子供の能力を最大限に引き出す「ドルトンプラン教育」非認知能力を育む3つの柱とは?

子供の能力を最大限に引き出す「ドルトンプラン教育」非認知能力を育む3つの柱とは?
学力テストやIQでは測れない「非認知能力」。これからの時代を生き抜くために不可欠な能力を、子供のうちにどのように伸ばすことができるのだろう? 海外で人気の教育法から、そのヒントを紹介しよう。

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「ドルトンプラン」の特徴
アメリカの教育家、ヘレン・パーカースト(1887年〜1973年)が創始者。「自由」と「協同」を2大原理に据え、子供1人ひとりの興味を出発点とした自主性と創造性(自由)、様々な人との交流を通して社会性や協調性(協同)を育む。

自主性に基づき、
個人の能力を最大限に引き出す

ドルトンプランには、「ハウス」「アサイメント」「ラボラトリー」という教育理念・原理を支える3つの柱がある。

「『ハウス』とは『家庭的な教室』のこと。子供にとって『ハウス』(教室)は安全であり、安心できる場所でなくてはなりません。何でも言え、失敗してもいつでも再チャレンジできる場所。非認知能力の育成において、安心できる場所の存在は最も大切かもしれません」。

そう話すのは、河合塾学園ドルトンスクールの細谷孝治さん。1976年、「河合塾」が、ニューヨークのドルトンスクールと提携し東京と名古屋にドルトンスクールを開校。ドルトンプランの教育理念を継承しつつ、日本の文化や風土に適した教育を作り上げてきた。

ドルトンプラン教育では、生徒1人ひとりの興味・能力・必要性に応じたプログラムを立て、個人の能力を最大限に引き出す。フリープレイ(自由遊び)では、玩具遊びやボードゲーム、ものづくりなど思い思いの遊びに興じることで非認知能力を身につけていく。また、3~5歳児を対象としたファーストプログラムでは、専門科目(体操・音楽・アート・イングリッシュ・サイエンス&コンピュータ)や校外学習なども行われる。

「学習の中心となるのは『プロジェクト』です。様々なテーマをもとに、言語活動、数、サイエンス、アート(創作活動)、クッキングなどの活動をします。例えば恐竜をテーマにした創作活動では、協調性を育むためにみんなで大きな恐竜を制作することもあれば、多様性の学習を意図して1人1つ好きな恐竜を選んで制作することも。色々と考えたり、自分で調べたり。まさにこうした経験が非認知能力の育成に繋がっていくのです」

ドルトンプラン教育
実践例

協同プロジェクト(協同)
1つのテーマに対し、友達と協力しながらリサーチし、資料をまとめて発表するプロジェクト。集団性や協調性、思いやりなども自然と身につけていく。(写真:年長 プロジェクト「東京」)

専門科目(サイエンス/コンピュータ)
年長より専門科目。1人ひとりが実験を行って、予想→実験・検証→まとめ・応用という学習で法則や原理について考えていく。

フリープレイ(自由)
それぞれの学年に応じた遊具やゲームを用意。子供たちは自ら遊びを選択して、集中して遊ぶ。自分たちで選ぶことで「自ら考えて行動する力」が養われる。

おうちで実践Point!


子供の考えややりたいことを大人が先回りして用意しないこと。「これはどうするのかな?」など、対話を通し、子供の考えや意見を引き出してあげると良い。大人の想像を超えたアイディアが出ることも。

教えてくれた人

細谷孝治さん
河合塾学園ドルトンスクール東京・企画マーケティング部部長。高校教育に従事した後「幼児・小学生時期の教育の大切さ」を感じ、幼児・小学生の教育に携わる。現在ドルトンスクールでは20年以上の勤務。


文:曽田夕紀子

FQ Kids VOL.06(2021年春号)より転載

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