下げられることもあり、社会で生きていくためにも、早期にお金と向き合うことが必要なのです」。
お金と賢く向き合えたらいいが、誤ると、トラブルにつながりやすい。
「大人になってからお金の知識ややりくりの仕方を覚えようとしても、なかなか身につかないものです。幼少期から、日常生活の中でお金について考える習慣をつけることも、お金教育のひとつなのです」。
現代は、共働きの家庭が増え、塾や習いごとに通う子供も多い。電車に乗ったりコンビニに寄ったり、お金はより身近なものになっている。
「お金の形が複雑化し、SNSなどで情報があふれるこれからの世の中では、もっと能動的にお金のことを考え、判断して動く力が必要です。そのために大切なのは、親御さんも一緒になって、楽しみながらお金について学んでいくこと。日常の中で自然に伝えていくことで、お金をタブー視せず、上手に向き合えるようになりますよ」。
FQKidsアンケート
お金の教育への関心が高まっています
※お子さんをお持ちのファミリーを対象にしたインターネット自社アンケート調査(2022年3月実施 回答数54)
アンケートによると、9割以上が「子供の頃にお金教育を受けていない」と答えている。親になり、わが子にどのようなことを教えれば良いかがわからない人も多いだろう。
予想通りの結果です。「学校教育での金融教育」に重点が置かれるようになったのは2005年。実際に「金融教育」に費やされる授業時間も少なく、「教育を受けた」と認識している人は多くないでしょう。
お金の「価値」や「使い方」、「貸し借り」などが並ぶなか、学んでおきたいという声が圧倒的に多かったのが「貯金や投資」。その他、税金や相続税などの回答もあった。
給料があがらなかったり、銀行に預けてもお金が増えなかったりするのが現状。少しでも手元に残るお金が多くなる方法を考え、貯金や投資に興味を持つ方がいらっしゃる印象があります。
「はい」と答えた人は全体の約4分の1。お金の計算方法や買い物の仕方、お小遣いの使い道を決めさせるなど、日常の中でお金について親子でやりとりをしていることがわかった。
「お金の教育」と聞くと、ハードルの高い教育だと思われがちですが、買い物に行くのも、お金の使い道を考えさせるのも立派な教育です。気づいていないだけで、お金教育ができている人も多いはず。
※複数回答
子供の年齢にもよるが、わが子には、お金の価値、使い方、貸し借り、貯金や投資まで、満遍なく教えたいという傾向が見える。この他、「税金」「保険」という声もあった。
やはり、「もっと早くお金のことを学んでおきたかった」という後悔が、子供にお金教育をしていきたいという気持ちにつながっています。親子で一緒にお金について考えていけるといいですね。
横川楓さん
やさしいお金の専門家・金融教育活動家。1990年生まれ。明治大学法学部を卒業し、明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科へ進学。24歳で経営学修士(MBA)を取得。「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに活動。2022年、一般社団法人日本金融教育推進協会を代表理事として立ち上げ、「誰もが平等に金融リテラシーを身につけ、活用できる社会に」を目標に金融教育の普及に努める。著書に「ミレニアル世代のお金のリアル」。
文:鈴木ゆうこ
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