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2022.01.20
「性教育」という言葉にとまどいを感じる方は多く、「何から始めればいいかわからない」という声もよく聞かれる。幼児に向けた「性教育」とは、どうすればいいのだろうか。
「日本と国際スタンダードでは、性教育という言葉のとらえ方が異なりますね」と語るのは、「#なんでないの プロジェクト」の代表を務める福田和子さん。日本では「性教育」といわれると性行為そのものがイメージされるが、国際的には人権や人間関係を学ぶところからスタートする。ジェンダーの平等や性の多様性までを含む「包括的性教育(Comprehensive Sexuality Education)」が、性教育のスタンダードとなっているのだ。
→日本の性教育は主に⑥⑦⑧を重視
※ユネスコが中心となって作成された「国際セクシュアリティ教育ガイダンス(International technical guidance on sexuality education)で示されている、性教育における標準的指針。
この「包括的性教育」は、8つのテーマで構成されている。性行為に関してメインで触れられるのは、⑧の「性と生殖に関する健康」から。①〜⑦までは人間関係や互いの権利・文化・セクシュアリティの尊重、合意の大切さについてじっくり学ぶことになる。日本の「性教育」のイメージとの差異に驚く方も多いだろう。
「日本の性教育では、“包括的性教育”の⑥~⑧を重視していますが、実は①~⑦までがすごく重要。まずは自分の権利や対等な人間関係を学ぶことが大切です」と福田さん。自分の権利を知っておかないと、権利が侵害された時、どうやって声を上げればいいか学ぶこともできない。「包括的性教育」は、自分の体を守るために必要な知識なのだ。
一般的に“水着で隠れるところ”といわれているが、「自分の体に、誰が、どこに、どのように触れることができるのかを決める権利を誰もが持っている」と伝えることが推奨されている。
最近では日本でも、幼児を対象に「水着で隠れる大切なスペース(プライベートゾーン)は、触れさせちゃダメ」と教える人が増えている。しかし、欧米で性教育に関わる人たちは、「体のどんな部位でも、自分が触られるのがイヤだったらイヤと伝えていいんだよ」と教えているのだとか。
自分の大切な体にイヤなことをされた時にNoを言えること。万が一プライベートゾーンを侵害された時にできること・伝え方、この2点をしっかり教えることが、幼児の性教育では重要なのだ。
福田和子さん
SRHR(性と生殖に関する健康と権利)を守る社会を目指す「#なんでないの プロジェクト」代表。「世界性の健康学会(WAS)委員。現在スウェーデン・ヨーテボリ大学大学院在学中。
文:藤城明子
イラスト:Yuhei Paint
FQ Kids VOL.07(2021年夏号)より転載
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