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2023.12.12
2021.08.16
子供の英語教育、悩んでいる読者の方も多いのでは。大事なのは「無理せず、コツコツ、本人の希望に合わせて」です。
現在大学生と高校生の息子たちがオーストラリア・パースに引っ越したばかりの時は、小学校2年生と5年生。英語の勉強は、直前まで特に熱心にはしていませんでした。海外で子育てなんて想定していなかったからです。ただ、日本でも海外の情報に触れる必要があるし、就職では英語は不可欠ですから、週に1度は英語に触れる機会を設けていました。
最初は長男が3歳頃に、通信教育の教材で始めました。5歳頃に近所の小さなインターナショナルプリスクールのサマースクールに入れてみたら楽しんでいたので、英米系ネイティブ教師のいる外資系スクールの個人授業に週1で通うことに。ここで3学年下の次男も英語デビュー。
その後、英語でアートなどのアクティビティに取り組む教室に移りました。ここには様々な国から来た教師がおり、多様な英語に触れることが重視されていました。しかし2011年の震災で多くの教師が帰国。仲の良かったアートの先生がいなくなったこともあり、再び英米ネイティブの個人授業に。
しばらくすると、10歳の長男が「英語の仕組みをちゃんと理解したいので、日本人の先生に教えてもらいたい」と要望。それも確かに大事だなとスクールに相談し、日本人教師に替えてもらいました。
この時点で息子たちは、英米ネイティブ、多国籍の英語スピーカー、日本人の非ネイティブ教師と、様々な種類の英語の音に触れ、理屈抜きで英語を聴いたり話したりする経験を積んだ上で、言語の仕組みを理解する学習に移行したことになります。初めから計画していたわけではないですが、後から考えるととてもいい順番でした。
その頃、夫が仕事をやめたのを機に、私が生まれてから3歳まで暮らしていたオーストラリアに教育移住しようと思い立ちました。私自身、バイリンガルではないですが、シンガポールや香港でも暮らした経験があり、子供が海外生活を経験できるチャンスがあるならとりあえず行こう! と決断したのです。
渡豪2ヶ月前からレッスンを週に2〜3回に増やして、現地校転入のための学習に切り替え、算数で使う用語や母語話者が英語を勉強する時のやり方などを教えてもらいました。
転入初日に一番大事なのは“May I go to the bathroom?”。トイレに行きたいと言えずにお漏らしをして、つまずいてしまう子が少なくないのだそうです。息子たちはそれを念仏のように唱えながら、新3年生と新6年生としてスタートを切りました。
転入したのは、西オーストラリア州の公立小学校のIntensive English Centre(IEC)という非英語圏から来た子供たち専用のコース。初日から「アルファベットを書けない子もいるよ。僕たちは名前も書けるし、少し英語も話せる」と自信をつけたようでした。物怖じしない性格も奏功したかも知れません。毎朝PCで英文法のクイズを解き、帰宅してからは算数のドリルをやり、小学生なりに頑張っていました。
1年ほどしてから近所の公立校の通常コースに転入した時には、言葉の問題はほとんどありませんでした。ただ、英語の成績ではやはり差があったので、チュータースクール(個人指導塾)でコーチングの先生に弱点を見つけてもらいました。
長男は小学校中学年で習うフォニックスや文法の基礎が抜け落ちていたため、中学に通いながら問題集を解き、コーチングの先生の指導を受けたところ、高校に上がってからグンと伸びて、今では英語が得意科目に。次男は小3からなのでわりとすぐに追いついて、学力選抜テストを受けると言い出して合格し、中学からは越境通学しています。
振り返ると、子供の様子をよく見て、希望を聞き入れ、塾や先生を地道に探したことがよかったのだと思います。情報集めと車での送迎に奔走した夫の調査力と行動力の賜物でもあります。あとは、なぜ今この勉強をする必要があるのかを丁寧に説明したことでしょうか。
何より、本人たちに意欲があったことが大きかったです。2人ともオーストラリアが好きで、たまたま性に合っていたのが幸いしました。「本当に頑張ったよねえ」と、夫婦共々息子たちを心底尊敬しています。
小島慶子(こじま・けいこ)
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員、NPO法人キッズドアアドバイザー。1995年TBS入社。アナウンサーとして多くのテレビ、ラジオ番組に出演。2010年に独立。現在は、メディア出演・講演・執筆など幅広く活動。夫と息子たちが暮らすオーストラリアと日本とを行き来する生活を送る。著書『曼荼羅家族』(光文社)、他多数。
Twitter:@account_kkojima
Instagram:keiko_kojima_
公式サイト:アップルクロス
FQ Kids VOL.04(2020年秋号)より転載
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