親子のスポーツ教育入門! 正しい情報収集から非認知能力を育むコーチングQ&Aも

親子のスポーツ教育入門! 正しい情報収集から非認知能力を育むコーチングQ&Aも
スポーツを通じて、目標を達成する意欲や粘り強さなど、非認知能力が育まれることもある。だが、ただがむしゃらに努力するだけでは将来的に目標や意欲を失ってしまうことも。非認知能力を育むスポーツ教育とはどんなものだろうか?

スポーツ教育年表
~体罰指導からコーチング教育までの軌跡~

体罰を伴うスパルタ指導が行われていたと言われる昭和から、スポーツ教育の知識が指導者に徐々に浸透していった平成、コーチング技術を用い、スポーツを通じて人格形成までを目指すようになった令和まで。教育の軌跡を紹介する。

【昭和】
スパルタ指導が当たり前 根性論の時代

インターネットが全く普及しておらず、スポーツ医学、スポーツ科学の知識も一般的には知られていなかったため、「練習中は水を飲むな」「うさぎ跳びをしろ」など、科学的根拠のない指導が多く行われていた。体罰を伴うスパルタ指導もあったと言われており、いわゆる根性論の時代だった。

【平成初期~中期】
体罰の防止による指導の方向転換

インターネットの黎明期、情報化社会になる手前の時期。スポーツ教育に関する正確な情報を得られる指導者がわずかだが増えてきた。また学校、スポーツ教育での体罰問題が社会で注目をされ、その防止マニュアルを教育委員会が策定するなど、指導方針の転換が起こった。

【平成後期】
科学的根拠に基づくスポーツ教育が広がる

情報化社会の到来。日本でもスポーツ科学が盛んになり、プロチームや大学を中心に、科学的根拠に基づく筋トレ指導などが行なわれるように。アスレティックトレーナーによるトレーニングも浸透していく。一方、小・中・高校生への科学的指導はまだ少なかった。

【令和】
コーチングで人格も育成 家庭間での情報格差も

「自分の課題を自分で考えさせる」指導やポジティブな声がけなど、コーチング技術を用いた指導を通じて、人格形成まで行われるように。科学根拠に基づく指導も広く一般的になる。その一方で、科学的根拠のない理論が出回るなど、家庭レベルでの情報格差も起きている。

国、市町村、家庭間の情報格差問題

年表にも顕著だが、インターネットの普及と、スポーツ教育の変遷は深く関係している。令和になり大きく進歩しているが、欧米ではすでにアスレティックトレーナーが一般家庭にも普及するなど、国や市町村によって情報や実施にはまだ格差がある。

家庭レベルで見ても、子供に最も影響のある母親が「子供時代は筋トレNG」など、根拠のない理論を信じているケースがあり、子供をサポートする家族への教育の必要性が見直されている。

学校の体育とスポーツ教育の違い

学校の体育とスポーツ教育との大きな違いは、体育は学年に応じて決まったカリキュラムを全員で行ない、行なわなければ注意を受ける環境にあるのに対して、スポーツ教育は1人1人の個性や得意を重視して伸ばしたり、個々の課題に向き合い、克服するところに重点が置かれているところにある。

体育では全生徒の平均的な体力、健康の向上は見込めるが、スポーツ教育のように、ある分野に突出した技術を身につけることは難しい。
 

親子のコーチング
Q&A

スポーツに打ち込む子供に対して、親がどう接したらいいのか悩むシーンは意外と多い。ここでは元プロサッカー選手で、現在は指導者である畠山さんに読者の質問をお読みいただき、非認知能力を育てるスポーツ指導を行なう立場から、アドバイスをいただいた。

【心構え】
Q.プロスポーツ選手を目指し、がんばっている小学生の息子がいます。親にできる応援や心構えはどのようにすればでしょうか?

A.今スポーツ科学、スポーツ教育の分野は急速に進化を遂げており、これまでは良いとされていた練習が、実は効果がなく、逆に身体に悪影響と判明する事案なども起こっています。ご両親は信頼できる研究者や教育機関を見つけ、インターネットや講演会を通じ、日々最先端の情報を学ぶ心構えが必要だと思います。

【態度】
Q.レギュラーを外されると落ち込んだりその逆もありと、サッカーに打ち込む子供に接する態度に悩んでいます。もっと意見してあげようと思っています。

A.最も望ましい態度は口出しせず、少し離れた距離で見守ることです。親が過度の期待をして練習内容や選手選考に口出しすると、「落ちた経験から闘志を燃やしてほしい」など指導者の思惑がふいになったり、本人が両親に頼って自立できなくなることも……。どうぞ信じて見守ってあげてください。

【褒め方】
Q.試合や練習でいいプレーをした時に、褒めてもいいんでしょうか?

A.めちゃくちゃ褒めてください。もう全てのことに「ありがとう」というくらい、ポジティブな声がけをしてあげてください。その声が子供の「好き」や「夢中」の原動力につながります。「プレ・ゴールデンエイジ」にポジティブシンキングができるようになると、困難にぶつかっても乗り越えられる人間に育ちますよ。

【𠮟り方】
Q.なかなかスポーツが上達せず、練習を休みがちです。うまくなりたい気持ちはあるようですが、時には叱ってもいいのでしょうか。

A.どんなスポーツも何かを乗り越えるべき時がありますから、時には叱る必要もあります。ただし、指導者に事前に相談するなどタイミングは見極めて。それから「好き」「負けたくない」という気持ちがないと辞めてしまうので、それがあるのが大前提です。叱る時は、やさしい口調でオープンクエスチョンを心がけましょう。

【ルールの考え方】
Q.試合を見ていると「正々堂々」とは言えないルールギリギリのプレーをしていることがあり、注意すべきか悩みます。

A.スポーツにはやっていいファールとやってはいけないファールがあります。日本では「きれいなプレーをしないといけない」という考え方が強調されていますが、海外ではルールギリギリのプレーも1つの作戦として立派に成立します。あまり暴力的な行動がない限りは、審判の判断に任せてください。

教えてくれた人

畠山 祐輔(はたけやま・ゆうすけ)さん
U16~U21の日本代表に選出され、早稲田大学卒業後、ドイツなど4ヵ国でプロサッカー選手として活躍。引退後は㈱リクルートで営業として働きつつ、ボランティアでサッカー指導を開始。2021年、サッカーと英語を通じて世界で戦える人材の育成を図る「グローバルスポーツアカデミー」を設立。


文:笹間聖子

FQ Kids VOL.06(2021年春号)より転載

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