2020.07.29
2021.12.20
2022.05.13
いまやテレビや動画は育児において欠かせない便利ツール。そんな中で、子供の時期はどんなことに気を付けたらいいのだろう? 特に、液晶画面から出ているブルーライトは、それをカットするメガネも売られているほどなので気になる存在だ。
実はブルーライトの目への影響は未解明な部分もある。成長期の子供の視力をどう守っていけば良いのか、眼科医たちの考えを参考にしてみよう。
一般社団法人健康長寿は、眼科医を対象に、「子供の視力低下の原因」に関する調査を実施した。まず尋ねているのは「10年前に比べ、弱視の患者は増えているか」。なんと、9割の眼科医が「増えている(92.5%)」と回答した。
Q.10年前に比べ、弱視の患者は増えていますか?
その要因としては、
●画面などの見過ぎ
●長時間のスマートフォンの利用
●ゲーム
●睡眠不足
が挙げられている。やはりライフスタイルと視力低下は密接に関わっているのだ。
次に「視力を完成させるのに大切な時期」を質問している。最多の回答は「4~6歳まで(40.6%)」、ついで「7~10歳まで(32.5%)」「0~3歳まで(14.9%)」と続き、これらを合わせて9割の眼科医が、10歳までが肝心だと考えているという結果となった。目も体の一部。身体の基礎が出来上がる時期の生活が大事なのだ。
Q.視力を完成させるために大切な時期はいつ頃までですか?
さらに子供時代のケアの重要性を示す数字も明らかになっている。「子供の視力低下スピードは、大人に比べてどれくらい違いがあるのか」と聞いているのだ。最多は「大人の2倍ほど早い」と62%の眼科医が回答した。「大人の3倍ほど早い」という回答も19%に上り、多くの眼科医が子供は視力低下のスピードが早いと考えていることがわかる。
Q.子供の「視力低下のスピード」は大人と比べてどのくらいの違いがありますか?
一度落ちてしまった視力を回復させるのは簡単ではない。わが子の目が悪くなっているかな、と感じたら早急な対応が必要だ。
子供の目と大人の目は何が違うのだろうか? 挙げられたのは「水晶体の透明度」「子供は水晶体にピント調節の癖が付きやすい」「強度」「眼球の柔軟性」。ここからも子供の目は成長途上の器官であることがうかがわれる。
気になるブルーライトと視力の関係について、「子供の目に与えるブルーライトの悪影響は、大人の目と比べてどれくらい大きいか」を質問している。「大人の2倍ほどの悪影響(53.7%)」という回答が最も多かった。「大人の5倍の悪影響」も18%、「大人の10倍以上の悪影響」も4.8%あった。
Q.子供の目に与えるブルーライトの悪影響は、大人の目と比べてどれくらい大きいですか?
やはり医師としての見地からもブルーライトは子供の目に強く影響を与えるものなのだ。
そして「子供の視力の低下の原因になりやすいものは何か」も尋ねている。1位は「ブルーライト」が約6割、2位は「紫外線」が約2割だった。
Q.最も子供の視力の低下につながる原因になりやすいものは?/下図左
Q.子供の視力の低下につながる原因となりやすい行動を教えてください(上位3つまで)/下図右
具体的な行動として、「PCやスマートフォンの使用(67.2%)」「テレビの視聴、テレビゲーム(50.9%)」が多く挙げられた。この結果からも、眼科医が液晶画面によるブルーライトの子供の目への悪影響を懸念していることがわかる。
では、保護者の意識や努力で子供の視力低下は予防できるのだろうか? これには約8割の眼科医が「予防できる(77%)」と答えた。
Q.保護者の意識や努力で子供の視力低下は予防できますか?
具体的な保護者へのアドバイスは以下の通りだ。
●ブルーライトに接する時間を制限する必要がある
●適度に休憩を入れ、目の周りをほぐすなどリラックスさせること
●生活習慣の改善とストレスのない生活
●近くを見続けないように気をつけること
目への直接的な負担の他、生活習慣やストレスにも気をつけるべきなのだ。
子供に動画などを見せることに不安を感じているパパママも多いかもしれない。しかし、多くの眼科医が「子供の視力低下は親のサポートによって予防できる」と回答したように、工夫の余地はある。
ブルーライトを子供から完全に遠ざけることは困難だ。ならば親子で適切なルールを作る必要があるだろう。その際「目を大切にするため」であることを子供が理解することも必要だ。
また、画面に映るもの以外にも、楽しいものやキレイなものはあふれていることに気づかせてあげたい。もちろんそれは目のためだけではなく、子供の成長全体にかかわることだ。
一般社団法人健康長寿
ひとみの専門店
HP:ehitomi.com
〈調査概要〉
「子供の視力低下の原因」に関する調査
・調査期間:2022年4月1日(金)~2日(土)
・調査方法:インターネット調査
・調査人数:1,013人
・調査対象:眼科医
・モニター提供元:ゼネラルリサーチ
文:平井達也
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