2022.03.16
2022.08.01
2022.03.19
>>関連記事【噂の小1プロブレムって? 対策のカギは、幼児期に育むべき10の姿と新カリキュラム】
幼児期の遊びを通した学びから教科等への学びへと円滑につなぐために生まれた「スタートカリキュラム」の内容はどんなものか。横浜市は2009年から「スタートカリキュラム」を実施している。
下の時間割は入学直後の4~5月の例。いきなり教科別の授業に入るのではなく、少しずつ学校に慣れるよう、3つの学びの時間が設定されている。最初は遊びを中心に、新しい友達と仲良くなり、自分を表現できるようになる「なかよしタイム」が多い。
出典:「横浜版接続期カリキュラム平成29年度版」、保護者向けリーフレット「安心して入学を迎えるために」
まずは学校に慣れるよう安心できるスペースを作る。子供同士が自由に遊べる場があることでリラックスでき、新しい友達と仲良くなれる。
「なかよしタイム」の友達作りゲームのようす。ゲームを繰り返すなかで、新しい友達に声をかけるなど、関わりを広げたいという意欲が育つ。
次に多い「わくわくタイム」では、具体的な体験を通じて学ぶ意欲を育て、教科学習につなげていく。そして、徐々に増える「ぐんぐんタイム」で、子供たちの興味や関心に合わせながら教科の学習へ移行する。
生活科を中心とした合科的な学習(わくわくタイム)では、学校探検をして学内の生き物や人に出会うなどを通して、問題解決的な学習を行う。
教科書に向き合うだけでなく、植物の観察など実物に触れて体験的に学ぶことや、じっくり取り組み自分で考える時間を作ることで成長を促す。
集団での遊びや学級での活動を通し、友達と一緒に活動する楽しさや、共通の目標に向かって協力することの大切さを感じられるようにする。
徐々に学習の要素を組み込んでいけるように、教科のねらいに近づける楽しい活動をして、円滑に教科の学習へ移行できるようにしている。
「○○タイム」と名付けて時間割を工夫するのは横浜市独自の取り組みだが、各自治体、各学校が授業時間や学習環境を考慮し、学習への興味・関心を高める工夫をしている。「保護者たちが子供だった頃と違い、学び方は新しくなっています。入学前に教え込まなきゃと焦らず、楽しい学びがスタートすることを、親子でワクワクしながら入学を迎えてください」。
大豆生田啓友さん
玉川大学教育学部教授。乳幼児教育学・子育て支援が専門。NHK Eテレ「すくすく子育て」をはじめテレビ出演や講演活動など幅広く活躍中。著書に『非認知能力を育てる あそびのレシピ』(講談社、共著)など。
文:江頭恵子
編集部のオススメ記事
連載記事